6/14の産経新聞・岩崎慶市記者の記事について by B

本日は白内障9件、木曜日は10件入っており、今週は19件入っております。昨年も6月は手術件数が多く、7月はそこそこ、8月は減る傾向にあります。

本日の白内障9件目、結構硬い核で、エピヌクレアスがほとんどありませんでした。後嚢破損を絶対に起こしてないという感触があるのに、嚢があたかも破れているように見えました!粘弾性物質を入れても、嚢が膨らんでいる感じはしますが、破嚢したように見えるひし形状の模様もそのままあります。スポンジでウンデを押しても、硝子体は出てこなかったのですが、念のため、サルカスにIOLを入れました。術後スリットランプで見ると、やはり破嚢ではなくて、後嚢のすぐ後ろの前部硝子体の混濁がそんな模様に見えていただけ・・という事が発覚致しました!!

これは一言でいうと、経験不足でした。また時間があれば動画も公開したいと思ってます。

時間があれば・・というのも、来週のJSCRSでオーラルで発表しますが、恥ずかしながら、まだ手をつけておりませぬ。やらねばならないという気持ちは6月に入ってから醸成されておりましたが、さすがに尻に火がついてまいりました!!明日午前診のみなので、明日集中してやろうかと考えてます〜。(しかし、毎年のことですが、一回くらい早めにスライドや論文など完成させて、余裕を持って学会を迎えてみたいものです。)


さて、本題に入ります。昨日の産経新聞の「日曜経済講座」にめちゃくちゃな論法のコラムが載ってました!!http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090614/fnc0906140841007-n1.htm

読んでおられない方は、一読して頂きたいのですが、要約しますと、


>>国民医療費は今後も増大し、税金及び患者負担額が増大していく。その使途の50%は人件費である。(※ここから、医療費=医者の人件費にすり替えられる:筆者註)

同じように税金を財源とする公務員給与と比べると、このデフレの世の中にも関わらず、医者の診療報酬は引き下げ幅が小さかった。いやむしろ、2年前の改定では逆に引き上げられたのだった。(←※なんかムカツク書き方ですよねぇ)

民間は今、急激な景気落ち込みにより給与削減だけでなく雇用不安にも直面している。そうした中で医師の給与をさらに上げよという主張を納税者が簡単に納得できるだろうか。

勤務医と開業医の年収格差は勤務医1415万円に対して個人開業医は2804万円とその差は2倍だ。医師会は税金や借金返済などを差し引くと平均年齢59歳の個人開業医の手取り年収は1469万円だと反論する。勤務医だって税引き前の数字だ。

開業医には定年がない。医師会はサラリーマンには退職金があると言うが、多くはそこから住宅ローンを完済し、残りを老後の蓄えとする。開業医は週休2.5日、時間外診療も往診もほとんどせずに、この高報酬をずっと維持できるのだ。(※この辺は、だんだん怒りがこみ上げて来たのでしょう。めちゃくちゃな事を筆任せに書いておいでです)

米でも医師の高報酬が問題になっているが、日本と真逆(※真逆って、新聞に載せても良いちゃんとした日本語なのだろうか?)であり、日本の開業医に似た家庭医の年間報酬を1とした場合、勤務状況が激しく訴訟も多い産科は1.44、高度医療の放射線介入診断が2.44など、専門性が高く勤務が厳しい診療科ほど報酬が高い。報酬体系としてはこれが常識だろう。(※開業医を家庭医で一括りにしている所は疑問だが、まあ言ってることは正しいか。)

日本も優遇されすぎた開業医の診療報酬を大胆に削り、その分を不足する勤務医や診療科に配分すれば、診療報酬全体を上げなくても医師不足はかなり是正される。それが出来ないのは配分を決める中医協に問題があるからだ。

以下略。<<


まあひどいコラムでございます。

現実を何も知らないくせに、開業医を悪玉に仕立て上げ、「楽して儲けている」と言わんばかり。

まず、開業医で高額の報酬を得ている先生方は、流行っている=めちゃめちゃ働いておられます。流行っていない(ヤブ)開業医は2804万円とれません。

診療報酬を医者の給料にリンクさせている所は、全く医療がわかっていないの丸出しです。最先端の医療をすればするほど、今の診療報酬では赤字になる可能性もある現状が全くわかっておりません。福島先生の本を送りつけたい衝動にかられます。

この記者は開業医に何か恨みでもあるんですかね〜。凄く感情的に書いておられます。

しかしまあ、天下の公器たる新聞にこんな、妄言コラムが載るとは世も末でございます。この岩崎慶市という記者の今後の記事もチェックせねばなりますまい。