アニキの衝撃!! 後編 by B

後編です。

いつも前フリが長くてスタミナ切れを起こしますので、今回はいきなり行きます!

Bがアニキクリニックに見学に行った日、偶然、韓国からL先生も見学に来ておられました。

L先生は、韓国eye surgeon界のスーパースターであり、現在年間5000件以上眼科手術を施行する病院を、たった一代で作られた立志伝中の方であります。韓国では2番目に多い手術件数とのことでした。

L先生は、日本の大学にも在籍されておられたことがあり、日本語も堪能で、Bのような雑兵に対しても気さくに色々お話ししてくださいました。(普段は竹島問題等で威勢の良いことをいっているBですが、L先生の前で、竹島に関する議論を吹っ掛けるようなことは当然しなかったことも書いておきます!)

余談でございますが、Bは今まで、色々なボリュームサージャンの先生方にお会いさせて頂きました。全員に共通しているのが、「気さく・フレンドリー・おしゃべり好き」という点でございます。更に言えば、全員、非常にhospitalityに溢れておられます。どんなに手術テクニックに優れていても、極端な話、1分で白内障手術を完璧に出来る技を持っていても、仏頂面で気難しい先生のところには患者さんは集まって来ないでしょう。サージャンたるもの技だけではなく、人間性も磨かねばならないと痛感いたします。

で、宴会時、L先生のオペ動画をiPadにて見せて頂きました。患者さんはL先生の幼馴染だそうで、チン小帯が半分以上脆弱化して、核がグラグラしている症例の白内障手術でございました。当然、核の硬さは「バリカタ」でございます。LenSxにてCCC及び核分割まで行い、オペ場に移動します。で、CTRを挿入し核を乳化吸引。Bがモタモタしておりブログ更新が遅くなってしまったので、この辺から記憶があいまいですが、確か、IOLを嚢内に挿入して無事オペ終了したはずでございます。

チン小帯脆弱例の場合、まずCCCを完成させるのに一苦労で、その際にチン小帯にかなりのストレスを与えているはずでございます。更に核分割の際にも多大なストレスを与えているでしょう。フェムトレーザーフェイコの場合、その工程まで、全くチンにストレスを与えることなく完了できるというのは大いなるメリットであると感じました。

L先生のお話しでは、最近、韓国の白内障手術点数が大幅に下げられたそうで、現在、日本円で60000円くらいの点数になっているそうです。当然、韓国医師会は、大幅低下に猛反発し、ストライキ(手術拒否?)まで決行したそうですが、何の効果もなく、敢え無く寄り切られてしまったとのこと。現在は白内障手術をやっても利益はほとんど出ず、やっていても全然楽しくないと仰っておられました。どうやら、現在日本の歯科業界のように、「保険診療でトントンを目指し、自由診療で利益を上げる」という状況になっているようです。眼科の場合はプレミアムIOLを使ったオペや、屈折矯正手術で利益を上げるということでしょう。

アニキ先生も、「日本も国際標準に合わせるという名目で、白内障手術点数が大幅に下がる可能性が大いにある」との認識を持っておられるようでした。Bも異論はございません。

また「これからテクノロジーの進歩により、どんどん優れた医療機器が出てくる。そういう医療機器は当然高額である。良い医療を提供しようとすればお金が必要である。これからはキレイごとではなく、どんどん設備投資にお金を回せるクリニックが生き残り、そうでないクリニックは淘汰される競争の時代が来るだろう」という趣旨のことを仰られました。Bも完全に同意いたしまする。

田中角栄語録に「政治は数であり、数は力、力は金だ!」というのがありますが、似たような状況がやってくるかも知れませんね。韓国でもそうでしたが、日本においても、外科手術中でダントツ一位の症例数を誇るのは水晶体再建術であります。財務省が医療費抑制を考えるならば、まずそこをついてくるに決まっておりまする。

白内障手術業界は、PEAの登場が「春」、日帰り白内障手術が登場し眼科手術開業医が「白内障手術御殿を建てた」などと揶揄された時代が「夏」、小泉改革以降医療費増大分の抑制を図られている現在が「秋」と言えるのではないでしょうか。そろそろ冬支度が必要と確信いたしました。

冬の過ごし方には大きく2つあります。一つは冬眠。完全に守りに入って、極力動かず春が来るのを待つ。もう一つは冬に耐えれる体力筋力をつけ、貪欲に餌を漁る・・・。Bの家で買っている熱帯魚を見ておりますと、冬の水替えなどで、急激に水温が下がると、まず先に死ぬのは子供など小さなお魚です。個体が大きくなればなるほど、急激な気温変化に耐え忍ぶことが出来ます。ブラックバスでもそうですね。冬になると滅多に釣れませんが(Bは夏でも釣れませんでしたが・・・)、釣れるのはデカバスです。冬でも活発に餌を追おうとするのは大きな個体です。「さあ、あなたならDOTCH!?」という番組が昔ありましたが━古くてすみませんm(_ _)m━、中途半端が一番よくないですね〜。

これから新規オペ開業を考えられる先生方は「白内障手術が10000点以下でもやって行けるか?」ということを念頭に置いて準備を進めるべきだと思います。何も、手術開業を辞めろと言っている訳では決してございません。資金が少ないならば、集客が見込める土地でやるのが第一でしょうし、お勧めはいつもBが提唱している2段階開業ですが、資金があるならば、遠慮せずにドーンと投資した方が良いのかもしれません。僻地眼科医先生の仰る通り、秋から冬に向かおうとするこのご時世ですから、「開業は博打」と言わざるを得ません。勝つためにはリスクを負わねばなりません。

逆に、そこまで開業志向の強くない先生方は、無理に(奥さんにお尻を叩かれながら)開業を決行する必要はないと思います。奥さんが望む、都心部での中途半端な開業形態で巨万の富を得るというビジネスモデルは終焉を迎えつつあると思います。

只今選挙運動が宴たけなわでございますが、冬が嫌だからと言って、耳に心地よい事ばかり言っている「社民党」や「共産党」に肩入れするのも少し違うと思います。来りくる未曽有の少子高齢化社会に対して、我々は責任を持って良い医療を提供し、孫子素晴らしき日本を伝えて行かねばなりませぬ。我々の世代で富を食いつぶし、孫子にその負債を押し付けるのは武士道に反しまする。冬の時代こそ、設備の整ったクリニックで、効率よく医療を提供する方が、より全体の医療費削減につながるでしょう。勝ち組と負け組に分かれてしまうとのご指摘もありましょうが、冬ですから致し方ありませぬ。

Bはアニキ先生を見て、大いに衝撃を受けましたので、出来る範囲で攻めて行こうと考えております。

アニキ先生、そしてアニキクリニックの方々、本当に有難うございました。非常に有意義かつ勉強になった見学でございました!

このシリーズは以上でございます〜。