韓国語 by A

6月に入ってうっとおしい雨が続くかと思ったら、先週末よりよいお天気になっており、さわやかでよい季節になりました。患者さんもそこそこ来ていただける、眼科医にとって幸せな季節ですね。一方、気候の変化もはげしく、体調を崩される方も多いようです。みなさん、体調管理にはくれぐれも気を付けてください。

さて私は昨年春より韓国語を習っています。ちょうど診療所のビルの上の階に語学学校が入居しており、週に一度、先生に来ていただいています。先生は韓国人で日本に留学しておられる学生さんで、某大学の経営学の大学院生です。

最近の韓流ブームの中、韓国語を習う人は増加しています。といっても、大多数が中高年の女性であり、私のようなのは例外といえましょう。

一年たって、ハングルの文字は大体読み書きできるようになり、日常会話もそこそも聴きとれるようになってきました。

先生にお伺いしますと、韓国では日本語を第二外国語(第一はもちろん英語)として履修する学生も多いようですが、高校生くらいで始めると「7カ月くらいで」日本語が日常会話程度ならできるようになるそうです。ただし、漢字の複雑なのになるとお手上げのようですが・・・。

韓国人にとっても英語ははるかにむつかしく、履修には数年以上かかります。このあたりの事情は日本と同様です。では、何故日本語が(韓国人にとって)かくも簡単なのかということが疑問として浮かんできます。

ハングル文字は13世紀くらいに発明されたそうですが、実際は漢文(の音読)が主に使われていました。しかし、近世になり次第にハングルが普及し、10数年前からは原則としてハングルのみを用いるという風に決められたそうです。ということは、ハングルの実際の歴史はとても短いのです。

ハングルでは母音が21もあり、子音が19あり、子音―母音、または子音―母音―子音の組み合わせが一つの文字になります。ということで、文字の数はとても日本語のような訳にはゆかず19×21×なんとかと、無数にあるわけです。もちろん、これらのすべてが使われる訳ではありませんが、日本語のひらがなにくらべて文字の数が多いのは半端ありません。

母音が多いということは、複雑な発音が多いということでもあります。たとえば、日本語の「ア」についてみると、韓国語では「ア」のほかに、「ャア」「ゥア」があります。「ゥワ」「ゥイ」「ゥエ」などもあります。

韓国人は生まれた時からこれらの発音に習熟しており、ということは、日本語を学ぶ際、文字がはるかに少なくなるということであり、比較的容易に習得できるのかもしれません。

しかし、それだけではありません。そもそも日本語と韓国語とでは語順がほとんど一緒であり、文法もほぼ一緒です。つまり、名詞、助詞、動詞、形容詞、語尾変化など、日本語の特徴がそのまま韓国語でも通用いたします。もちろん、それぞれの単語は異なりますが、コンセプトが一緒ということです。

「わたし は 勉強 が 好き です」という時
「チョ ヌン ゴンブ ル チョア ムニダ」という具合に、そのまま単語を置き換えてゆくだけでOKです。こんなこと、英語ではありえません。

「わたし は 勉強 が 好き なので 学校 が 楽しい です」ならば
「チョ ヌン ゴンブ ル チョア エソ ハッキョ ガ チュルゴ スムニダ」となります。なんだか、大阪弁ズーズー弁くらいの違いに思えませんか。

ここで「勉強」にあたる韓国語は「ゴンブ」ですが、これは「工夫」という漢字を韓国読みしたものです。こんな具合に、日本でもよく使う漢字熟語はその70%くらいが韓国語と共有しており、少し読み方を変えただけで使えるそうです。

ということですので、もし、日本の高校生に韓国語を教えたとすると、7カ月とは言わないまでも、1年で読み書きがそこそこ出来るくらいにはなることでしょう。英語にくらべてはるかに簡単なことは言うまでもありません。

海外諸国に対する理解を深めるには、語学の習得が一番です。日本人にとって、多分もっともやさしい外国語である韓国語が、学校教育においては選択科目にすら入っていないことは、ある意味驚きですね。