OCTA by A

当ブログから遠ざかって久しいです。皆様はお元気に診療活動をされていることと思います。B先生も上り龍の勢いで、新しい知見を多数アップしていただきました。私Aはなんせ団塊世代ですので、守りに入っているというか、次世代への継承を視野に、新しい投資はなるべく控えるようにしているのです。とはいえ、必要不可欠はものは随時取り入れています。その一つがOCTA(OCT angiography)です。

OCTAについて書く前に、B先生の真似をして最近の政治情勢についても一言述べたいと思います。安部政権を取り巻くいろんなさやあて合戦、および天皇退位に関してです。

森友学園のあと、加計学園問題が出てきて、文部官僚が反旗を翻してらっしゃいます。「正当な行政が(政権により)ゆがめられた」との言い分で、マスコミの半分以上は文部官僚の誠実さに焦点をあて、なんとなく反政権のようです。もちろん、東京都の問題も絡み合っていることでしょう。しかし、この官僚の言い分は通りません。

そもそも、民主主義国家であるならば、選挙で選ばれた政治家が、たとえどんな悪人であっても、政治権力行使の正当性があります。元文部官僚Mにしても語るに落ちたというか、行政の正当性とは何かを突き詰めると、自分に利がないことは明らかではないでしょうか。

ただ、日本社会において、国民主権の政治の正当性が正面きって議論されることがあんまりありません。戦後しばらくはGHQのいわれるまま、その後も、ことあるごとに米国の介入に畏れ、忖度し、なんとなく現在に至っています。冷戦構造が崩れたあとも米軍による防衛体制はまったくそのまま。昭和天皇が「永久に米軍基地を」と言われたことをそのままなぞっているようです。官僚組織は旧天皇制と米軍に国民統治を委託されているとでも考えているのでしょうか。

そんな中で出てきた今上天皇のご退位。皇太子さまのご年齢を考えるとまことにめでたいことです。また、将来の皇室の存続を憂慮されて、女性宮家にもなんとか道筋をつけたいとお考えのようです。天皇陛下は「象徴天皇としてのありかたを模索してきた」とおっしゃいます。明らかに、昭和天皇とは異なる、新しい世代の天皇像です。それに対して、日本会議の一部が異論を唱えるとはあってはならないことです。

私は畏れ多くも昭和天皇のファンで、戦前、戦後の昭和天皇のご発言にはいろいろ興味を抱いてきました。最近では山田朗の「昭和天皇の戦争」を読んでいます。この本の著者はかなり左翼系の思想が入っていそうで、切り口が私の思いとは少し異なりますが、そんな中ですら、戦前に陸軍が一部皇族と結託して暴走したのを、忸怩たる思いで見られていたことがありありと書かれています。大本営ができ、御前会議を錦の御旗に、勝ち目のない戦争につきすすんでいったことを、決して忘れてはなりません。こうなると、昭和天皇ですら止められなかったのですから。

さて、最近話題のOCTAを昨年から導入して重宝しています。OCTAといえば蛍光眼底造影の代わり、安全な造影検査とお考えの向きも多いかと存じますが、たしかにその一面もあるものの、実際は全く新しいとらえ方をしていることがわかります。

たとえば、造影を網膜の層別に観察できることがあります。網膜の浅い層、深い層、脈絡膜と別々に観察できます。もちろん出血などあれば制限されますが・・・。いわば、蛍光撮影とICG蛍光撮影を併せ持った特徴があります。

しかし、蛍光色素を使いませんので、当然ながらその流れはわかりません。循環時間など測定できません。また、色素の漏れを観察することも出来ません。従来のように、漏れを新生血管の指標とすることはできません。また、一度に観察できるのは比較的狭い範囲に限られます。これは少しずつ改良されていくようです。

とにかく、患者負担、安全性は比べ物になりませんので、とにかく総当たりで撮影し、所見に慣れていくことが大切です。

ARMDの初期変化、黄斑から離れた自覚症状のない所見をとらえるのは大得意です。

OCTAは研究目的を含めいろいろな使い方ができそうですが、成人眼検診に応用することも大いに役立つことでしょう。