外科系医師の幸せ by A

ひさびさに投稿します。本年も残りあとわずかになりましたが、幸いなことに、本業の開業医生活に破綻を来すことなく年を越せそうです。本当のところ、開業医として手術を生業にするということは、とても幸せなことと思っており、出来るならばもうしばらくこんな生活を続けたいと願っています。

地元医師会の同業者の中で、手術を多少なりとも行っている人はほとんどいません。外科系の開業医の中で、「手術を生業にする開業」が成立するのは眼科くらいのもので、他の科の先生方とは微妙に話が食い違うのが普通です。

私は研修医の一年目に一般外科を専攻いたしました。外科の同窓生と会ってお話をしますと、「●●(私の名前)が一番うまいことしたな〜」と言われます。彼らの言い分ではどうやら、したいことをして儲けているということのようです。

外科で開業をする道もありますが、たいていはちょっとした傷や捻挫の手当以外には、実質的に内科医となってしまいます。消化器外科⇒消化器内科、心臓外科⇒循環器内科、といった具合です。胃癌や心臓病の手術は大掛かりすぎて個人開業医が手掛けられないし、たとえ行ったとしても大赤字となり、経営が成り立ちません。

親に病院を譲ってもらった同級生(外科専攻)は、卒業したてのころよく胃の手術など行っていましたが、今や内科医となっています。病院は腎透析と老健施設でなんとか持ちこたえている状況のようです。

外科系の医師にとって、手術をすることがレゾンデートル(存在する意義)となっています。外科医は手術をして病気を治すということに、生きがいを覚える動物です。少々経営が苦しくとも手術を捨てずに済むならば最高です。ところが、昨今の医療費削減政策で、民間の医療施設では手術を続けたくとも続けられないというのが実情になっています。

手術をして、患者さんのお喜びになる顔を見れるだけでも幸せなのに、それだけで経営が成り立つとなると、それ以上のことはありません。

「だから眼科医は憎たらしい。もっと報酬を下げよ!」とかいう手合が2ちゃんには大勢いるようです。全く論外ですね。逆に、眼科手術の点数をもっと上げてもよいし、同時に、外科系の手術という手術の点数をすべて2倍にし、その上げた分は執刀医に直接支払うようにすればよいのではないでしょうか。

やる気のある医師をもっと働かせてこそ、医療崩壊から立ち直れ、国民の皆さんの信託に応えることができます。卒後10年間学び続けてやっと習得できる外科系専門医のスキルを生かさないのはもったいないです。