中大兄皇子と日本〜オペが必要ではないか?〜  by B

はじめに
7世紀前半、大国・唐は朝鮮半島3国(高句麗新羅百済)を抑えつけており、東アジアの国際情勢は非常に緊張しておりました。一方、日本では、政治の権力を握っていた蘇我家が娘を次々に天皇に嫁がせ、強大な権力を築きました。

蘇我氏は海外文化の輸入に非常に積極的で、馬子が聖徳太子と共に、仏教を日本に広める努力をし、その後の代でも遣唐使を何度も派遣して、東アジアと太いパイプを作って行きました。

東アジアの情勢に詳しい入鹿は、これまでの日本と百済との関係を見直し、新羅高句麗とも同じように国交を結ぶ政策(等距離外交)へと転換しました。さらに、この政策に反対した聖徳太子の子で次期天皇候補の山背大兄皇子(やましろのおおえのおうじ)を襲撃し殺しました。これにより、聖徳太子一族が滅び,蘇我氏の権力はさらに強大なものとなりました。

7世紀前半の日本の状況と、現在の日本の状況は酷似しているとまでは言いませんが、似ている所もあります。勿論、蘇我氏の役割を果たすのは民主党です・・。

蘇我氏はその後の平家一門以上に、天皇家をないがしろにしておりましたので、人々の不満が暴発寸前にいたっていたことでしょう。日本史上最大級の政治改革に至る素地が出来上がって来ておりました。


マイケル・コルレオーネ登場

そこで現れたのが、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)、後の天智天皇です。日本史上、革命家というのは数少ないですが、屈指の存在ではないでしょうか。

中大兄皇子は、天皇を中心とした中央集権国家を夢み、邪魔者をガンガン暗殺していきました。日本の国体をめぐって、血を血で洗う抗争の幕開けです。

最初に中臣鎌足(藤原家の始祖)と共謀して、蘇我入鹿を暗殺します。最初はヒットマンを雇わず、自らの手で入鹿を葬り去りました。まぁ、実際に見たわけではありませんが、日本史上(日本書紀?)ではそのようになっております。その後も、自分の進む道に反すると思われる人間は、親族であろうとも容赦せず、死へ追いやって行きました。

私は、マリオ・プーゾ原作、フランシス・コッポラ監督のゴッドファーザーシリーズが人生のバイブルかと思うほどに大好きなのですが、中大兄皇子ゴッドファーザーの主役、マイケル・コルレオーネにかぶって見えます。


マイケル・コルレオーネと同様、中大兄皇子も、深い悲しみに包まれながら、修羅の道を歩んで行きました。「大豪族たちによって日本国が動かされていたのを、天皇を中心とした中央集権国家にしていきたい。そうではないと、大国唐に呑み込まれてしまう!」との信念がそうさせていたのでしょう。

彼は強力に中央集権国家を推し進めて行きました。

しかし白村江の戦いで惨敗!
中途半端ですが、当時の状況を簡潔に表わしている動画を貼り付けます。

指揮をとった中大兄皇子にとっては、最悪の結果であり、日本国にとっても大きな痛手でした。その後、天智天皇となってからは、常に唐からの侵略に脅え、心の休まるときはなかったのではないかと推察されます。九州沿岸の防備を固め(防人)、水城や古代山城など砦を築き、都を難波京から、内陸部の近江にうつして防衛網を完成させました。更に、唐との友好関係を高めようと遣唐使を送ったりして、何とか国を保ち続けました。

私Bは教科書レベルの知識しかありませんが、当時の日本が改革の必要性を感じ、断行して危機を乗り切っていったことに、強い共感を覚えます。まぁ、白村江で惨敗しても、侵略されなかったのは、島国であったことが幸いしたのでしょうが、滅亡した百済から頼まれて、遠路はるばる戦いにいくなど、男気満開の大和魂です。

中央集権と地方分権
現在は、東京一極集中の中央集権制が疲弊してしまい、「地方分権」への声が高まっております。民主党は「地域主権」などと、また要らぬ一言をつけておりますが。

我々、国民が欲する「地方分権」の内容は、あの小泉首相の選挙の時に、一応「民意」として反映されております。すなわち、「小さな政府」論争です。あの「小さな政府」は主に社会福祉の面で左派の攻撃を受け、今回の政権交代となってしまったわけですが、そんなに悪い方向性ではなかったと個人的には考えておりました。

中大兄皇子は中央集権国家を作らんが為にクーデターを起こしたわけですが、当時は大豪族の専横で、国家がまとまりにくくなっていたのでしょう。いわば、分権の副作用の方が強く出ていた時期です。現在は官僚機構の肥大化により副作用が強く出てきているので、「中央集権的な要素を薄め、地方にうつして行く」という事が必要な改革になっております。

政治改革の必要性はそれこそ、中曽根総理の時代から唱え続けられており、まだ断行できておりません。我々の業界で言う、「内科的治療」ではもう間に合わないのではないでしょうか?

今回の民主党政権に「外科的治療の断行」を多くの国民の方が期待しておりました。しかし、労組・日教組などリベラル左派勢力がバックについているので、そのような事を期待するだけ無理であることは政治ウォッチャー的には始めからわかっていたことです。更に事もあろうに、票の欲しさから、外国勢力に魂を売り、売国しようとさえ見える有様です。蘇我氏もそのように見られていたことでしょう。

我が国は、現在、天智天皇クラスの改革断行者の登場が望まれております。改革断行者はスーパー肉食系でなくては務まりません。天智天皇額田王と、弟である大海人皇子(後の天武天皇)の三角関係の話も書きたくなってきましたが、長くなるのでやめときます・・・。

現在の政治家の中に、スーパー肉食系改革断行者がいることを切に願っております。