IFISとIOL2次挿入術 by B

今日は手術日です。白内障手術7件、眼内レンズ二次挿入術1件の計8件でした。

通常の白内障手術7件中、ハルナール内服中の方が2人。2人とも術前散瞳時、5mmくらいの散瞳で、実にIFISっぽい感じでした。

先日の眼科手術学会で発表されたIFISに関する報告では、とある大病院眼科の丸1年間、男性約700眼中IFIS発症が15眼とのこと。選択的α1ブロッカーの内訳は、ハルナール12眼、ユリーフ3眼(フリバスは0眼)。

内服患者別の発症率は、ハルナールは27人中12眼(44.4%)でIFIS発症、ユリーフは5人中3眼(60%)。ハルナールはきついIFISが2/12だったのに対し、ユリーフは2/3と、ユリーフが比較的パワフルなIFISを引き起こす可能性が示唆されてました。

今回2人とも警戒しながらオペをしたのですが、最初の方がIFISで、結構手こずりました・・(2人目は大丈夫でした)。phacoまでは慎重にやっていれば何とかなります。IAの所で、残存皮質を吸う際にfloppyなirisを吸ってしまい、更に縮瞳、ビビりながら吸おうとしてもうまくいかず、結局あきらめて少し残しました。次に、粘弾性物質を前嚢の下にいれているつもりなのですが、前嚢ごと下に下がってしまい、IOL挿入時、縮瞳も手伝ってin the bag かoutか訳のわからん状態。で、良く見るとoutに入ってました・・。ここから、IOLをbag内に入れようと一瞬考えましたが、やぶ蛇になっても困るので、結局out固定にしました。トホホ・・・(ToT)

実は昨年、当院の隣のおっちゃんの手術(勿論、幼少時からの付き合いです)の時も同様でした。この時も嚢内に、IA後粘弾性物質を入れていたら、うまくバッグ内に入った感じがせず、ブニュブニュ入れているうちに、虹彩がウンデから脱出し、そこからかなり時間がかかりました。

僕の少ない経験では、IFIS症例は、Irisだけではなく、嚢、もしくはチン小帯も弱いような気がします・・。被害妄想ですかね?

最後に施行した眼内レンズ二次挿入術は、当院ではちょいちょいやります。

というのも、当院は昔からの手術開業医院であり、ECCEやICCE後の無水晶体眼でブレスオーの方が結構おられますので、希望があるかたには二次挿入を行います。ICCE後などで、嚢が残ってない場合は縫着せねばならないので、患者さんに説明すると、「このままでいいです」という話になることが多いです。

ちなみに話が横にそれますが、初代である祖父の時代は、肉眼でICCE、二代目の親父の時代はECCE、で三代目の僕の時代はPEAです。僕の息子が継承する頃は、また全然違う術式に変わっているのだと思います。

硝子体切除は、当初、角膜サイドポートからbimanual vitrectomyをしていたのですが、IOL挿入時に前房が潰れるのが嫌だったので、最近は25Gのインフュージョンカニューラを毛様体扁平部に突き刺してからやっておりました。

ところが、前回の手術学会で、25Gおよび23G vitrectomyで術後眼内炎がかなり起こっているという報告を聞き、怖くなりました・・。つまるところ、25G vitrectomyでも、創口近くはケナコルトなどで可視化して、しっかりと硝子体切除を行わないと、ウンデにvitがカントンして感染の原因になるということでした。

僕のようなナンチャッテビトレクターが、強膜圧迫しながら周辺部硝子体を切除しようとしたりしたら、将にやぶ蛇になりそうなので、今回からは、再び、角膜サイドポートからbimanual vitrectomyに戻しました。

手術は問題なくsulcus固定できましたが、ちょっと最後の洗浄が甘いような気もします。明日眼圧が上がっているかもしれません。