「神の手の提言」を読んで その2 by B

神の手の提言

一、正しい道徳・倫理観を持つ医師を増やす

二、厚労省の超低医療費政策を改善する

三、大学の悪しき医局講座制を抜本改革する

四、名医が育つ医学生・卒後教育

五、医師の労働環境、経済状態を外国並みにレベルアップする

六、病院の企業努力が認められるシステムにする

七、欧米並みの迅速な許認可制度をすすめる

八、医療福祉を実践しつつ、医療には金がかかることを国民に理解してもらう

九、混合診療を認める

十、脳外科医に正しい術式、進んだ治療法を学んでもらう

十一、官公庁の税金の無駄遣いをやめさせる

さて、続きでございます。A先生も述べられていた通り、福島先生は大学医局に対して、かなりの怒りを込めて書いておられます。

僕は、大学医局がこれまでの医師偏在の解消に貢献していたと考えております。ただ、現状のシステムはやっぱり改革せねばならないですね〜。教授が全ての権限を持つ独裁政権になりますので、素晴らしい教授ばかりなら良いですが、そうではない人が教授になると、その医局には暗黒時代が到来します。教授選挙自体がA先生ご指摘の通り、実力や人柄などで選んでいるわけではないので、結局、「教授の為の教授選」をやっていた大学が自らの首を絞めてしまっていたということですね。福島先生は「自業自得」と一刀両断したはります・・。

に関しては、医療関係者なら全員ご存知ですよね。先進国のうちで最低の比率。それで医療崩壊しているのに、さらに削り込もうとしております。不思議なのが、マスコミは医療崩壊に関してはかなりメディアに流してますが、「医療費を上げる」という最も抜本的な改善策に関しては、全く口をつぐんでしまいます。そして、「開業医が楽をして儲けている」という厚労省発のデマゴーグを流して、ベクトルの違う方向へ論点をすりかえております。また、医療機器や手術材料は全くこちらの持ち出しであり、高いレベルの医療を追求すればするほど、その病院は赤字になるという状況も、国民の方はあまりご存知ないのではないでしょうか?最先端の脳外科手術を提供している福島先生の病院は赤字だそうです。

ただ福島先生は触れておられなかった所では、医療費に関していうと、これまた医療関係者なら全員ご存知かと思いますが、同じ品物が大病院と一般クリニックでは違う値段で売られているという不可解な構図を何とかせねばならいないと思います。これは介在する業者が、あえて利益を大きく出さなくて良い病院には高く売りつけるからです。しかし結局税金という蜜に群がる構造と変わりありません。ここにも、業者と大学教授との関係がチラついております。

いや〜複雑ですね・・。つきつめて行けば、将来的には○○メディカルという介在業者が消失し、メーカーとの直取引になるのかも知れませんね。まあそれはそれで面倒くさくなるので困りますが・・。

に関しては、医師偏在をなくすには、「過疎地・遠隔地の勤務医年棒を今の3倍に上げるべき」と書いておられます。ただ、私は田舎の地方病院の勤務経験がありますが、今でも「医師確保手当」、「寒冷地手当」、「官舎=住居費ただ」がついていて、給与面では都会の病院よりもかなり優遇されてました。どこからを過疎地認定するかも問題がありそうですし、給与に差をつけるだけでは偏在は解消できないと思います。前も述べましたようにhttp://d.hatena.ne.jp/AtoB/20090316/1237179535、若手医師ファミリーの関心事は、

1.自分のキャリアを積めること(たくさんの症例を経験できる)
2.子供の教育問題
3.そこそこ出来るようになったら、自分の腕を皆に評価してもらいたい

この3点に集約されます。2については、いくら御主人だけが地方勤務で良いと言っても、奥さんが「絶対イヤ!」と言えば、不可能になるのです。という訳で、

各地方に核となる大病院を作り(ここは国の仕事だし今でもあるでしょう)、そこの医師は研修医で年棒600万、ヒラは自分の得た診療報酬の25%(1人前になれば1億円くらいは診療報酬で稼げると思うので)、部長クラスではそれプラス役職料1500万。などの報酬体系にすれば如何でしょう?少なくとも、給与は出来高制にすることにより、腕自慢が集まってくるやも知れません。結局、皆が開業に流れるのは出来高制みたいなもんなので、やり甲斐が勤務医に比して高まるからです。更に、その病院勤務医のお子様達には、都会のバリバリ塾の出張授業が受けれるとかになれば更に良いのではないでしょうか?僕のボヤキになりますが、塾関係は親の不安に付け込んで儲け過ぎです!!職業比率で見ると、医師の家は教育産業にはかなりお金を払っているはずですから、教育産業も医師偏在問題に協力する義務があります!

はマスコミを味方につけねばなりません。日本医師会自民党国民新党あたりに政治献金をやってると思いますが、何にも変わらないし、それを止めて、電通とかに献金して世論誘導してもらった方が、良いんじゃないでしょうか?ネットも大切ですが、やっぱりまだテレビと新聞が世論を誘導します。まあしかし、その電通こそ反日マスコミの親玉という説http://koramu2.blog59.fc2.com/blog-entry-390.htmlもあり、このへんは痛し痒しですが...

も全く異論ございません。混合診療を認めることによって、患者様の選択肢の幅が広がりますし、逆に認めないことによって、様々な弊害が噴出しております。わが眼科界では、画期的と言っても良い屈折矯正手術(LASIK)が、いつの間にやら、非保険医(美容系クリニック)の独壇場になっております。もう取り返しがつかないくらいの所まで来てしまったのではないでしょうか?反対派は「金持ちのみが良い医療を受けられる社会になるのは良いのか?」と共産主義的発想を振りかざしてきますが、福島先生も述べられているように、「ベースラインの高い医療をきっちり保険診療で行った上で、高級診療を認める」わけです。医療にお金を掛けたくないと言う人はベースラインのみで、やれば良いし、医療にお金を惜しみたくないという人は高級医療を差額分だして受ければ良いわけでございます。そうすることによって、病院も潤います。なぜ日本医師会混合診療に反対なのでしょう?さっぱり訳がわかりません。

むしろ「国民皆保険制度を守るために混合診療が必要」というキャンペーンを医師会側がはっても良いと思います。

ベリーロングになって参りましたので、ここらでボチボチ感想文を終わります〜。