村木厚子局長逮捕に思う by A

先日、大阪の橋下知事が宮崎の東国原知事とお二人で開催されたシンポジウムなるものに出席いたしました。衆議院選挙を控えて、何かと注目を集めるお二人のお話は、なかなかに興味深いものでした。とにかく、お二人とも、地方の自活を推進すべきという点で一致しておられます。そして、それに最も大きく立ちはだかる抵抗勢力が、霞ヶ関の官僚ということでした。

明治維新政府以来連綿と140年続く官僚制度。戦後の復興期はそれなりに機能していたといいます。戦前の知事は官撰知事といって、内務省が決めた人を各都道府県に当てていたのでした。中央の意向に沿ってどうにでもなった人選でした。戦後は各地方で直接選挙で選ばれるようになったとはいえ、実質的に、元官僚の知事が多数を占めており、そうでない場合も、中央ではなんとなく上から目線で話されるそうです。

「ああ、東さん、本日はお疲れ様」とか、表面上は丁寧ですが、予算の配分権を握っている関係上、あくまでも慇懃無礼ということだそうです。地方公務員の採用においても中央の意向があり、「そんなの関係ないや!」と橋下さんが言ったとたん、公務員採用試験の問題をくれなかったそうです。すぐに蛇口を閉めようとするので、結局は従わざるを得ないようです。そういえば、新潟の新幹線の問題でも、結局は国の意向どおり、地方が一部負担金を出すことに決着しましたね。

官僚の天下り。これは、国民のほとんどすべてが怒っています。そもそも、公務員のうち、キャリア官僚だけが、定年を待たずに退職し、民間や政府系機関の幹部に再就職するというのは、まあ、一部にそのような例があったとしても、すべての官僚にレールが敷かれるというのは、不正といわれても仕方がありません。

麻生さんの支持率は低下を続けており、このままだと、来るべき総選挙で民主党との政権交代は避けられません。この際、一度くらい、民主党にやらせてはどうかと、国民の多数も思っているようです。しかし、自民党にも起死回生の秘策があります。それは、「官僚機構をぶっつぶせ」と公言してはばからない、橋下さんや東国原さんを、自民党に取り込むことです。そして、自民党が官僚機構を何とかするという期待感を出すことが出来れば、逆転も可能です。

発売中の週刊ポストで、ちょうとその話題を取り上げています。橋下さんは総選挙の際「どの政党を支持するか鮮明にする」とおっしゃっています。それは多分自民党を支持するということであり、その条件として、自分が中心となって、地方自治の抜本的改革、道州制の導入、を行うということのようです。それが実現したら、そんな素晴らしいことはありませんものね。

ここまでが前振りで、本題の村木厚子さんに移ります。みなさん、村木さんをTVで見てどう思われますか?白髪交じりのざんばら髪を中央から分けた化粧気のないおばさん。でも、よく見ると結構美人。しかも、地方の大学を卒業して中央の官僚に上り詰めた、いわば、立志伝中の人物。やってきたことといえば、障害者や働く女性のために尽くすこと。本当に、絵に描いたような「良い人」です。こんな人が逮捕されるとは・・。

今回の事件でやったことといえば、民主党の石井一氏の口利きで、「凛の会」を障害者団体に認定してくれと頼まれた上司(男性)にたのまれ、部下に「なんとかしてあげて」と言ったというもの。実際、誰がどう考えても、この善良なおばさんが郵便事業を悪用した犯人ではありません。どうせ、いずれかの機会に無罪放免となることが明らかです。

では、何故、大阪地検がこんな「猿芝居」をうっているのか。ここが、深読み星人の私をとても刺激するのです。以下推測になります。

これは、橋下さんをはじめとする、官僚制打破勢力の勃興に反応したものではないでしょうか。自民党民主党も官僚制打破で一致するとなると、権力の奥の院にとっては悪夢です。それだけはどうしても避けたい。そのため、官僚に対する国民の同情を惹きたいというところではないでしょうか。

小沢さんの秘書が逮捕されたことの反応を見ると、むしろ小沢さんに対する同情も高まっており、党首が代わったとたんに民主党の支持率が急上昇しました。これでは、何のために逮捕したのか分からない。今回はその逆を狙って、官僚を逮捕してみたということではないでしょうか。

今後、政治がどう動くか、なかなか読めません。しかし、橋下さんのおっしゃる、「霞ヶ関制度の打破」には諸手を上げて賛成いたします。国民の生活にかかわる、福祉、保険、医療、年金などなど、すべて地方がやればよろしい。そうすれば、各地の事情に即した対応が可能となります。国は外交や防衛に集中すべきというのが、橋下さんや東国原さんのお考えです。

自民党に取り込まれた後、橋下さんが思ったような活躍が出来るかどいうかは、多少心配な点もあります。また、スキャンダル攻撃にさらされることでしょう。何とか、突破口を見つけていただけることを願っています。