眼科開業に関する数年後の予測 by B

いやはや、早いもので、もう10月も半ば、今年もあと2か月チョットですね〜。Bのクリニックは9月末決算なので、本日も税理士の先生と諸々相談しておりました。

何を相談するかと言いますと、少しでも節税するために、「これをこのように処理して経費化しよう」てな話です。もちろん、脱税ではないですよ。あしからず。

お陰様で昨年度よりも手術件数も増え、利益はアップしておりました。こういう話をするとBの給与がアップしそうなものですが、日本の税制を鑑みますと、正直、院長の給与を上げても所得税率が激高なので、ゴッソリと半分はお国に持っていかれます。まだ法人税率の方が低いので、法人に残しておき、法人税を支払った方が少しは節税になります。今期の利益を見ておりますと、来年度も同じくらいの利益が出るならば、医師を一人増やしても良いかなぁと考えております。とは言え、2診制にするほどのスペースはございませんので、長年の懸案であった、医院改装や新築移転を考慮しても良い時期が来たかなと考えております。まぁ、相変わらず、一カ月先には予定オペがほとんどない、自転車操業を続けておりますので、来期も同程度の利益が出るかは全くの未知数でございますが・・・。

「何だか景気の良い話をしやがって!!(--#)」と不愉快に感じられる向きもあるかも知れませんが、手術開業医はアスリートのようなもので、オペが出来なくなれば一気に収入ダウンでございます。

このブログの長年の読者の方はご存じでしょうが、Bがクリニックを継承した際は、まさにその状態で医院会計は火の車でございました。人間の目は2個しかなく、白内障はほとんど治りますので、常に新規顧客が来ないと経営が成り立たない厳しい世界であることをご承知おきくださいませ。慢性疾患相手や、消化管内視鏡を始めとする検査(年に一度としても何回も受けられますからね)で売り上げを上げる内科などオペ無し開業とは、ビジネスモデルが全然違います。

オペが出来なくなる理由といたしましては、当然、肉体的怪我などもありますが、他にも、ブラックジャック並みの腕を持つ超イケメン若手Drが診療圏内に開業することなども挙げられます。そういえば、オペ無し開業ではありますが、来年、当院診療圏内に新たに出来るクリニックモールに眼科が入るという噂も耳に入っております。まぁ、仕方ないですが、超イケメンDrではないことを祈るばかりでございます。

という訳で、ここから更に攻めの経営(医院新築、Dr増員など)に出るか、守りの経営(税金をたっぷり払っても利益を溜め込み、設備投資を控え、来る冬の時代への備えを開始する)に出るかは、まさに経営者気持ち次第となります。Bは攻めるつもりでございます。

さて、今後の医療の課題は全科共通かと存じます。すなわち「少子高齢化社会問題」でございます。それプラス、医師偏在でしょうか。

少子高齢化社会は既に突入してきている訳ですが、今のところ、政治家、官僚、日本医師会及び国民の間では「国民皆保険制度を守り抜こう」というコンセンサスが得られていると思います。しかしながら、その為のコストの話になると、皆がそれぞれ好きな事を言い、一致出来ません。とは言え、いつまでたってもこれまでのような「低負担高福祉」が成り立つわけもなく、否が応にも「高負担中福祉」、もしくは「中負担低福祉→混合診療解禁」の時代に成らざるを得ないでしょう。

そして、これまで世界から称賛されていた日本医療の三大特徴、すなわち、「国民皆保険体制」「現物給付(一部負担金さえ支払えば希望する医療がすぐに受けられる)」「フリーアクセス(何の制限も受けずにどこの医療機関でも、どのお医者さんにでも自由に診てもらえて治療が受けられること)」のうち、国民皆保険と現物給付は表裏一体のようなものなので、そちらを守ろうとするならば、「フリーアクセス」は消滅する可能性が濃厚であるとBは見ております。「フリーアクセス」と表裏一体なのは「自由開業医制」ですので、こちらも厳しくなろうかと思います。

「フリーアクセス」「自由開業医制」は「医師偏在問題」と密接につながっております。日本の診療所数は「西高東低型」及び「日本海高太平洋低型」とされております。すなわち、まさにこの度の東日本大震災の該当地区である東日本の太平洋側に至っては全く診療所の数が足りておりません。少ないところで、開業すれば成功確率がかなり高くなるにも関わらず、諸々の事情で皆さん、競争の激しい都心部に群がっております。個人個人の事情はさておき、我々医師を国民の為の資源という見方をするならば、医療資源の偏在は、結局、東日本太平洋側を始めとする医療過疎地域に格差を強いていることになります。必ず、是正する方向に国は動いていくでしょう。

日本は民主的な良い国なので、突如、国家が管理する形にはならないとは思います。おそらく、「医療過疎地域で開業するなら補助金をやるぞ〜」や、「かなり低利率で融資するぞ〜」と言ったような政策誘導が行われるはずでございます。

また、医療経費の観点から、特に手術開業医は選択と集中が進んでくるはずでございます。入院ベッド数は既に国の管理下ですが、手術室数も国は管理する可能性があると思います。また白内障手術の点数が下がった場合、ある程度ボリュームサージャンでないと、やっていけない時代は10年くらいでくるような気がします。10年後には団塊の世代白内障が大量にやってきますので、点数が下がるとみております。

団塊の世代は、戦争も知らず、右肩上がりの日本の最も良い時代を謳歌してきた世代です。バブル時代に会社の経費で遊びまくり、ラグジュアリーな経験もたっぷりしております。ネットやFacebookも使いこなします。ブランド好きでもあるでしょうし、特に白内障手術に関しては「団塊の世代に選ばれる施設」とそうではない施設間において、手術件数に大きな隔たりが生じてくると考えられます。

そして、これからも益々、開業医の待遇悪化、勤務医の待遇改善の方向性が強まると思います。診療報酬改訂の時期が近づくたびに、「開業医が儲けすぎ」とマスコミがネガティブキャンペーンを行います。マスコミのバックには厚労省がおりますので、厚労省の意思です。

そして、今後確実に増えてくるのが、「医療法人となっているクリニックの後継者問題」でございます。当然、医療法人理事長家が子宝に恵まれなかった場合もありますが、皆さまご存じのように、医者になるのはなかなか大変でございますので、お子様がいても医学部に入学できなかったケースは、本当にたくさんあります。実はBも、親父の友人Drのクリニックが後継者不在になり、Bの信頼する先輩を紹介しました。上手く話がまとまって先輩Drが法人を買い取り、クリニックを引き継がれました。

このケースの開業も今後増えるでしょう。この「法人買い取り開業」の医師側メリットは、何と言っても競争することなくゴッソリと患者がついた状態で開業できることです。法人買い取りに多額の資金が必要ですが、そのクリニックに患者さんさえついていれば、新規開業よりも全然楽に銀行は貸してくれます。

まとまりのない話をそろそろまとめに入りますが、Bが言いたいのは、

・オペ無し開業を考えておられる先生は法人買い取り開業を目指せ!

・多額の資金が必要な手術開業を考えておられる先生は補助金を目指せ!

都心部で手術をたくさんしたい先生はむしろ勤務医でいた方が良い可能性がある

てな感じです。これはここ1、2年の話ではなく、5〜7年後くらいを想定したお話だという事をご了承くださいませ!

本日は以上でございます〜。