死中に生あり by B

ウイグル暴動のニュースが世界を駆け巡っております。1949年には新疆ウイグル自治区の漢族人口は全体の4%だったのにいまは41%に増えているとの事。ウイグルには石油など資源が豊富で、中国はそれを低い値段で買い上げる一方、政治犯収容所や核実験場を作っております。

核実験場はかつてのシルクロードの要所であった楼蘭の近くにあるそうで、1964年から1996年にかけて、地表、空中、地下で延べ46回もの核爆発実験を施行してるようです。勿論、中国は公式なデータを出さないのですが、大気・水汚染なども含め、推定死亡人口19万人だとか・・。

NHKはシルクロード好きで、しょっちゅうその辺に取材に行ってるはずですが、あまり触れませんね。

ウイグルの方には気の毒で仕方ありません。暴動も起こしたくなるでしょう。同様に迫害されているチベットの場合はダライラマという政治的象徴があり、ネガティブキャンペーンがある程度の効果を上げますが、ウイグルはそのような象徴がないため(世界ウイグル会議って、はじめて聞きましたよね)、今回の暴動も数か月後には、皆忘れてしまうでしょう。

誰が聞いても、中国が悪く、ウイグルが気の毒という事になりますが、誰も中国に文句を言う事が出来ません。なぜかと言うと、中国は核爆弾(ウイグル人を犠牲にして・・)を持っており、軍事大国に成ってしまっているからです。北朝鮮もその後、ポンポンとミサイル実験を行っておりますが、もう誰も何も言えません。


裏返せば、ウイグル人チベット人も100年ほど前までに世界の中での自国の位置づけに目覚め、国家の作成に邁進し、自国防衛の為の軍事力(他国の庇護の下でも)を有していれば、こうはならなかったでしょう。

サヨクがどれほど武力放棄の高邁な思想を高らかに掲げようとも、現実世界は斯様に残酷なものなのです。


日本も、一歩間違えれば同様の境遇に陥っていた可能性は大いにあります。

あの黒船来航以後、動乱を経て、勝海舟西郷隆盛大久保利通坂本竜馬などなどが、「中央集権国家」を作り、明治期のご先祖様(国民)たちが重税に耐えて他の列強に負けない軍事大国を作って下さったお陰で、今日の繁栄を享受しているのです。

(日本に「天皇」という象徴的存在が自然な形であったというのは、奇跡的な幸福であります。中央集権国家を作成する上で、誠に好都合であり、更に世界史上稀有な発展途上国の怒涛の追い込みを可能にしたのです。ありがたや・・)


さて、さすがにそろそろ総選挙が近づいてまいりました。自民党は政権を維持せんと汲々としており、麻生総理を退陣させ、新たな選挙の顔を建てて臨むべしという声が大きくなってきました。

ついこないだ皆で選んだ党首です。しかも国民的な人気が高いという理由で、選んだ党首です。麻生おろしを敢行し、党首になった人は、もし前回の総裁選で選ばれていたら、このような状況にならなかったと言えるのでしょうか?

つまり、誰がなっても、この歴史的うねりの中では同じです。

名将上杉謙信が「死中に生あり、生中に生なし」という超有名な名言を遺しております。

自民党は顔のすげかえや、世襲制限などの大衆迎合策(と彼らは思っているようですが、迎合にもなってない)をやるよりは、堂々と負け覚悟で真に言いたかった事をマニフェストに書くべきです。

すなわち、

  • 憲法改正(勿論、9条も!)
  • 軍事費を2倍にし、中国との軍事格差を生じさせないよう充実に努める
  • 米国との軍事同盟の維持発展
  • 世界唯一の被爆国として、原子力の安全な使用のため、世界のリーダーシップをとる。国内のほぼすべての電気を原子力発電所で賄うべく、増産する。
  • 総理の靖国参拝当たり前
  • 消費税を上げて、社会保障の財源にする

などなど

官僚の天下り制限などをあまりする気がないのなら、その理由をはっきりと述べれば良いでしょう。ひょっとしたら「それもそうだ」と思う人も出てきます。

尊敬する憂国の女傑、櫻井よしこさんが、「負けるにしても負けっぷりが大事」とどこかに書いておられましたが、当にその通り。

政権を渡したくない思いで戦うと確実に「生中の死」、負け覚悟で保守政党としての気概を見せれば「死中の生」があるやも知れません・・。

民主党は国民へのバラマキ政策の財源の一つに、「軍事費削減」も言っております。そういう甘ったれたユートピア的思想の党に、戦国時代に突入している世界の中で、日本の安全を任せられるでしょうか?

とは言え、「民主党は一度も政権担当したことがなく、夢物語ばかり述べている。安心して任せられるのは自民党!」という自民党の論法もおかしいですね。それで行くと、未来永劫、自民党以外は政権を任せられないということになる。

現状のままでは、「政権交代」のみが唯一の論点になってしまいます。自民党は死に体となって、保守の真髄を見せてほしいです。そうすることによって、民主党もそれに答える必要が生じます。それが新たな論点を産み、(負けても)日本の民主政治が新しい一歩を踏み出せます。