神戸臨眼2010 by A

私は今年も臨眼に足を運んでおります。今回は神戸ということで日帰りもOKです。私の診療所から実は神戸はすごく近く、自家用車だったらとても便利なはずでしたが・・・、今回は阪神高速神戸線が工事中で市内はごったがえしており、ちょっと学会に水を差しています。

定宿にしているホテルから会場までタクシーで15分ほどです。行ったり来たりの繰り返しですが、必ず通るのが、例の神戸海上保安庁の前で、sengoku38さんがいつ出てくるかと、報道関係者がいっぱいです。「sengoku38がんばれ!」のデモ隊も見かけました。

B先生おっしゃるように、臨眼はとても大きな学会ですね。参加人数ではアジアNo1、世界No2という話も聞きました。世界No1は多分AAOでしょうか。

数年前から始まったインストラクションコースも今や学会の目玉として成長しています。あらかじめ予約をしておかないと、なかなかコースに入れません。

今回の臨眼から各発表に「利益相反の有無」の表示が義務付けられています。これはもちろん、発表内容が企業のひも付きかどうかを明示するということで、アカデミーの世界では当然のしきたりが、ようやく日本の眼科の学会でも導入されることとなりました。

これは簡単なことの割にはとても効果が大きいと思います。一般口演もランチョンセミナーも同じ会場で行われる以上、このあたりの区別はきちんとしておくべきものと思います。

白内障手術に関しては、付加価値レンズがひと段落した後ですので、新しい話題はあまりありません。多焦点レンズもどちらかというと反省期にはいっており、アメリカがたどった道をそのまま進んでいるように思います。

トーリックや調節性レンズをすべて含めても、アメリカでの付加価値レンズの割合は7%程度だそうです。日本だと多分もっともっと低いことでしょう。アメリカでは付加価値レンズの費用は患者さんに別途請求できるのですが、おりからの不況でなかなか伸び悩んでいるようです。

今、会場では山中伸弥先生によるiPS細胞のお話がちょうど終わったころかと思います。

学会では印象に残った発表も多々ありましたが、批判めいたコメントも出てきそうですので、具体的なお話は差し控えます。

しかし、全体の印象として、とてもクオリティーが高く、内容ではAAOをしのぐのではないかとすら思いました。学会の主役と言うべき卒後10〜20年くらいの眼科医は、いわゆる「眼科バブル」の世代で、量だけではなく質も優れています。全体の数が多ければ、優れた人もまた多くなるのは自然の理です。まあ、数が多いというのは、学会が肥大化する原因にもなるのですが、質のアップはとても好ましく、参加しがいがあります。

こうなってくると、これが「日本語」という世界的に異次元の空間で行われていることが、とてももったいないような気がしてまいります。もし、すべての発表が英語で行われていたならば、この学会はAPAOなど目ではなく、アジア太平洋地区一の学会になるのではないでしょうか。

口頭は無理としても、スライドを英語化するだけでも、アジア地区の多くの眼科医に門戸を開くことになります。本日(土曜)の午前のセッション、「黄斑の神秘」は演者にアメリカ人が居たのでそんな感じにしてあり、ちょっと印象に残りました。