久々のECCE by B

先日の6mm切開して医原性倒乱視発症していた患者さまが、余りにも「目を開けてられない!」と訴えられるので、涙点プラグを上下涙点に挿入した所、不思議に訴えが消失致しまして、「これで治るんなら早くやってくれたらよかったのに〜。」と言われてしまいました。患者さまは大喜びでございます。と言う事は医原性倒乱視よりも涙液の不安定性が愁訴の原因だったのでしょうか??

確かに、結膜を切開した後、強角膜創で手術をしていた頃、こちらは完璧な手術をしたつもりでも、「何かコロコロする」という訴えが多かったような気がします。いわゆる点状表層角膜症(SPK)がなくても涙液のbreak up time(BUT)が短縮しており、それが愁訴につながるようです。角膜切開ではそのような訴えは皆無に近いです。結膜切開→創傷治癒に伴う炎症惹起→BUT短縮という機序なのでしょうか?また詳しい先生がおられましたら、是非ご教示ください。

先週は1日、お盆で手術を休みました。今週は月曜が12件、本日は7件の手術です。

で、本日は久々にECCEをやりました。6mm以上の切開でございます。

84歳でPEあり(散瞳は5mmとまずまず)、grade5の那智白内障です。視力は0.02。因みにもう片眼はもっと核が硬そうで、視力は光覚弁のみでございます。来週手術予定です。本当は光覚弁の方から手術したかったのですが、何故か患者さんが視力のあるほうからの手術を強く希望されたため、そっちからやることにしました。

全く躊躇なく、通常の角膜小切開創で手術を始めました。CCCはトリパンブルーで染色して施行しましたが、核はグラグラしており、チン小帯がかなり脆弱でした。最初、核を削っている時から、非常に硬く、今までとは勝手が違いました。ある程度、掘ってから1st chopを始めたのですが、チップが全然核に埋め込まれませぬ。USパワーを少し上げました(60%)が、焼け石に水と言った感じでした。かなり苦闘し何分割かしましたが、例の如くネッチョリと底でつながっております。もっとUSパワーを上げて粘ることも考えましたが、かなりチン小帯も弱く、グラグラしていたので、ECCEでやることにしました。

核を娩出後、破嚢はしておりませんが、チン小帯断裂部より少し硝子体が出てきておりました。娩出してから気付きましたが、チョッパーでひっかいたのか、CCCに亀裂が入っておりました。IOLは無理せずサルカスに挿入したのですが、チン小帯も弱く、IOLが後方にググ〜ッと沈み込んでいるような状態で嫌な感じです・・・。縫着した方が良かったですかね・・。

入院での手術でしたので先程確認したところ、IOLは少し下方ですが、ちゃんと(現時点では)固定されてました。ただ、角膜が浮腫っておりました。眼圧は正常でしたので、輪匙で出す際に内皮をこすってしまっているのかも知れませんね・・。何回もビスコートを注入して、注意しながらやっていたのですが。

反省点としましては、USチップを新品のモノを使えば、もう少し切れ味が増して、USで手術が出来たかもな〜とも思います。あと、那智黒スーパーハード白内障の際の設定を、今一度、A'社の担当の方と見直さねばとも思いました。正直、あのくらいの硬さなら、USで出来ると思いますので。また、ECCEでやるならば、最初からやった方がキレイな手術が出来ますね。底でつながっている中途半端に分割された核を輪匙で出すのは、難しい手技です。

明日、角膜浮腫がひいて、存外視力が出てくれる事を期待しております。トホホ・・・。(ToT)