アニキの衝撃!! 中編 by B

いやはや、最近、会う人ごとにボヤいているような気がしますが、手術件数アップは良いのですが、外来患者数も増え、ほぼ一人でやっておりますので、日常診療で疲弊してしまい、なかなかブログ更新まで手が回りませぬ。

最近は毎週30件程度のオペをし、外来を月から土までし、手術前日はカルテチェックや翌日使用予定IOLをオペ場に並べたり、ナースへの注意点をオペ場のホワイトボードに書き込んだりしておりますので、日曜日も何やかんやで実質数時間は医院で仕事をしております。まぁ、ボケ〜っとユーチューブやフェイスブックを眺めていたり、携帯ゲームをいじくったりする時間も込みですが。

今年は昨年までに比べて、狭斜の街に飲みに出る回数も激減しましたねぇ。釣りを新たな趣味にしたといっても、ほとんど釣れないので、ストレスを発散しているのか、余計に溜め込んでいるのか微妙な所でございます・・・。(-_-)

とは言え、継承当初は閑古鳥が鳴いている状況で、暇で暇でたまらず、将来の不安に慄いておりました。あの時代を思い出すと、有難い話であり、またエネルギーが湧いてまいります!

2診制にしたいと言っても、現クリニックにはスペースがないので、実質不可能でございます。という訳でスペースの拡充が必要であります。

この話も、ブログでポロッとポロッと何度か述べてますので、勘のいい先生方はお察しがついているかもしれませんね。ついにブログ上でカミングアウトしますが、新たな移転先の土地を購入し、数年後の新築移転が現実化してまいりました。今回のアニキクリニック見学は、フェムトセカンドレーザーフェイコ、レーシックなど、新築移転時に導入すべきかどうか、色々勉強しようというのが本来の趣旨でございます。現医院改装時の借金や、自宅の借金などタップリと残存しておりますが、銀行が貸してくれるというので、やります。

まぁしかし、どんな事業でもそうでしょうが、「年齢」というのは非常に大きなファクターですね。Bは家庭の事情で、予想外の若さで家業を継ぐことになり、当時は自分の境遇を不満に思ったりもしましたが、今となっては若いうちに開業したことがプラスと感じます。かつて「新規開業医考」でも述べましたが(新規開業考 その弐 by B - 眼科手術開業医の戯言)、40才台前半までなら20年ローンで箱を大きくする大勝負に出ることが出来ます。

たまたまアニキ先生がBとほぼ同年齢で開業されたのをお聞きし、B理論に自信を持った次第でございます。

徳川家康は老境に入ってから、豊臣秀頼の若さを妬み、焦り、後世の人々に揶揄されるほどの奸計、言い換えればイチャモンを使い倒して豊臣家を滅ぼしました。結果的に、家康の慧眼により、徳川十五代の覇業が成ったわけですが、どんなに優秀な人物でも寿命には限りがあります。家康は年齢ファクターの重大さを知り尽くしていたからこそ、徹底的に豊臣家を叩いたのでしょう。

という訳で、強い開業志向があり、自分自身も開業医に向いていると感じている先生方は、色々なしがらみを断ち切って、早めに独立されることをお勧めいたします。当然、若いと言っても早逝する可能性はBも含めてあるのですが、保険と同様、銀行は「若さ」を買ってくれます。30代、可能なら半ばまでが一つの岐路かと思います。勿論、家庭や持ち資産の状況等諸々ありますし、それが唯一の作戦ではございません。オペをしない開業なら話は別です。箱を大きくする2段階開業ならという意味でございます。

また、時代の趨勢もあります。次回号で詳しく書きますが、40歳を現在超えておられる先生方で、そこまで強い開業志向がなければ、オペ開業は少々様子見が必要かも知れません。

さて、アニキの衝撃の続きでございます。

レーザーフェイコ見学後、院長室でしばし歓談いたしました。

元々、レーザーフェイコがやりたくて、フェムトセカンドレーザーを理解するためにLASIKを購入したこと。LASIKを導入したことによって、一気に見える世界が広がったこと。先の臨眼でKクリのK先生がLASIKに対する懺悔をほのめかし、アニキ先生が本当に腰を抜かしそうになるほど驚愕したこと、特にhole付きが市場に出回れば、今後はフェイキックIOLの方が有望な屈折矯正手術となる可能性があることなどをお聞きしました。

特にLASIKに関してですが、確かに、数千例に1例、今は後面も含めた角膜形状解析が進化しているので数万例に1例かも知れませんが、ケラトエクタジアという回復させようのない重大合併症があります。Bは脱原発論者ではないですが、「滅多には事故は起こらないが、起これば取り返しがつかないことになる」原発と少し似ている所がありますね。フェイキックIOLならよしんば白内障になったとしても、何とかなりますので。

Bが「新医院移転に際し、電子カルテか画像ファイリング+紙カルテか迷っている。」ことをアニキ先生に告げますと、アニキ先生は「そんなの、電子カルテに決まってるでしょ」と躊躇のない返事が返ってまいりました。

アニキクリニックでは、P社のClaioが入っておりました。画面を色々見せて頂きましたが、Bが一番気に入ったのは各オペ動画が各患者さんの電子カルテ上に蓄積されていることです。あれは良いですね〜。アニキクリニックでは当然、Bのクリニック以上の手術件数を施行しておりますので、「サーバーがパンクしませんか?」と聞いたところ、別に問題ないとのことでした。

アニキ先生曰く、「新医院移転時に、新システム導入するなら絶対に失敗する!場所が変わるだけでも混乱するのに、その時に新しいシステムを始めるのは危険。やるなら、今から導入し、慣れてから新クリニックに持っていくべき。紙カルテは、毎日来た患者情報を診察終了後に電カル移転して行っても、落ち着くまで半年〜1年かかる。紙カルテの保存スペースもバカにならない。Clioなら、医師の外来の作業負担も大幅に軽減できる」とのことでした。なるほどでございます。

更に、新デバイスである、A社エクスプレスのオペ動画も見せてもらいました。アニキ先生は、「エクスプレスでオペをやると、非常に短時間にきれいな濾過手術が出来るので、最早、術後合併症の多いTLEをやるのは良くない!!」と仰せでした。

Bもそのデバイスは当然知っておりましたが、一度学会で権威の先生が「イマイチ」的なことを仰ってたので、まだまだ開発途上のモノであり、自分のクリニックで導入しようとは露とも考えておりませんでした。

レーザーフェイコもそうですが、Bが衝撃を受けたのは、大学病院や学会の権威の声に惑わされることなく、自分でまず経験し、自分の経験から新デバイスの良さ悪さを見極めるという、超実践主義でございます。

Bはまだ若いのに、冒険心が足らないことを痛感いたしました。何か新デバイスが出ても、「まずは市場の反応を見てから・・」や「学会でどう評価されているのかを聞いてから・・」と及び腰でございます。だいたい、権威の先生は新しいものが出てくれば否定しますからねぇ。

アニキ先生のエクスプレス使用濾過手術を拝見いたしましたら、実に単純な術式でキレイなオペでした。既に10例近く使用して、合併症も1例CDがあった程度で、術後管理が楽で従来TLEより全然良いとのことです。

このブログではとかく批判されやすいA社ですが、やるじゃないですか!!Bも早速導入を決定した次第でございます。ただ、現在は「選択できるサイズが少ないのが不満。本当は前房深度や眼軸長などから、眼圧を下げるのに必要な濾過量を類推し、それによって挿入デバイスのサイズを決める風に出来るはずなのに、何故A社は早くしないのだ!」と、アニキ先生が苦言を呈していたことも書いておきます。

さて、クリニック見学後はアニキ先生お勧めのお料理屋さんに連れて行っていただき、御馳走を振る舞って頂きました!これまでの人生で、あんなに「森伊蔵」ばかりロックで飲みまくったことはございませぬ!!御馳走様でした!
m(_ _)m

この宴会時にも衝撃を受けました!

少々長くなってまいりましたので、このことを次回書かせて頂きます。「えらいこのネタで引き延ばすやんけ」という声も聞こえてまいりますが、まぁご容赦くださいませ。いつも前フリが長くて、スタミナが切れてしまうのであります。本日は以上でございます〜。