JSCRS報告 by B

JSCRS報告です。

やはり、この学会の注目度No1は、アルコンの乱視矯正IOLです。結論から申しますと、かなり手術成績は良いようです。

ただ、術前にマーキングが必要なこと、万全を期すとなると角膜形状解析装置で不正乱視成分の多い症例を除かねばならない(通常の角膜形状解析で、典型的な正乱視のマップが出ていても、不正乱視成分が多いものもあるらしく、そういう症例は予想した結果が出ない)ので、非球面IOLのように、全ての施設が特に気にせずに使用するといった形にはならないだろうと思います。

保険のIOLという事が多焦点IOLとの大きな違いで、別に多少軸ずれ等起こしても、大きな問題にはならなさそうです。

予め自分の手術の医原性乱視を知っておきたい方はhttp://www.doctor-hill.com/physicians/download.htm#SIA←このページからダウンロードして入力すると簡単に計算してくれるそうです。

私は、ベントの角膜切開ですから、右眼手術時と左眼手術時で別々に計算した方が良さそうです。(とはいえ、3mm以下の小切開創手術では、さして気にせずとも良いとのことでした)


今回は、NIDEKとAMOが新しい白内障手術マシンを発表していました。

NIDEKはCV30000、Fortas(フォルタス)。元々、CV24000も前房内安定性は評価が高かったのですが、今回のは凄く良くなっているとのこと。超音波に関してはVIS(Variable Intervais and Strokes)というシステムが搭載されております。ひらたく言えば、AMOソブリンのICEと同じ事のようです(最初にガツンと大きなパワー、その後、小さなパワーを小刻みに)。発表していた慈恵医大の柴先生に直接質問すると、「Signatureはまだ使ってないが、既存のマシンに比べると敵なし」との事でした。長所の安定性を更に追求した他は大きな売りもない分、安心して使用することが出来そうです。

一方のAMO、Signatureですが、こちらは、ここ数日前に認可がおりたばかりだそうで、現時点では日本でほぼ誰も使っていないそうです(大木先生だけ)。ペリスタリックポンプと新しいベンチュリーポンプの2つを搭載した全く新しい機能の吸引らしいです。縦横同時に(楕円形のイメージらしい)連動して動く超音波チップの破砕機能とのこと。

現在、CV24000ユーザーではありますが、やっぱりSignatureが気になりますね。

ニデックは米国2社に比べて、スリーブの技術が圧倒的に遅れております。現在のCV24000でも2.4mm以下の切開で手術は出来るのですが、スリーブがイマイチなので、アルコンのものを使用せねばならず、それで結局メーカー側も自信を持って推奨出来ない形になってます。

個人的には、日本企業に頑張ってもらいたいので、ニデックを応援したいのですが、そこがネックになるような気がしますね〜。

その他、今回はAPACRS(ASIA-PASIFIC)との合同開催でもあり、目新しいので、結構そちらを聞いてました。私の英語力は中学3年生レベルなので、半分くらいしか意味がわからないのがもどかしいものの、新鮮で面白かったです。

そこで得た情報は、

IFIS症例で、ボスミン1/1000希釈を更にBSSで3倍希釈したものを前房内に入れると、瞳孔が開き手術がやりやすくなるとのこと。これは試してみたいと思いました。

その他、チン小帯脆弱例で、CTR→IOL嚢内固定では、将来的に嚢ごと落下しそうな症例では、CTRを挿入後、IOLをサルカスに入れれば大丈夫!とのこと。なんの根拠があって、大丈夫と言っているのかは、私のヒアリング力ではわかりませんでした・・・。

ただ以前、縫着のシンポジウムで、

「剖検眼の検討で、縫着後数か月経つと、IOLループがサルカスにくっついている(fibroblastか何かだったと思います・・)のが分かっているので、強膜縫合糸が結膜上に露出してきた場合、抜糸しても実は大丈夫」

と聞いたことがあります。

そう考えると、50%以上の断裂例などでは、CTRで嚢に張りを持たせた上でサルカスに入れるのは、とても良い方法かもしれません!!IOLは3ピースアクリルとしか言ってなかったような気がしますが、そりゃ全長13mm以上のIOLの方が良さそうですね。

僕のオーラル発表については、触れないでください!!(><)

自分も関わってはいますが、やっぱり、人のやった手術について発表するのは、質問が来た時にドギマギしてしまうので、嫌ですね〜。もう思い出したくないっす・・。あ〜、恥ずかしい〜・・。来年は自院のネタで勝負したいと思います。

何はともあれ、発表も終わって気楽になりました。学会は明日もありますが、さして目新しい題もなさそうなので、専門医点数だけゲットして、サクッと帰ろうかなと考えております。

他にも何点か書こうと思っていたことがあったはずですが、今は思い出せませぬ・・。また思い出したら書きます。