術後眼内炎への対応アップデイト by B

いや〜、早いもので今年も、残すところ数日となりました。

今年は本当に色々なことがありましたね。

どう考えても、トップニュースは東日本大震災及び、福島第一原発事故でございます。

最近になって、当時の政府の対応などが明るみになってまいりましたが、やはり管直人はバーサク状態になっていたようでございます。また情けないことに、「大地震はともかく、激しい津波なんか来るわけないじゃん」と、巨大津波が来た際の備えを完全に怠っていたことが判明し、原子力の専門家たちの危機管理能力がゼロになっていたことが明るみになりました。

我々、一般国民は、それに対し激しい憤りを感じるのは当然ですが、冷静に考えると、これは原子力の専門家たちだけが悪いのではなく、戦後、国防という危機管理の頂点部分を外国にゆだね、日本国民全員の危機管理に対する意識が弱まっていたともいえるのではないでしょうか。

「もし、北朝鮮がミサイルを撃って来れば、どうするんだ?」という問いに対して、

左翼陣営は、

「そんなこと、ありっこない。」「そうならないように対話が必要なのだ。」などとおめでたいことを言っております。原発事故を防げなかった原子力村の先生方と同様でございます。

また我が日本も含め、民主主義でまともな政治を行っているはずの国々が巨額の財政赤字を抱え込み、特にEUは破綻の危機に瀕しております。1929年に始まった世界大恐慌の二の舞になるのではないか・・・との悲観論もしばしば出ております。1929年発の世界大恐慌は、第二次世界大戦大東亜戦争の遠因になったので、今回も要注意でございます。

栄枯盛衰・盛者必衰・諸行無常の真理に照らしますと、いずれは西欧諸国の覇権は終焉いたします。終わりの始まりのような気がしますね〜。

「神の見えざる手」との言葉もありますが、この世に神は存在する、存在という言葉はあたらないかもしれませんが、自律神経の様な調律機構はあるはずでございます。実際の労働に見合わない贅沢をしているといつかは没収されるのでありましょう。

我々一般ピープルは、時代の大きなうねりの前では、流れに身を任せるしかない木の葉のような存在でございます。強いて言える、わが身を守る危機管理といたしましては、「資産を現物で持つ」ということに限るのではないでしょうか。株をはじめとする金融ゲームにうつつを抜かしていると、1929年発世界大恐慌の際には、多数の自殺者が生じました。自分の力ではどうにもならない、株券を持つよりは、現金の方がましだと思いますし、現金も怖いというのであれば、土地、金銀プラチナなど稀少鉱物、絵画や美術品などでも良いのかもしれませんね。

ちなみにBは、頭ではわかっていても忙しさも相まって、なかなか行動に移すことが出来ず、いたずらに月日のみが過ぎ去っております・・・。

我々、眼科手術医にとっての危機管理と言えば、やはり「術後眼内炎」に対する対応でございます。

数年前までは、白内障術後眼内炎の発症確率は「2000分の1」となっておりましたが、最近は「5000分の1」でコンセンサスが得られているようですね。現在、日本では年間約100万件の白内障手術が行われております。ということは、年間約200件、術後眼内炎が発症しているわけでございます。

手術をやっている立場としては、常に危機に対する備えが必要でございます。また、開業して一人でやっておりますと、自分で対策をした「つもり」になってしまい、実際は世の中の流れから取り残されている可能性はなきにしもあらずでございます。

という訳で、当院では感染対策に関して、外部の顧問(S先生:小生の大学同級生。成績主席クラスの秀才)に半年に一回程度来てもらい、実際のオペ場、オペの流れを見て、指導してもらっております。

前回の詳細は眼科手術における感染対策について その弐 by B - 眼科手術開業医の戯言をご参照ください。S先生が来るまでの間に、キッチリと指摘されたポイントは改善いたしましたので、今回は合格点を得ることができました!

その後の講義では「術後眼内炎への対応」について話してもらいました。

アップデイトと言いつつ、ここ数年で大きな変化はないようでございます。

現在、日本の眼科界で流布されている基本は

・硝子体灌流液内に(バンコマイシン 20μg/ml )+(セフタジジム 40μg/ml )の抗菌薬を入れて、硝子体手術をする

となっておりますが、そこには前提条件があり、最後に(バンコマイシン 10mg/ml )+(セフタジジム 20mg/ml )濃度の抗菌薬を0.1ml、硝子体内注射をするとなっておるそうでございます。

その、最後の硝子体内注射のところが、意外に皆、抜け落ちているそうで、学会上でもよく、指摘されるそうでございます。

というわけで、S先生式では、ハナから、硝子体注射に相当する濃度の抗菌薬を灌流液に入れてオペをするということで、

・(バンコマイシン 200μg/ml )+(セフタジジム 400μg/ml )

要するに、基本の10倍濃度の抗菌薬を使用し、最後の硝子体内注射は割愛します。海外文献があるそうですが、この濃度でも全く問題ないそうでございます。

術後に関しては、細菌毒素による宿主の過剰な炎症反応と組織破壊を抑制するためにステロイドの全身投与は有効だそうです。ステロイドは術当日から開始した方が良く、プレドニゾロン換算で30〜40mgから開始、リンデロンなら4mgから開始し、漸減するのが良いそうです

もし、硝子体手術が施行不可能の場合は、近隣の病院に紹介してオペをしてもらうという形になりますが、その際に、(バンコマイシン 10mg/ml )+(セフタジジム 20mg/ml )濃度の抗菌薬を0.1ml硝子体内注射は絶対しておいた方が良いとのことでございます。ちなみにセフタジジムとは商品名モダシンのことでございます。

以上でございます。

Bの年内更新はこれで最後になろうかと思います!

本年もこのブログをご愛顧頂きありがとうございました!お正月休み中に、新年のブログも書きたいなと考えております〜。

では皆様、良いお年をお迎えくださいませ〜。