まともな論評も by A

マスゴミのレベルの低さは本当に困りますが、中にはまともな評論もあり、雑誌、週刊誌系に多いようです。たまたま本日発売の週刊新潮で、福田和也さんが書いておられました。

世間の値打ちというコーナーで、「救急車たらい回し報道の”どもならん”度」と題して、新聞報道のええかげんさを書いておられます。これがなんともひどい。

4月4日、宮崎の日向市で、側溝に脱輪していた車のなかで65歳の男性が倒れているのが、通りがかりの人に発見されました。その時点で意識はなく、8分後に駆けつけた救急隊員が心肺停止を確認したといいます。この時点で死亡していたということです。電気ショックをかけるも反応がなかったので、病院に報告したとのこと。

それを、朝日、毎日、読売、中国の各紙は、「7病院搬送拒否」などという見出しで報じたらしい。

「日向市などの7病院が救急搬送患者の受け入れを10回にわたって断り、患者が死亡した問題は、医療関係者に衝撃を与え、背景として医師不足を指摘する声も相次いだ・・・。」とかなんとか。

しかし、福田さんは言います。この件は医師不足という、地方自治体あるいは国家の、政策の水準の構造的な問題、いや日本人の生き方や価値観と密接に関わっている大問題を改めて問うような事例なのか、という疑問を持たずにはいられません。蘇生の可能性が、きわめて低い、もしくはないと考えたから、受け入れなかったのではなかったか。それを「たらい回し」として報じるのは、現場で奮闘しているお医者さんに失礼というか、フェアではない気がします。心肺停止から数分を経ているのであれば、施せることはほとんどない、というのは臨床医として分かりきったことでしょう。であれば、助けられる患者さんに全精力をふりむけるのが当然ではないですか。

他にも、今年3月31日には、奈良県生駒市で心肺停止状態になった62歳の新聞配達員について、「救急搬送、6施設、受け入れ断る」という見出しで毎日が報じていますし、昨年12月には福島で、ワゴン車にはねられ救急車が到着した時点で心肺停止になっていた79歳の女性についても「6病院が拒否、死亡」と報じています。

医師不足医師不足とメディアは騒いでいるけれど、苦労しているお医者さんにたいして、「たらいまわし」だ「搬送拒否」だと、バカの一つ覚えで非難することが、医師不足を助長しているのではないでしょうか。どもならん、正味の話。と書かれています。

事故や病気で死亡した人間を生き返らせることなど、神ならぬ医者には不可能なことです。バカマスコミはそんなことすら理解できない。そんなに医療が心配だったら、NHKや毎日が自分で病院を建てたらどうでしょうかね。

冗談はさておき、結局のところ、報道を読者のレベルに合わせようとするからおかしくなるのです。誰だって死ぬのは恐い。道端で突然意識を失ったらどうなるだろう?という不安感をあおり、読者の心理につけこむ作戦です。これがたとえば、このブログで書いているように報道したとしたらどうでしょうか。記事にすらなりませんね。

「○月○日、どこそこの道端で意識を失っている何某さんが発見された。救急車がかけつけ、死亡が確認された。」おわり。

まともな意見は記事にならない(できない)構図が見て取れます。記者も読者の関心を惹くことに必死なのです。そのため、誰かを悪者に仕立てたり、医療が崩壊するなど、どうということありません。毎日の部数こそが命です。大衆マスコミの宿命ですね。

NHKのスポーツ報道でも、卓球といえば「愛ちゃん、愛ちゃん」のオンパレード。世界はおろか国内でも福原を越える選手は大勢いるのに、なぜか報道されません。カーリングといえばチーム青森。見ていてばかばかしくなるほどです。大勢の視聴者に受けるからこそ、このような報道になってしまうのでしょうが、これではニュースではなく、芸能レポートに過ぎません。最近、特にひどくなってきています。NHKがこれでは、ほんとうに、どうしようもありませんね。