自由診療クリニックのモラル by B

最近の政治状況については、閉塞感に満ち満ちていて、さすがのBも論じる気が失せてしまっております・・。

ひとつ言わせてもらうならば、管直人のことを左翼左翼と前から言っておりましたが、あの、よど号ハイジャック事件及び、北朝鮮の日本人拉致問題に大きく関わっている団体と密に交流を持つ「極左」でしたねぇ。いや〜、ほんまもんですよ。あの人は・・・。詳細は“拉致支援”菅内閣の凶状…親北組織を支える民主党 東アジア黙示録 /ウェブリブログを御参照願いたいのですが、とんでもない人に総理の座を渡してしまったものです・・・。

ところで先日、当院HPを見てか、遠方から初診の患者さんが来られました。

50歳代女性で、10年以上前に非大手のLASIKクリニックで、両眼のLASIKを施行されておられます。その後、両眼の視力が見えにくくなり、3年前に大手のLASIK専門クリニックを受診し、「白内障が進んでいる」という説明で、そのクリニックで白内障手術施行(単焦点IOLかつ、自由診療で!!)。その後、片眼が更に視力低下を来たし、「屈折度数ズレだから、IOLを交換すれば視力が出るかも・・・」と勧められましたが、その自由診療クリニックの外来担当先生ごとに言う事がコロコロ変わるのを不審に思い始め、何故か当院に相談に来られました。

視力は、良く見える方の目は裸眼1.0。見えにくくなっている方の目は裸眼0.4で矯正不能でした。屈折度数ズレと説明を受けておられますが、見えにくくなっている方の目はオートレフでは測定不能となっております。

で、角膜形状解析及び、波面センサーを測定して見ると、患眼は、バリバリの不正乱視、つまり円錐角膜を呈しておりました。そうです。LASIK術後の医原性円錐角膜であるkeratectasiaでございます。

患者さんには、その事実は全く知らされてなかったです。これをIOL交換で治そうということは、トーリックIOLにでも入れ替えてお茶を濁そうとしたのでしょうか??それとも、角膜リングを挿入し、「IOLを交換した」と説明するつもりだったのでしょうか??腑に落ちません・・・。

そして、散瞳して眼底をみると、スーパー強度近視眼底で、既に網脈絡萎縮を来たしておりました。

よくよく話を伺うと、「LASIK希望で何軒かのクリニックを受診したが、近視が強すぎるから適応外と言われ、やっと(とある大都会にある)非大手の自由診療クリニックでLASIKを施行してもらえた。」とのこと。

そして、そのクリニックが消失してしまっているので、今度は大手のLASIKクリニックに相談に行ったところ、「白内障が原因」とのことで、数十万円を支払って、単焦点IOLによる水晶体再建術を施行したとのこと。

白内障手術は保険適応だから、当院のような保険診療機関で手術を受ける方が大多数ですが、そのような発想はなかったのですか??」

と質問したところ、

LASIK後の目は、LASIKを施行している施設じゃないと、わからないと思ってました・・」とのこと。

色々、お話をしておりますと、所謂、「理解力がイマイチ」の方で、自分が思い込んだら突き進んで行くタイプのように感じました。さすがに、今回は、外来担当医によって、説明がシドロモドロだったり、食い違っていたりするので(おそらく、通常の保険診療医のバイトの先生も含まれていたでしょう)、長年の呪縛から醒めて、保険診療機関を受診されたとのことです。

結局、

「元々、10Dを超える強度近視眼だったので、特に当時はLASIKを施行する事によるリスクが高く、ちゃんと適応外と言って断ったクリニックの方がまともなクリニックだったのですよ。近視矯正度数の割に、角膜の厚みが少なかったので、術後数年経って、医原性の不正乱視が生じてます。これを治療するには、角膜リングやクロスリンキングなどの新しい選択肢はありますが、眼底の状態を考えると、あんまり視力は出ないと思いますので、コストを考えると止めておいた方が良いです・・。」

などなど、説明し、古典的なハードコンタクトレンズによる矯正を勧めましたが、「コンタクトが嫌で、LASIKを受けたのに、またコンタクトなど論外」と激しい拒絶を受け、遠見時は片眼が1.0見えておられるので、そんなに不自由はないとのことでしたので、近用眼鏡を処方して帰って頂きました。

まず、最初の非大手のLASIKクリニックは、無茶苦茶でございます・・・。下品な言葉で言えば「やり逃げ」ですねぇ。まぁ、その院長先生は、今どこで何をしているかは存じませんが、まっとうな人生を歩んでいるとは思えません・・。

次の大手LASIKクリニック受診時は、おそらく、元々、強度近視眼だったので、核白内障が進行していたのでしょう。そこで、自由診療である「多焦点IOL」挿入術を施行するならばわかるのですが、その時点で単焦点IOL手術を施行するということは、既に乱視が増えてきたのでしょう。LASIKを専門とする先生ならば、その時点でkeratectasiaの可能性を感じていないはずはないと思われます・・・。

また、当院でも稀に、大手LASIKクリニックから「LASIK希望で来られましたが、白内障が原因なので、貴院でオペしてください」と紹介されることもあります。他の先生方も同様の経験はおありなのではないでしょうか?

今回に関しては、今から3年ほど前ですから、大手LASIKクリニックが軒並み経営難に直面していた時代でございます。おそらく、その先生は経営の事も考慮し、「核白内障が十分あるし、IOL挿入で十分に満足度があるはずだ。上手に説明して、単焦点IOLによる水晶体再建術を自院でやっちゃおう」と考えたはずでございます。

いやはや、法的には違反ではありませんが、患者さんの自己負担額が全然変わって来ますので、やっぱりモラルの低下を指摘せざるを得ません。

そして、今回、明らかにkeratectasiaを来たしているのにも関わらず、自費診療でのIOL交換を勧めるとなると、金の亡者の誹りを免れませんねぇ。

また、別の面から、この件を考えてみますと、一般の屈折矯正希望の患者様にとって、「屈折矯正手術=自由診療機関」との発想が定着しているようでございます。これは、我々、保険診療機関の臨床医が反省せねばならないところでございます。どうしてこうなってしまったのかは、Bにはわかりませんが、我が国はLASIK導入の最初の所が間違ってしまったのではないでしょうか?やはり、小回りの利かない、大学病院の教授主導で、保険診療機関の方向性が決められて行きますので、LASIKがキワモノ扱いになってしまい、美容系を始めとする自由診療クリニックの独壇場となってしまいました。

今年に入ってから、Bが経験するkeratectasiaの患者さんは2人目でございます。昨年まで、自院で遭遇したことはなかったのですが、LASIKの歴史が長くなるにつれ、晩期合併症が増えてきているような気がします。

医療の自由化、株式会社化などの意見もあり、Bはそういう意見に対して賛成したい所もありましたが、今回の症例を経験し、「やっぱり、医療は利潤追求メインの会社などに任せるのも危険だなぁ」との感想を持ちました。

自由化論者の方々は、「そういう阿漕なことをやっているクリニックは、評判が落ちるから市場原理によって淘汰されて行くのだ。」と言われますが、そうなってしまった患者さんは取り返しがつかないので、一般の商品を売る会社と同じようには行きませんね。

日本の場合は、株式会社の病院(クリニック)経営を認めるにしても、一部の特区だけに限定したほうが良いと思います。勿論、現状のままでは国民皆保険制度は早晩行き詰まりますので、選択肢としては、全国民から徴収する保険料をもとに国民皆保険制度を守りつつ、「緩やかな混合診療を認める」しかないと思いますが、皆さまの意見は如何でしょうか〜?