長いデモ生活を終えて〜その四〜 by B

W杯サッカー、日本代表はデンマークに勝利し、見事決勝トーナメント進出を果たしましたね〜。

正直、予選で3戦全敗を確信していただけに、意外という他ありません。かつて、プロ野球パリーグが前期後期制に分かれていたとき、前期優勝の南海ホークスと後期優勝の阪急ブレーブスとのプレーオフで、シーズンでの対戦成績が12勝0敗と阪急が南海を圧倒していたため、下馬評は阪急楽勝でした。1973年のパシフィック・リーグプレーオフ - Wikipediaしかし、実は当時の南海監督であった策士ノムさんの「死んだふり」大作戦で、負けながら研究を尽くしており、プレーオフで勝ってしまったという、あの「死んだふり」大作戦を彷彿とさせます。

パラグアイ戦の結果に関係なく、これで岡田監督の名声は不動のものになりましたよね。

先週末はJSCRSに参加いたしました。このネタは、また稿をあらためて、述べるようにします。しかし、我ながら、学会参加に対する姿勢が年々悪くなっているといいましょうか、勉強しに行ってるのか、酒を飲みに行ってるのか、わからないような状態になってまいりました・・・。連日の大酒で、昨日、家に帰ってからはフラフラでした・・・。家族的には、勉強疲れということになっておるわけですが、少し、気を引き締めねばなりません!

では、デモ報告の最後はA'社のサイン号です。

これに関して、Bはベンチュリーポンプとペリスタリックポンプの使い分けについて by B - 眼科手術開業医の戯言にて報告しておりますし、A先生もベンチュリーポンプ by A - 眼科手術開業医の戯言にて御報告されておられます。

何と言っても、最大の特長は、ベンチュリーポンプとペリスタルティックポンプがフットスイッチ操作で使い分けが出来るという点でございます。排液パックは1つですが、内部はベンチュリー用とペリスタ用のふたつのポンプにはまるようになっております。

常識にとらわれずに、このアイデアを最初に考えた人は偉いですねぇ。普通は想像も出来ませぬ。

B社の星野号は、マイクロメッシュフィルターをつけることによって、ベンチュリーのみでもフェイコチョップの際、硬い核把持の為に必要かつ十分な吸引圧を上げる事に成功しました。サイン号の場合は、ペリスタとベンチュリーを状況に応じて可変することによって、対応可能としております。すなわち、前に報告しました通り、核をしっかり把持して分割したい時にはペリスタモード、それほどの高吸引圧が不必要な状況になれば、ベンチュリーモードにすれば良いわけです。

このブログでは、何度も触れておりますが、20G径のチップになればベンチュリーの良さが際立ちます。A先生は硬い核の際のベンチュリーフェイコの効率性に着目されておられましたが、Bは、IFIS症例との相性の良さを挙げたいと思います。低吸引圧でも核が寄ってくるので、核が割れてさえすれば、チップを核に近づけなくても寄って来ます。虹彩誤吸引を防ぐには非常に良いと思います。

ベンチュリーモード単体で見れば、星野号の安定性が勝っておりますが、ペリスタ・ベンチュリーを使い分けることによって、サイン号は星野号に肉薄といった所でしょうか。

と言う訳で、元々ベンチュリーのオペに慣れておられる先生は星野号に魅力を感じるだろうし、ペリスタに慣れている先生は、サイン号の方が使い分け出来る分、オプションが増えて、楽しみがございます。

また、ペリスタモードも、何故か、核を割ったあと、その核がチップから離れずに食いついてくる感触がありました。担当の方に聞くと、核が割れた後も、吸引圧が220mmHgからは下がらないように(つまりパネルで)設定されている分、分割後すぐに核をパクパク食べ始めるイメージでございます。そして、220mmHg以上と、220mmHgとで、別々のパルスモード設定可能ですので、その時の状況に応じたフェイコ設定が可能でございます。

多分、A社無限号にもN社城塞号にも、同様のシステムはあったような気もしますが、Bには一番合っているように感じた次第でございます。

と言う訳で、長い選考の末、Bはサイン号を購入する事に決定いたしましたことをここに報告致しまする。勿論、楕円形にチップが振動するという噂のエリプスハンドピースへの期待も入っております。

IAに関しては、A'社の曲がり角度が強すぎたので、ASICO社のスリムIAチップ(22G)をつけることに致しました。このチップは先端に後嚢磨き機能もついており、曲がり角度がCV24000号の角度に良く似ていて、非常に使い易かったです。ただ、22Gとスリムな分、若干の皮質吸引効率の悪さも感じます。考え方によっては、びゅっと後嚢が寄ってくるわけではないので、安全とも言えるのですが、IA吸引圧をペリスタモードでは650mmHg、ベンチュリーモードでは600mmHgにすることによって、これまでと変わらぬ感触でIA出来るようになりました。ちなみに、A'社純正IAハンドピースにはASICO社のチップはつかないので、IAハンドピースに関してはCV24000号のものをそのまま使用致します。

また、デモ中に気になった欠点ですが、フットペダルの角度が他社製品より、キツイ(高い)ように思われます。サイン号からそうなったそうですが、もう片足の顕微鏡フットスイッチよりも有意に高いため、少し違和感ありです。顕微鏡フットスイッチの下に発泡スチロールの台を置いて高さを揃えるなどして対応して行こうかなぁと考えている所でございます。

長々と4回にわたって、匿名性を利して、好き勝手な事を書いてまいりましたが、あくまでも個人的な感想でございます。御容赦くださいませ。

まとめますと、

・前房安定性 1.星野号 2.サイン号
・核破砕力  1.無限号 2.サイン号
・新しさ   1.サイン号1.星野号

といったところでしょうか。新時代はベンチュリーポンプからは避けて通れない状況のようですので、今後の無限号の出方、また、正確号後継機のベンチュリーフェイコ能力には注目ですねぇ。

N社は、法人税減税を見込んで、大投資を行い、今から次世代機の開発に注力してください!!ユーロ安の今、思い切ってヨーロッパのベンチュリーポンプメーカーなど買収するという作戦は如何でしょうか?かつて、ヨーロッパに日本には入って来てないベンチュリーポンプメーカーがあると聞いたことがあるような気もしてきました。硝子体手術の点数が上がりましたので、白内障硝子体手術コンバインマシンのノウハウは、N社の財産です。良い器械を作れば、必ず売れますよ。