ついに出た!多焦点IOLの交換 by B

昨日、「原爆症認定基準見直し」が大きなニュースになっておりました。何と国が18連敗で、原告側は「全員救済まで闘い続ける」とのことです。我々に関する所では、晩発性障害として「白内障」も原爆症の一つに入っておりました。原爆が投下されたのが1945年8月6日と8月9日。放射線白内障かどうかを見分けるのは困難でしょうねぇ。

しかしながら国際法違反とされる原爆を投下したのはアメリカであり、その被害者が同じく被害者である日本国を相手に訴訟をし、18連勝というのも何かおかしいですね〜。強いて言っても、責められるはアメリカであります。アメリカのWar Guilt Information Program【大都市の無差別爆撃も、広島・長崎への原爆投下も、「軍国主義者」が悪かったから起った災厄であって、実際に爆弾を落した米国人には少しも悪いところはないという誤った思想を終戦後からあらゆる手段を用いて日本国民に洗脳教育しました】は凄い効果ですね。

原子爆弾投下や東京大空襲は事実かどうかを論じること自体がおかしい厳然たる事実でありますが、日本が他国ならびに、国内のサヨクから未だに批難されている南京大虐殺従軍慰安婦問題などは、事実かどうかに疑問符がつけられている状態であります。

他国の横暴は許し、自国に関しては激しく責める・・珍妙な光景でございます。

さて、本題に入ります。

先日のブログで、多焦点IOL患者さんの術前アンケートで最も神経質の欄に丸をつけていたので不安・・と書きましたが、結局、その方のMFIOLを摘出し単焦点IOLに交換することになりました。

アルコンReSTOR非球面タイプ SN6AD3 +23.5を挿入致しました。IOLマスターは術前2回測定し、+0.05、-0.14とほぼemme狙いに相応しい度数を選択したつもりでした。今までもこのレンズは何枚か使用しており、web上のIOLマスターA定数で問題ありませんでした。今となっては、もう一つ遠視よりのレンズ(+23.0)を選択しておいたほうが良かったです・・

既述の通り、術翌日遠見0.9(1.0×S-0.5)、近見裸眼1.0で、思い返すと何となく不満げではありましたが、術翌日だし・・という事で納得されたようでした。

術5日目で遠見0.6(1.0×S-0.5)【レフ上はS-1.00 乱視は0】、近見裸眼1.0。この時は語気も激しくなっておられ、

患者さん(以下P)「ぼんやりして、全然みえない!気が狂いそう!」

と仰っておられました。当初から両眼手術をお勧めしていたのもあり、

B「脳が慣れるまで時間がかかります。もう片方も手術をすれば、もっと見えるようになりますよ!」

と説明しましたが、

P「こんなに見にくいならもう片眼はとうてい手術する気になれません!落ち着くまで様子を見ます」

とのことでした。

近見が裸眼でも1.0見えてるので、そのことを言うと、

P「距離が近すぎて意味がない。結局、近用メガネをはめて、手術していない目で近くを見ている」

との事・・・。

B「度数が安定するまで様子を見ましょう。一般的には3か月くらいみて、やはり近視が残っており、御不満があるならLASIKによる矯正、もしくはレンズの入れ替えをしましょう。」

と説明し帰って頂きました。

その後、予約は3週間後にとっていたのですが、娘さん(以下D)と一緒に1週間後に来院されました。

P「遠くも近くもぼんやりしか見えず、気が狂いそうです。この一週間で2キロ痩せました」

D「どうして、こんなに見にくいのですか?うちは実は歯科を開業しており、親戚にも内科医がいます。いろいろ聞いたら白内障術後にそんなに見にくくなるのは聞いたことがないと言ってました!!」

いやはや、何とも困った展開になってしまいました・・。術前に「特殊なレンズなので、慣れるまで時間がかかることがある、基本的には両眼するものである、度数安定するまで時間がかかることがある。。。」などなどがっちりスライドで説明していることを伝え、そのスライドをもう一回上映して再説明しようとしたところ、

D「それはもう良いです。私も理解しているつもりです。私が言いたいのは、単に老眼を治して欲しいだけなのに、どうしてそれが出来ないんですかっ!!!」

との事・・。いやはや娘さんも強敵であったことを、この時初めて気づきました・・

その後、一生懸命、座右の銘でもある「至誠」を尽くして説明し、単焦点IOLに入れ替えることにしました。

・患者さんが、今現在イライラして到底度数が安定するまで待てないと主張している

・取りあえず、片眼しかやらないとの事なので、多焦点IOLの度数入れ替えで、近視化が克服出来ても、MFIOLの特性であるコントラスト感度の低下などは変わらず、reopeしてもまだ見にくい状態が続けば、何を言われるかわからない

・取りあえず、前の見え方に戻して欲しい→近見時のメガネはかけても構わないと患者さん自身が仰った(娘さんは多焦点レンズで入れ替えを希望しておられました)

この3点が理由です。

手術は一昨日月曜に行い、25分かかりましたが、問題なくできました。翌日1.0(n.c)で笑顔はないものの、「前より凄く良く見えるようになった」と言ってもらえたのでヤレヤレでございました。

今回の教訓は

  1. 「最も神経質に丸をつけた人」は、MFIOLのオペをしないか、もう一回御家族と共に説明する
  2. やっぱり近視よりにずれたらどえりゃあことになる→+0.2〜+0.5狙いあたりが無難か?
  3. 前からうすうす感づいてはいましたが、当院のIOLカッターは全くのボンクラなので、MST社のサイドポートからのIOLカッター購入を検討する

最後にやっぱり、多焦点IOL自体の限界を実感いたしました。単焦点の方が、見え方が格段に良いようですね〜。ちなみに術前はしっかり皮質白内障があり0.7(n.c)でした。