2.2mm切開 by A

B先生、こんばんは。サイン号の調子は良さそうですね。私もそろそろ買い替えを考えなければならない時期に来ておりますが、なんとか高貴号で耐えています。

先日、遅ればせながら、2.2mm角膜切開を試してみました。2.4mm幅のスリットナイフにより、実質2.2mm幅の切開創になる(なっている筈)というやつです。従来の2.65mmスリットナイフ(実質2.5mm切開)にくらべると、想像以上にタイトな切開創になりますね。

原則的に耳側角膜切開で行っていますと、若い方の直乱視で惹起乱視が気になります。そんな症例では2.2mm切開の方が安心ですね。

逆に、お年寄りの倒乱視の場合、乱視軽減効果がなくなりますので、極小切開は好みではありません。

高貴号の純正チップでは2.2mmに対応いたしません。サイメンデザイン社のチップが良いという話を聞いていましたが、大阪の担当者がお亡くなりになられ(合掌)、手に入りませんでしたので、今回はドルク社の超音波チップを使ってみました。スリーブごとの交換です。

I/Aチップは純正のものでも多分そのまま使えますし、スリーブだけを交換してもOKのようです。

超音波装置のメーカーは純正チップを推薦していますが、実際のところ、サードーパーティー製のほうが安い上、性能も良かったりします。今回使用したチップは極小切開に対応するばかりか、核破砕能力も優れていました。多分、工作精度が良いのでしょう。

IOLはH社のi-micsを使いました。こちらも初めての使用です。A社のIQよりも更に小さな切開創に対応し、また、セットアップの際、粘弾性物質が要らないというのもユニークですね。

ただし、IQにしろi-micsにしろ、仕入れ原価が高いというのが大きな欠点になります。

最近は多焦点IOLを始めとして、高付加価値IOLが一種のブームになっております。それに付随して、当然かもしれませんが、IOLの仕入れ原価もどんどん上がってきています。

評価療養の多焦点IOLは別として、その他の高付加価値IOLはすべて医療機関側の持ち出しになります。それでなくても眼科手術のうち、白内障手術のみ点数が据え置かれているのに、IOLの価格が上昇を続けるのであれば、いつの日かパンクするのが目に見えています。

近い将来、消費税アップはまず確実に行われるでしょう。白内障手術に必要な数々の消耗品が実質値上げとなり、利益はますます圧迫されます。

やっぱり、アメリカのように、IOLの価格のうち付加価値分は保険から出して、その都度患者に請求できるようにするのが最も公正ではないでしょうか。

「付加価値」はそっくりそのまま患者さんが恩恵を受ける分であり、いわばメガネの品質や枠のようなものです。普通の単焦点・球面IOLでも1.5の矯正視力は軽く出ることを考えると、高付加価値IOLのすべてに保険が適用されるべきというのもどうかと思います。

ご存知の通り、「付加価値」でアップするのは、裸眼視力や暗いところでの見えやすさです。これらの利点をじっくり説明した上で、患者さんに選択してもらうとよいでしょう。