チン小帯広範囲断裂例で激闘! by B

昨日、中川昭一元大臣が死去されたというニュースが列島を駆け廻りました。

あまり、政治にご興味のない方は、あの酩酊会見しか知らないかも知れませんが、正に国士と呼ぶに相応しい、偉大な政治家でした。

  • 中川氏は、農林水産大臣としてポジティブリストを導入し、中国等から無差別に輸入される毒菜に一定の歯止めをかけた。
  • 中川氏は、財務大臣として金融援助をIMFに一本化し、韓国やアイスランドなどから申し込まれた二国間融資は全て断った。
  • 中川氏は、拉致問題に早くから取り組んできた政治家の一人であり、拉致議連の会長もつとめた。
  • 中川氏は、非核三原則の堅持は当然”としながらも日本の核武装の是非について繰り返し“論議すべし”と言及した。
  • 中川氏は、中国の東シナ海ガス田資源開発に対し、日本の資源をかすみ取る中国を遠慮することなく批判し毅然とした対応をとった。


  • 中川氏の勉強熱心は有名で、官僚にとっては渡した原稿をそのまま読んでくれない、扱いにくい大臣だったとのこと。

日本が好きなだけなんだよより一部抜粋。

靖国神社には正々堂々と参拝され、日本の保守再生の旗手として、希望の星でございました。

あの酩酊会見で、徹底的にマスコミに貶められ、選挙に落選、大臣でなくなってSPがいなくなったら、すぐに他界されましたね・・・。

謀略かどうかは知りませんが、日本で現職大臣時代に、ほぼ唯一、堂々と国益を主張し他国に一歩も譲らなかった勇気ある政治家が、逝去したという事実は消えません。

本当に酩酊会見が悔やまれてなりませんし、御主人を「日本一!」と励まされていた奥様の心痛を想像すると胸が痛みます・・・。

心よりご冥福をお祈りいたします。中川氏の遺志を継ぐ、政治家があらわれる事を願っております。


今日はオペ日でした。1例、久々に大激闘しました。白内障で70分です・・。

症例は紹介患者さんで、視力0.2(n.c)。術前は全く異常に気付かずに、軽〜い気持ちで手術に臨みました。

しかし、開始しようと顕微鏡をのぞくと、チン小帯が半分以上外れており、水晶体のエッジが見えております・・。急いでカルテを見てみると、初診時に「2カ月前に石が目に当たったけど、大したことはなかった」との記述あり、どうやらその時に断裂してしまっていたようです。

取りあえず、点眼麻酔+前房内麻酔でいつも通り手術を始めました。

CCCはいつも稲村セッシで行いますが、とっかかりを作ろうとセッシで水晶体を押すと、チンが外れているため水晶体が沈みこむだけで前嚢を切開出来ません。仕方ないので、Vランスで切れ込みをいれ、そこを稲村セッシでつまんでCCCを完成させました。

次に、CTRを挿入しました。ここで、かなり手間取り時間を費やしました。手際が悪かったせいか、硝子体が前房内に脱出してきました。(チン小帯が半分以上断裂していても、CTRで嚢の強度を補強し、IOLをサルカスに載せれば、縫着しなくてもイケる!という情報を今年のAPACRSでゲットしたので試したわけです)

次に、こんな時の為に置いておいたカプセルエキスパンダーを登場させました。しかし、これをCCCエッジに引っかけるのが至難の業でございました!!考えてみれば当たり前ですが、カプセルエキスパンダーが必要な部位は、チン小帯が外れてしまっている部位でありますので、CCCエッジに引っかけようとする力で水晶体が沈み込み、なかなか引っかかりませぬ・・。2か所に引っかけましたが、多大な時間を浪費しました。

ハイドロ後、フェイコしましたが、硝子体が脱出してくるため、硝子体を吸引してしまったと思ったらチョッパーで硝子体を解除し・・と繰り返しました。なんとか核を食べることは出来ました。

フェイコで激闘しているうちにカプセルエキスパンダーが外れてしまいました・・・。もうこの状況で再びエキスパンダーをつけるのは、私の実力では無理であると観念致しました・・。

皮質をIAで吸おうと試みましたが、硝子体をガンガン吸いこむので、断念。バイマニュアルで25Gカッターによる硝子体切除を行いました。残存皮質部はカッターを吸引のみにして吸おうと試みましたが、このくらいから患者さんが疼痛を訴え始め、ギンギンに硝子体圧が上がってきました!!

一度、器具を抜いて粘弾性物質を注入しましたが、ギンギンになっておられるため、前房形成がほとんど出来てないのに、粘弾性物質が跳ね返されるかのように眼外へ出てしまいます。それでも注入してると、虹彩がウンデから出てきました・・・。勿論、患者さんだけではなく、術者も半泣きでございます・・。(ToT)

テノン嚢下麻酔を追加しました。キシロカインを振りかけた時、患者さんはうめき声を挙げておられました・・。

麻酔追加後は明らかに硝子体圧が下がり、手術がやりやすくなりました。しかし、残存皮質を除去することは叶わず、あきらめることにしました。

計画通り、サルカスにIOLを載せ、オビソートで縮瞳後、前房内の硝子体をカットして終了しました。


サイドポートはたくさん開けましたが、一応角膜小切開で手術を完投出来ました。とは言え、皮質は残っているし、長時間の手術で角膜は浮腫りまくっているし・・という訳で、最初からICCE+縫着と決断してしまった方が、良かったような気もします・・。

先週もIOLインジェクタートラブルがあったばかりですし、どうやら、僕の運気がまた下降しているようです。明日、氏神様に参拝してきまする・・。トホホ・・・