眼科手術学会印象記その弐 by B

では、手術学会印象記の続編でございます。

金曜日の晩は飲みに行き、先輩・後輩と楽しい時を過ごしました。

土曜日は頑張って、朝8時からのモーニングセミナー(抗VEGF療法)に出席しました。

噂によると、次回の診療報酬改正でAMDに対する抗VEGF薬硝子体内注入術が保険収載になる見込みとのことですので、当院でも始めようかな〜と考えてます。

ただ当院は、蛍光眼底造影検査をしてないのがネックですね・・・。親父の代はやっていたのですが、万一のショック時にしっかり対応できる体制にはなっていないので、撮影機が古くなってきたのもあり(既に撤退したNICON製)僕の代になってから辞めてしまったのです。

通常の診療は、OCTによる評価とスリットランプ下のスーパーフィールドレンズでの観察で問題はないのですが、新生血管系の病気は、やっぱりないと不自由です。あとDMに関して、眼底所見はそれほど悪くないので油断していると、急激に虚血が進み、血管新生緑内障になるタイプが確実に存在しておりますよねぇ。これを1年に1例ずつくらい経験しておりますので、必要性はつくづく感じておりました。

まあしかし、購入するとなると、画像ファイリングシステムもついてくるでしょうし、ええ値段しそうですね〜。検査時に気分が悪くなる人も必ず出てきますし・・・。まあじっくり考えます。


9時からは、白内障関連の演題を聞いておりました。

このブログでvisco CCCマーカーの話をした事がありますが、なんと同じ発想の先生がおられ、その先生が演題を出しておられました!その先生はトリパンブルーとヒーロンVを混合させておられました。まぁ、あくまでも目安にしかならないので、流行らないと思います・・・。

あと、トーリックIOLの早期成績です。皆さま素晴らしい成績でしたが、結局のところ、最初のマーキングの所が勝負だよね・・という感じです。


ランチョンはボシュロム社のStellarisについて聞いてまいりました。

アメリカでは滅茶苦茶評判が良いそうで、Infinityより前房安定性は上とのこと。また、ボシュロムは約30KHz(他社は40KHz)の発振周波数を採用しており、周波数が少ない分、チップの振幅が大きくなり、よりパワフルに核を食べれます。さらに、熱も発生しにくく、よりクールなオペ可能とのことです。

従来機種ではその分、kickingも多かったのですが、ロータリーベーン吸引圧制御システムやマイクロメッシュフィルターを採用したstable chamber tubingにより、克服したとのこと。ベンチュリーの良い所を引き出しつつ、最新テクノロジーで悪い所を抑え込んでいる感じ。非常に良さそうでした。ただ、吸引チューブについてるマイクロメッシュフィルターが数例使用していると変色してきて、前房が不安定になったりすることがあるらしいです。1件1件チューブを交換する施設なら問題にならなさそうですが・・・。

とは言え、ベンチュリーの特性・・チップ先が閉塞していなくても一定の吸引圧を得る事が出来ますので、核が割れてさえすれば、小瞳孔の難症例でもどんどん核が寄ってきてパクパク食べちゃえるようで、非常に魅力的でした。

Signatureもバージョンアップでベンチュリーポンプ搭載するらしいので、デモが楽しみですね〜。

ちなみに会場で、何度か見学にも行かせて頂いていて面識のあるボリュームサージャンの先生方にお会いしたので、

「今買うならどのマシンが良いですか?」

と質問しましたところ、ソフトで紳士的な○○先生は「無限号がいいよ。」、いつも楽しい△△先生は「無限号は柔らかい核は楽しい。ただ、grade5でVIPの時などは困っちゃうんだ。そういう時は至高号。サイン号は至高号よりちょびっと良くなってきたけどね。」とのことでした〜。


午後は特別講演を聞きました。catract surgeon界のスーパースター清水公也先生と、vitreous surgeon界のスーパースター小椋祐一郎先生が続けて講演されるという豪華絢爛なプロデュースでございました。

清水先生の話を聞いていると、モノビジョンによる老視矯正を積極的にやってみたくなりました!

その壱の巻にも書きましたが、しっかりとした裏付けをもとにモノビジョンをやるには開放下における、明所近見時の瞳孔径を測定する器械が必要です。

良い器械はないですかね〜。買うつもりです。瞳孔径測定機器をお持ちの先生方は是非情報を教えてくださいませ。
m(_ _)m

小椋先生のお話は引き込まれるように聞いておりましたが、悲しいかな、前夜の夜更かしが祟り、気が付いたら爆睡しておりました。小椋先生、申し訳ございません!!目が覚めた時はほぼ終わりかけでした・・・。

その後、早々にホテルに帰って体力回復につとめ、また夜に先輩と飲みに出かけた次第でございます。

今回、聞いてなかったのですが、トーメイがOKULIXという光線追跡法による新しいIOLパワー計算ソフトを開発したようで、SRK-T式以上にビシビシ決まるらしいです。(イブニングセミナーだったので、体力がもちませんでした・・)

SRK-T式は角膜前面曲率半径値から前房深度を予測するため、LASIK後眼などでは大幅に遠視ズレを起こす事は周知の事実であります。多分、前房深度の実測値を代入して計算するため、OKULIXの方が正確という話なんですかね〜。

トーメイもなかなか商売が上手ですね〜。これがトーメイの眼軸長測定器にしかつかないとなると、バカウレしますよ〜。

IOLマスターユーザーとしては、複雑な心境であります・・。ただ、IOLマスターも前房深度の実測値を代入して計算するHaigis式がございます(LASIK術後眼ではHaigis-L式)。当院では、こういう日が来ることも予想しておりましたので、ルーティンでIOLマスター測定時に前房深度も測定しておりました。レトロスペクティブに、Haigis式とSRK-T式の精度を比べることは可能ですので、一回調べてみようかとも思います。

もし、OKULIXについて詳細をご存知の先生がおられましたら、是非教えてください!宜しくお願い致します。


日曜は腑抜けのようになっておりまして、専門医の点数だけゲットして、早々に帰路につきました・・。

今回の学会の報告は以上です。長文失礼いたしました。