地元医師会の懇談会 by B

先日、地元の市医師会の懇談会に行ってまいりました。

2世開業医としては、昔からの地元の付き合いや繋がりもあるので、こういう会はduty的な感じで出席しております。

議題は
1.入会金について
2.在宅医療について

などでした。眼科手術開業医的にはあんまり関係のない話ですが、それはそれで興味深かったです。

まず医師会の入会金に関してですが、現在、当市は新規開業医が300万円、継承開業医は200万円となっております。この継承の定義が最近あやふやになってきたらしく、昔は「継承=親子(せめて親戚)」だったのですが、現在は継承と言っても、全くの赤の他人が後継医となるパターンが珍しくないらしく、普通の新規開業の先生から不満が出ているそうです。

その医院が医療法人の場合、必ず後継者が必要になります。お子様がおられなかったり、Drになられなかった場合もあるでしょうし、親子間の継承がスムーズに行かず、大相撲の年寄株のように継承開業の権利(?)を売って、全然血の繋がっていない先生が跡を継ぐとこは珍しくないとのことです。

そう言えば、かつて親父と大ゲンカした時に、

「お前に継がさないで、誰かに継がした方がワシは儲かるんやで!」という捨て台詞を親父が吐いてしまい、更に喧嘩がヒートアップしたことがありました。
(^^;)

あと値上げも議題に上がってました。最近は開業医が過剰になり医師会入会の敷居を高くすることにより新規参入を防ごうという発想みたいです。ただ、これは自由開業制の基本理念があるので、「やりすぎるのはよくなかろう」ということになりました。

2の在宅医療ですが、50年前は「病院死20%、自宅死80%」だったのに、最近は全く数字が逆になり「病院死80%、自宅死20%」だそうです。現在、毎年約100万人死亡(つまり病院死は80万人)しているらしく、高齢化に伴い今後は死者の数がどんどん増えます。国は現在の病院数を増やす意向はなく、今後の増加分は自宅で亡くなってもらおうという方針だそうです。となると、地域密着開業医の出番ですが、そうなると課題が山積みのようです。

・開業医が看取ることになると、当然夜中に亡くなることもあるわけで、年中当直状態になる(開業して当直から解放されてホッとしていたのに・・・)

・医師会でグループを組んで輪番制にしても良いが、一度も診察をしたことのない患者の死亡検案書が書けない

などなど。

あと、ある老先生は

『昔は自宅で最後を看取るのが当たり前だった。(←年中当直状態を恐れる壮年Drは情けないといった感じで)

最近は「最後は先生にお願いします!」と言ってた患者さんが、気がつくと病院で亡くなっていたことが良くある。本人がその気でも何かあると家族がすぐに救急車を呼んで病院に行く。そして、死んだあと家族は「なぜ死んだのか?」を聞く。人間は死ぬのが当たり前なのに最近は医療ミスがなかったかをまず問い詰める家族が多い。日本人の死に対する考えから教育せねばならん。』

と仰っておられました。納得の意見でした。

産婦人科の先生が「出産も昔は自宅80%、病医院が20%だったのに、今はその逆、生と死で傾向が同じなのは興味深い」とも仰られてました。

もう一つ、鳥インフルエンザパンデミックが起こった際の対応方法の検討も議題にあがりました。眼科手術開業医的には、お力になれそうもないので、嵐が過ぎ去るまで医院を閉じるしかないなぁと考えております。