女性のIFIS症例 by B

本日は白内障手術7件、硝子体手術3件(うち2件は白内障とのトリプル手術)でした。

硝子体手術は仲の良い先輩vitrect surgeonに執刀を任せております。DMの黄斑浮腫に対する硝子体切除+ケナコルト注入、原因不明のVH(結局、原因は網膜細動脈瘤)、黄斑円孔の3症例でした。

私の担当の白内障手術ですが、1例、難症例がありました!!

IFISは前立腺肥大治療薬を内服している方、すなわち男性におこる、虹彩のrigidity低下です。しかしながら、皆さまも経験的に感じておられると思いますが、女性にも同様の症例がありますよね?

今までも何回か経験したと思います。今回、久々に経験しましたので、報告いたしまする。

症例:82歳 女性

既往歴:心臓病でバイアスピリン内服中(勿論、ハルナール等は飲んでおられません!!)

現病歴:白内障手術目的にて他院より当院紹介受診。

術前診察時より、虹彩フニャフニャを予想させる、実に力のない散瞳でした(散瞳径5mm)。核硬度grade3.25(三好分類)。PSCOも強く、術前視力0.02(n.c)です。


これがまた、実に瞼裂が狭い方で、手術は吸引付開瞼器を使用しております。


http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=1744903

角膜bent切開という、少数民族の私ですが、瞼裂が狭く、bent部は断崖になっているため、耳側に近い所で切開してます。

麻酔は点眼+前房内麻酔。

稚拙なIOL挿入テクニック、並びに、曲ってしまったプッシュ&プルを現役バリバリで使用している所を供覧するのは、とても恥ずかしいです・・。

最後、ハイドレーションで角膜創閉鎖を目論みましたが、虹彩が脱出してしまうため、創部にビスコートを塗り、サイドポートから水を入れて創閉鎖を行いました。

遠方の方で1泊入院されておられます。夜7時ころ眼圧を測定すると、15mmHgで、眼圧上昇もなく、ご本人も良く見えると喜んでおられました!ヤレヤレでございます。

ビスコートって、本当に有用な粘弾性物質であると、今日再認識した次第でございます。

結局、前立腺肥大治療薬を内服していなくてもなるということは、生理的に(加齢?)α1レセプターが阻害されるという事なんでしょうね〜。

またご意見お待ちしております!