最近の眼内レンズ事情 by A

B先生はさすがにタフですね。日帰りで東京のセミナーとは。私にはそこまでの元気はありません。多分、業者も分っているので、私のところは案内もありませんでした。ペニンシュラは香港のホテルですね。日本でもやっぱり紅茶のサービスがあるのでしょうか。

私のところでも、最近は多焦点に一時ほどの勢いがなくなりました。というのも、よくよく患者さんに伺ってみると、「メガネをはずしたい」と心底思っておられる方はあまり多くないからです。それよりも「良く見えたい」と思っておられる方の方が多い。考えてみれば当然のことですね。「良く見えたい」人には、多焦点よりも単焦点、それも非球面やトーリックを薦める方が良いに決まっています。

それでも残ってくる多焦点の適応は、1.若年者の片眼、2.コンタクト装用中の女性、3.メガネをはずしたい遠視の女性などです。それ以外の方にはあまりお薦めしていません。

多焦点は多額の自己負担がありますので、満足の敷居が高いです。しかも、その負担分のほとんどが業者に持っていかれます。割の合わない営業活動ということですね。普通の保険診療に徹したほうがよほど楽です。

ところで、ASCRSの報告などを見ると、アメリカでもLASIKの低落は著しいですね。一時年間100万件近く行っていたのが、最近は70万件くらいとか。これだったら日本とあまりかわりません。というか、人口比で見ると、今や、日本のほうがLASIKが普及しているということになりそうです。日本はいつの間にかLASIK大国になっています。

白内障手術は300万件ということらしいですので、こちらは日本とほぼ同じ数(人口比)ということになります。やっぱり保険は偉大です。アメリカでは多焦点やトーリックなど、自己負担が多い印象がありますが、多分、保険会社によってはカバーしている部分があるのではないでしょうか。日本の医療保険のように。

そのアメリカで、もっとも大きいシェアを誇るのが他ならぬリストアです。屈折型リズームは苦戦しています。日本でも同じような状況ですね。日本と異なるのは、調節性レンズがシェアを伸ばしていることで、新しいレンズもいくつか出てきているようですね。ただし、これも、多焦点にくらべてやや安いからだという説もあります。光学部がセパレートされたデザインの新しい調節性レンズ(名前は忘れました)は一度使ってみたいような気がします。

日本はLASIK大国ですが、眼科ではなく美容外科が主体となっています。これもまた、世界に例を見ない状況ですね。ところ変われば品変わる、品川クリニック−お粗末の一席でした。