保険点数について by B
前回のブログのA先生とのコメントのやり取りで重要と感じた部分がありましたので、抜粋します。
A 2009/09/02 10:01
「新政権発足前の大量の駆け込み天下りを見ていると、本当に、どうしようもない官僚が多いですね。とはいえ、うまく使いこなさないと、国が機能しません。民主党がどうやるか、注目です。B先生のおっしゃる副島氏のHPを見ました。副島さんは小沢さん命ですね。びっくりしました。副島さんはいろいろな経済危機を言い当てた人ですので、今回もあたっていることを祈っています。
さっそく、アメリカ筋が日本を牽制しています。またポチになってしまうのか、新しい覇権を打ち立てるのか、どうするのでしょうね。アメリカに敵対するわけには行きませんが、北朝鮮ほどではなくても、日本も原爆被爆国ならではの「瀬戸際外交」が可能なような気もします。「原爆、しようがない」では、いつまでたっても埒があきません。
ところで、エコカー減税、エコポイントなど見ていると、従来の日本政府の大企業志向は疑いないところです。このお金の一部でも医療に振り向けられなかったものでしょうか。公立病院眼科に最新の超音波器械を与えるとか・・・。公立病院の器械不足は、今や発展途上国以下です。「発振制御付の超音波装置がないので、先生のところで手術をお願いします」と言われると、情けなくなります。」
B 2009/09/02 21:11
「このブログの最初の方で書かせて頂きましたが公立病院の窮状について by B - 眼科手術開業医の戯言公立病院の設備はミゼラブルです。全てではないと思いますが、眼科が看板でバリバリやっている一部の施設以外は、良く似たものなのではないでしょうか。
病院全体の売上でみると、所詮、眼科の売上など内科外科に比べれば微々たるものですので、よっぽどカリスマがあるか、押しの強い部長でないと、器機購入の陳情が却下されやすいという事情もあると思います。
そういえば、日本の高度経済成長時代は、公立病院眼科の設備は最先端を行ってたのでしょうか?」
A 2009/09/02 22:31
「先生の最後のご発言に対する答えはイエスです。しかし、それは予算が多かったからではありません。昔、大学、公的病院などでは、新しい器械が出ると業者が押しかけて、「使ってください」と置いていったものです。器械の貸し出しは当たり前で、何年も置いたままということもざらでした。それに待ったをかけたのが「公正取引委員会」です。利益の供与になることはダメと、器械の貸し出し、営業の立会いは禁止されました。
これは多分、業者と行政の出来レースだったと思います。業者にしてみれば、永久貸し出しのようなことは避けたかったはずですから。その結果、大きな病院の設備が貧弱になってしまいました。
もともと、高額の器械を簡単に減価償却できるような保険点数はついていなかったということです。今後、医者、業者、患者が総倒れにならないためには、適正な保険点数をつけていただくか、混合診療を認めるようにしなければならないでしょう。」
つまり、保険点数自体が低すぎるという事実です。
特に公立病院は、一般従業員の給与や福利厚生が充実しているため、人件費・諸経費が開業医とは桁違いだろうと思います。普通にやっていて黒字が出るようには今のシステムではなっておりません。
公立病院の窮状について by B - 眼科手術開業医の戯言で指摘しておりますように、公立病院サイドにも親方日の丸体質でコストカット意識が欠如しているなどの責任はあるにはありますが、やはり厚労省・自民党政治家の失政の誹りは免れないと思います。
「でも開業医は儲かっているではないか??」
との疑問がおありでしょう。昔のように、「この地区の○○科はこの医院」と決まっており、競争が少ない時代なら新たな設備投資等を気にしなくとも、左うちわで裕福な生活を送れたでしょう。
しかしながら現在は、たくさん開業医があり、患者さんに選択の余地があります。流行っていない眼科の先生が高額の給与を設定して、一時は優雅な生活を送っていても、設備投資が出来ずにいると長い目で見れば衰退の道を辿って行くでしょう。
開業医も流行っている所は良いが、流行っていない所は苦しいピッチングを強いられるということです。
私Bは身をもって体験しております。私が継承した時、医療法人の通帳には3000円しか入ってませんでした。給与は毎月50万円×12の年棒600万円で1年過ごしました。勿論、勤務医時代より激減です。
現実を知らないマスコミは「勤務医は過酷で開業医は優雅」という非常に誤った印象をお持ちですが、ある程度生活が保障されている勤務医よりも、開業医の方がリスキーだと感じている先生方も多いのではないでしょうか?またもや自分の話で恐縮ですが、私は勤務医時代より現在の方が、遥かに仕事量が増え、忙しいです。
話がそれてしまいました。。
今回の選挙では、どの政党も医療費を上げると言っておりました。医療費を上げてもらうという一点に絞れば、民主党と社民党の社会主義的な連立政権は我々にとって追い風です!
A先生ご指摘の通り、自民党は大企業重視の景気対策、企業から下々にお金が行くというスタンスです。一方、民主党は直接民衆にお金を渡すというスタンス。
医療に関する施政方針は明らかにはなってませんが、ここは民衆のために、一発ドカンと医療費総額を上げてほしい所ですね。後期高齢者制度を破棄し、老人医療を無料か多くても1割負担にし、子供の医療費をタダにすれば、グングン医療費総額は上がりますよ〜。
開業医に対しては、それなりのリスクを背負っている分、自由に出来るメリットがありますので、新たな保護政策は不要だと思いますが、勤務医に対しては、「神の手の提言」を読んで その2 by B - 眼科手術開業医の戯言で論じましたように、ベース給与アップ、実力のある先生がたくさん稼げる出来高制の給与導入が宜しいかと思います。
ただ、こちらの良いことばかりを欲しても国民の理解は得られません。医療材料費が大病院と開業医で違うのも、少し心苦しい感じがありますので、ここはほぼ均一にしてもらっても良いかと思います。
医者サイドは、
- 新しい医療技術にはお金がかかること
- 医療機関に利益が生じないと、新たな設備投資が出来ず、結局、国民に被害が及ぶこと
- 勤務医に、もっとやりがい、高い報酬を与えないと、医療システムが崩壊してしまうこと
- 開業医=金持ちというわけではなく、一生懸命頑張った人が労働に対する正当な報酬として良い給料をもらっていること、しかし、福利厚生などは誰にも頼ることは出来ず、決して皆が思うようなバラ色の職業ではないこと
これらのことをアッピールしていくべきだと思います。そして、大学医局改革も並行して行わねばなりません。