新規開業考 その壱 by B

今朝の新聞に、こんな記事がありました。

夫婦別姓名乗れないのは憲法違反」 男女5人が東京地裁に提訴
産経新聞 2月14日(月)17時12分配信

 夫婦が別姓を名乗ることができないのは、両性の平等などを定めた憲法に違反するとして、東京都などに住む34〜75歳の男女5人が14日、国などを相手取り、計600万円の慰謝料などを求める訴えを東京地裁に起こした。

 民法750条の夫婦同姓規定をめぐる違憲訴訟は全国で初めて。

 訴状によると、5人のうち女性3人は、戸籍上は夫の姓となっているが、仕事などでは通称として旧姓を使用。男女1組は一度婚姻届を出したが、各自の姓を名乗るために平成16年に離婚届を出し、現在は事実婚状態という。

 5人は、夫婦別姓が認められないのは「夫婦は同等の権利を有する」と定めた憲法24条に違反すると主張。また民法規定を国会が改正しないことで精神的苦痛を受けたとしている。

 事実婚の男女は今年1月、両方の姓で婚姻届を出したが不受理処分となっており、処分の取り消しも求めている。

 原告で結婚9年目という短大講師、吉井美奈子さん(34)は、「私たち以外にも、旧姓を使いたいという人は大勢いる。『もう待てない』という思いから、提訴に踏み切った」と話している。

いやはや強烈ですね・・。結婚して、姓が変わるのがそんなに苦痛なのでしょうか・・・。大きなおせっかいながら、嫁姑関係は上手くいってるのでしょうかね〜?少なくとも、姑が私の母なら、壮絶なバトルが繰り広げられそうです・・。怖ろしや・・。

ウチの祖母(もう、とうに極楽に行っておりますが)は、祖父と一度も会ったこともないのに、結婚を決められたと言ってました。ウチの母も「ほんまはあんな人と結婚したくなかったんやけど、親が決めたようなもんや・・」とのボヤキを、息子として何百回聞かされたかわかりません。

日本の昔ながらの発想では、「個人」よりも血族集団としての「家」が重視されていたため、「結婚=家系を連綿と続ける為」という意識が当然だったと思います。当然、個人の意思は二の次という事になりますね。「女だけ姓が変わるのは女性蔑視だ!!」という声も聞こえてきますが、昔は男性も、次男などの場合は、「親戚の男子のいない家に家督相続の為、養子に入る」という事は結構ありましたからね〜。今でもたまに聞きますよ。

まぁ、「日本の文化に対する挑戦」という意味合いの強い訴訟ですが、こんな(偏った思想を持った)個人の思想信条で民法を改正などしてたら、日本の国体はグチャグチャになってしまいます。

うちの母などは、今でも、過去帳に載っている当家のご先祖さまの月命日には、帰依しているお坊さんにお経を読んでもらっております。ご先祖様を余り大切にしていない家の人たちに不幸なことがあると、「信心がなく、先祖供養もしていないから、そういう事になるのだ!」と心から信じております。逆に、母の発想からすると、「個人」を「家」より優先するのは、「わがまま」という事になります。

良い悪い、正しい正しくないかは別問題であって、これは日本人に刷りこまれているDNAみたいなものです。個人の権利を声高に主張するのは良いですが、実際に子供が出来ると、日本人としてのDNAがムクムクと頭をもたげ、「家」への愛着が湧いてくると思いますよ。

なんだか、法話みたいなイントロになってしまいましたが、本題に入ります。


Bが親父の跡を継いでから、数年経ち、最近はいろいろな先生から、開業についての相談を受けることも多くなりました。ここらで一度、Bの思う開業についての考えをまとめてみます。

まず、開業には、大きく分けて、「新規開業」と「継承開業」の2つに分けられます。ここでは「新規開業」について述べたいと思います。

Bはご存知のように継承開業ですから、場所やスタッフ、設備などは、自分で選ぶ事ができませんでした。それぞれ隣の芝は青々と見えるものですが、継承当初は自分で場所などを選んで自分の力でやっていける「新規開業」に、ないものねだりの憧れを抱いておりました。

一般の先生方の印象と少し違うかもしれませんが、Bの考えでは、苦しい順で

1.流行ってないクリニックの継承開業
2.新規開業
3.流行っているクリニックの継承開業

となります。継承の辛さなどは、今まで何度か触れているような気もしますが、また後日にでも述べさせてください!ただ、どんな形態でも、開業してスタッフを雇い、やり繰りをしていくのは、世間の人が言うほど、甘いものではないと思います。

新規開業と言っても、地元の基幹病院で部長、もしくはそれに準ずる地位におられた先生が、患者さんを多数引き連れて、満を持して開業するケースは、成功確率がかなり高いのでここでは述べません。

地元の医師会などで話を聞いていると、ある先生は「昔は、開業医不足で開業医はどこも患者さんで満杯で、新規開業をする先生がいれば、(手伝ってくれる)仲間が増えるという意識だった」と言われてました。経営ということに関しては古き良き時代でしたね〜。

一方、最近は、どこも開業医(特に我々の専攻する眼科)は飽和状態に近くなってきており、医師会の先生方的には、「新規開業=ライバルの増加」ということで、余り良い顔をしない場合がほとんどです。世知辛い世の中になってまいりました。

一、場所選び

S製薬を始め、無料で相談にのってくれるコンサルタントがおりますし、それは最大限に活用すべきであると思います。ただ、Bはコンサルタントが出して来る「診療圏」に関してはあくまで、参考程度にとどめるべきであると考えております。

即ち、ああいうコンサルタントのかたは、「ここの診療圏は10万人で、10件眼科があるから、1件あたり1万人・・・」と、眼科クリニックそれぞれの実力を全く同じとして計算します。コンビニや商品を売る際には、そういう考えでも良いのかも知れませんが、クリニックの場合は、院長の実力によって集客能力が全然変わってまいります。

つまり、あるエリアに3件、眼科が固まっていたとしても、「A眼科の先生は短気ですぐ患者さんを怒鳴りつける」、「B眼科の先生はもうご高齢で、やる気があまりなく、設備投資もせずにこのままゆったりと生活出来れば良いと思っている」、「C眼科の先生は、寡黙で、あまり説明もせずにすぐにレーザーとかうつし、また、頻回の受診を促される」いという状況なら、一見、飽和状態に見えても勝負する価値があると思います。

また、「このエリアには眼科が1件もないので、ここでやればまず成功します!!」という物件もありますが、これもB的にはじっくり考えた方が良いと思います。

結局、開業希望の先生は、しっかりとリサーチをし、良い物件がないかを目を皿のようにして探しておられます。診療圏人口の割に眼科が少ないというエリアで、よしんば開業出来たとしても、そういううまみのあるエリアは数年もたたないうちに、1件、もう1件と増えて行くでしょう。いままではそのエリアの主としてやっていたのに、突如ライバルが出現する事になり、焦っておられる先生方の話も良く耳に致します。

B的には、「人の流れ」というのは非常に重要であると思います。どこの町でも、「あのエリアには橋を渡らねばならないので、滅多に行かない」とか、「Aの住民はBには行くが、Bの住民はAには行かない」という「流れ」が存在していると思います。これは地理的、歴史的な理由があり、なんぼ家で地図を見ていてもわかりません。

医療は、言うまでもなく、ネットなどでサービスを提供出来る業種ではございません。人が来てくれてナンボでございます。という訳で、交通機関や、道路は勿論大事ですが、「少々家からは離れているけど、あのエリアだったら昔から良く行くし、行ってみようか」という土地の方が、有利だと思います。

という事で、Bが考えるには、

1位 人の流れが向いている場所でライバルの少ないエリア(まぁ、そんな都合の良い場所は、眼科に関しては、ほとんど残されていないような気がしますが。。)

2位 人の流れはあるが、ライバルも多い。されど、ライバルクリニックと自分の力量を考えると互角以上に勝負出来る自信があるエリア

3位 歴史的な人の流れはないが、新興エリアであり、ライバルも少ないエリア

4位 人の流れはないし、ライバルも多いエリア

という順番になります。

我ながら、開業コンサルタントのような文章を書いてますが、継承開業で場所を選べなかった怨念で、「どんな場所だったら、もっと有利だったか・・」を夜毎考えておりました・・。まぁ、それこそ戯言ということで聞いてください。

今回は、前置きが長かったので、そろそろ終わりにします。ちゃんと続くかはわかりませんが、次回も、もう少しこのネタを続けたいと思います。