医師の所得 by A

昨日のB先生の記事を読んで「なるほど」と思っていたら、たまたま、昨晩、医学部時代の同級生3名と会食する機会があったので、いろいろと訊いてみました。一人はフリーターで最近年金が支給されるようになった人(あっ、年齢がバレてしまった)、一人は公的病院で副院長をしている人、もう一人は100床規模の病院経営2代目でした。

 具体的な数字は教えてくれませんでしたが、まずフリーター氏について言うと、年金が月12万円というつつましさ。もちろん、レントゲン写真の読影という医師ならではのバイトもされていますので、12万ぽっきりではないとしても、年収1000万など遠い世界のようでした。一般的に医師は一か所で正職員を長く続けるということはほとんどありません。研修医、シニア非常勤などと称して不安定な身分のままずるずると過ごす期間が長いので、年金となると、一般の人に比べても少ないのが現実です。

 副院長氏はそれなりにもらっていそうでしたが、たぶん、年収1500万くらいでしょうか。7年前から昇給はストップしており、若い時ならそれ以外にアルバイトをする気力がありましたが、今や体が許してくれず、子供が独立したのをいいことに、すべて止めてしまったそうです。

 病院経営2代目となると昔は優雅だったはずですが、今は厚生労働省様のしめつけがきびしく、「生かさず殺さず」という言葉がぴったりです。それでも、理事長報酬年2000万といいますから、一般の人に比べれば恵まれているかもしれませんね。しかし、それとて、親が病院経営をしていたという前提があるわけです。

 私たちの1世代前には「医師優遇税制」というものがあり、特に開業医は確かに恵まれていたようです。医者の数自体も不足しており、医師免さえあれば人並み以上の生活が保障されたも同然でした。しかし、今やそんなことは夢のまた夢です。

 私が時々利用するゴルフクラブの会員さんは65歳以上の高齢者がとても多いのですが、もと大企業の会社員をされていた方々は、国民年金、厚生年金、企業年金の3重取りで、月30万はくだらないといいます。「私はサンデー毎日ですねん」とか言って、ほぼ毎日ゴルフ場に足を運ぶかたもおられるようです。まことに優雅な老後生活ですね。われわれ医者仲間ではとても考えられません。

 未だに受験生の間では医学部ブームが続いているようですが、もしも収入を期待して医学部を志望されているとすれば、それは大きな間違いです。今すぐ、他学部への志望変更をされたほうが良いと思います。]]