新規開業考 その参 by B

民主党の崩壊が、ついに始まりましたね〜。

小沢氏に近い衆院比例選出議員16人が、民主党の会派離脱を表明いたしました。

「現政権がマニフェストを守らない」のが離脱の理由らしいですが、そもそも、あの滅茶苦茶なマニフェスト自体、政権簒奪の為の単なる道具に過ぎないことを、政治を生業としている人間が見抜けなかったのでしょうか?Bはハナから見抜いておりましたよ。

なにはともあれ、民主党政権及び、民主党が崩壊し、政界再編に向けて動き出すのは、国益に適います。最早、詰んでいるに等しい管政権は、権力にしがみつくことなく、日本の為に、早期解散をしてもらいたいですね。


さて、僻地眼科医先生からコメントを頂きました。僻地眼科医先生、有難うございました!コメント欄に返答しようと思ったのですが、長くなりそうなので、Q&A方式にして「新規開業考 その参」として書く事に致しました。

Q:はじめまして。
僻地大病院勤務医(一人)でシコシコ白内障を年間一人で
500件ほどやっている医局をほぼ放置になった者です。
とりあえずもう10年目でこれから先もありませんので
若手と呼ばれるうちに勝負に出ようと思っています。
遠く離れた都市部近郊(関東)で勝負に出ます。

ブログを拝見して納得させられることが非常に多いですね。
ただ、建物だけは大きくしないと落下傘開業では
厳しいのではないでしょうか?

いかがでしょう?

土地の値段は、都市部になればなるほど高くなり、田舎になればなるほど安くなります。田舎で開業する分、浮いたお金で建物を大きくすると言う発想は勿論アリでございます。レストランなどのように、都市部と田舎で、料金に差をつけることが許されない医療業界では、同じだけの患者さんが来た場合、諸々の経費が節約できる田舎で開業した方が得ということになります。

ただ、Bが強調したい点は、「開業医=儲かる!」といった(かつての)神話が世の中には根強くはびこっており、当のドクター(開業医以外の先生、即ち勤務医)自身がその神話に惑わされていることが多いという点でございます。

だいぶ前に、仲の良い先輩ドクターと飲みに行った際、

「お前はええのぅ。開業してるんやったら年収5、6千万あるんちゃうんか?」

と仰られましたが、B程度のクリニックでは、そんな年収が貰えるはずはありません。

本当のコンサルタントではないので、実際のデータは少し違うかも知れませんが、オペ開業医で、週に4〜5件オペをしたとして、年商(純利益ではないです。人件費などの経費を差し引く前の純粋な売上)が1億円くらいじゃないでしょうかね??勿論、一日来院数が何人かにも依るわけですが、話を進めやすくするために、一切合財、その辺は目を瞑ります。

年商1億円として、職員への給与(ボーナスや将来的な退職金のプールなども含む)、社会保険料(これも馬鹿になりません・・)、建物の借金返済(もし2億円借金すれば10年ローンで年間2000万円以上返済)、器械のリース代、薬剤費(眼内レンズ代金も含む、当然手術が増えればここも増大して行きます)、広告宣伝費などなどを差し引いて、手元に残ったものが自分のものに出来るということになります。(こう考えると、職員の人件費が経営に凄く関与している事実も浮き彫りになってきます)

一般社会に目を転じてみると、「年商1億円を超えると商売人として一人前」とされるようです。地元でも、所謂「繁盛店」とされる店(ラーメン、和菓子、焼鳥屋さんなどなど)はそれぐらいの売上のようです。

Bのクリニックと同じ町内の文房具屋さんの店主と、ここ2年連続、新年会で隣の席になり、色々とお話(ボヤキ)を聞いておりましたら、「アスクル等、ネットの時代がくる前は20年連続で年商2億円を超えていた。」との事です。その文房具屋さんは、店頭販売だけではなく、役所などに大量に納品していたわけです。(ある意味、そういう文房具屋さんは、このネット時代突入により、一番の荒波を受けている業種と言えますねぇ。本当に最近は辛そうです・・。)

開業医が特別に儲かる職業形態であったのは、今や昔の話であり(昭和30〜50年代は、そりゃもう儲かったそうですが)、現在では「地元の中小企業」と何ら変わる事はないと思います。勿論、たくさん患者さんが来て、たくさん手術をすれば、売上もアップしますが、これとて、他の業種と同じ話であります。

他の業種で、「脱サラをして、商売を始める」と言った場合、いきなり自社ビルから建てることをするでしょうか?

我ながら、非常に回りくどい書き方になってしまいましたが、御実家が資産家、もしくは奥様の御実家が資産家で、十分な援助を受けられるというのであれば、何も問題はないわけですが、そうでない場合、「これだけ患者さんが来るだろう」という見込みだけで大きな建物をいきなり建てるというのは、ちょっぴりリスクもあるのかな〜と考えてしまいます。

先生の言っておられる意味も、非常によくわかります!!落下傘開業でネームバリューもないわけですから、ドカンッ!と目の引く建物を建て、患者さんに認知してもらい、来てもらおうという発想ですよね。無論、それも正しい戦略ではありますが、要するにお金、資金繰りの問題でございます。

あと、建物は、「一回建てればあとは借金を返して終わり」ではなく、結構維持費もかかるのでございます。一番かかるのは10年に一度くらいと言われている、外壁の補修でしょうか。当院も2年ほど前にやりましたが1000万円以上が吹っ飛んで行きました・・。

駐車場も含めて、ある程度の土地を確保されているならば、いきなり大きく建てるのではなく、最初から「将来的な増設コミ」で建物を設計してもらっても良いのではと思います。最初から、増設時の大雑把な図面も書いてもらっておき、電気や水道なども通しやすいように準備をしておけば、数年後、当初のクリニックが手狭になったさいに困る事はないと思います。最初はキレイに感じていた建物も、数年経てば見慣れてしまいますし、実際に汚れもついてきます。数年後の増設時に、もう一回、リニューアル出来れば、一石二鳥のような気もしますが如何でしょう?

とか言いつつ、僻地開業医先生は医師10年目で30台半ばのようですから、可能性は無限大でございます!我ながら内政干渉が過ぎました。Bのしみったれた意見を聞いていると不愉快になられたかも知れませんが、堪忍してください!

要するに、「色々な状況に即応できる安全運転が大事」と言う事でありますが、男一匹が一国一城の主になる以上、リスクを省みず勝負に出なければならない局面もあろうかと思います。それが、最初に来ることもあるかとも思いますので、先生のインスピレーションの赴くまま、やって下さい!

何かあればいつでもご相談してください。先生のクリニックの御成功を心より祈念しております。