オペ待機期間 by A

6月は学会やらなんやらと忙しかったです。7月に入って、あまりに暑いからか、患者さんの出足も鈍っています。春に貯めた手術をこなす毎日です。うちでは手術の待機が2ヶ月くらいです。

手術患者を増やしたければ、待機期間をゼロに近づけるのがよいですね。年間1万例を一人でこなす、アメリカはタンパ・フロリダのジル先生のところでは、初診=手術のシステムです。電話で予約した日の朝検査をし、11時くらいから6時くらいまで手術を行います。手術は前半をアシスタントが行い、部屋が3つあり、術者が回ります。

B先生も待機期間をもっと減らせば、ジル先生みたいになるかもしれませんよ。日本でこのシステムの人は知る限りおりません。出来高払いの保険制度ですから、なじまないということでしょうね。海外では逆に包括医療ですから、受診回数が少なければ吉ということです。ただし、朝の外来では、診察を手伝ってくれる医師が複数名必要で、検査スタッフもたくさん要ります。

しかし、待機期間があることのメリットも多いです。まず、患者さんとの意思疎通。来院するまでに治療内容を漠然と把握されていらっしゃっても、想像と実際とは異なるのが普通です。その差を埋めるのに、たった一度の説明ではなかなか困難です。「一度良く考えて・・」と、家へ返すと、「やっぱりやめときますわ」となることもあります。

レンズの種類、多焦点か単焦点か、あるいはこれからならトーリックにするか、狙いはどうするか、モノビジョンの適応はあるかないか、LRI(輪部切開乱視矯正)を追加するかどうかなどなど、治療方針の選択枝もたくさんあります。これを半日でご理解いただき、その日のうちに手術にもってゆくのは大変です。まあ、不可能といっていいでしょう。

待機期間は患者さんとご家族に手術についてじっくり考えていただく期間ととらえています。しかしそれだったら、あんまり長すぎるのも考え物ですね。大抵の開業医は一週間の手術件数を決めていて、待機期間を延長していくことが多いようです。よくはやっているある先生など、「手術は週16例で終わり。それ以上はしんどい。待機期間は今だと10ヶ月!」とか、自慢とも冗談ともつかぬ口調で語ってくれます。ほとんどの公的病院も同じような事情でしょう。

待機期間中に体調をくずされる患者さんも多いですね。よくお話を伺うと、もともと何らかの持病があり、悪化したということのようです。待機期間なしに手術をしてしまうと、そんなこともわからず、手術中の全身トラブルに巻き込まれる可能性もあります。

待機期間があまりにも短いと、農繁期や盆、正月など、受診の少ないときは手術も少なくなり、手術場の体制を安定的に維持できません。管理者としてはそれも困ります。

ということで、私のところでは、待機期間を「2ヶ月」に調整しています。このことにより、患者さんにそれほど迷惑をかけることなく、ゆっくりと治療方針をたてることができ、再診回数をそこそこかせげ、一年を通じて同じペースで手術をこなすことができます。

皆さんはどうされていますか?