眼科手術開業医クリニックが病院と共存するには・・・その弐 by B

先日、行政が主催する、関西電力計画停電についての説明会に行ってまいりました。

Bのような有床診療所管理者や、看護・介護・病院関係の代表者の方が沢山こられており、当日、庁舎の大講堂でありましたが、ギッチリ満員でございました。

テレビカメラのクルーも来ており、会場内を撮影しておられました。この説明会に、もし反原発原理主義者が潜入しており、「原発反対!」などの奇声をあげたら、ニュースで放映されるんだろうなぁと、漠然と思っておりました。

関電側の説明のポイントは、

1.大飯原発再稼働が順調に成されれば、7月中旬以降は取りあえず一安心
2.逆に、それまでに酷暑の日が続いたりした場合は注意必要
3.自分の居場所がどのエリアに入っているかを確認し、関電HPの計画停電カレンダーで順位が1位か2位の時間帯は、何らかの対策を打っておくように
4.計画停電を起こさぬように、各自、節電努力をお願いしたい

とのことでした。

関電側の手際の良い説明の後、質疑応答となりました。

当院は、まぁ有床診療所と言っても、単に遠方の方がホテルがわりに使われるだけで、万一なったとしても、命に関わるということはないわけですが、人工呼吸器の患者さんを多数抱えておられる病院はかなり悲痛な声を上げておられました。質疑で一番多かったのが、厚労省から停電対象除外から漏れてしまった病院の恨み節ですねぇ。まぁ、どこかで線を引かねばならないのですが、病院の方がボヤキたい気持ちも痛いほどわかります。在宅看護で人工呼吸器の患者さんなどを抱えている施設も大変そうですね。

一人ぐらい「大飯原発再稼働反対!」との声を上げるかと思い(期待?)ましたが、だ〜れもいませんでしたね。

やはり、経営者・管理者は、職務に責任を負っておりますし、職員を雇用し給与を支払うという責任もございます。停電を起こされるくらいなら、原発を再稼働し、電力を安定供給して欲しいというのが本音でございます。

そりゃ、俳優(山本太郎)や、中核派労働組合員の方々は、停電になろうがなるまいが知ったこっちゃないと思いますが、彼らの反原発運動には、社会に対する責任感が微塵も感じられませんね。山本太郎なんか、国外に脱出するそうですが、そんなもん、我々が逃げ出すわけにはいきませんからねぇ。

当院の対応といたしましては、
・手術日に計画停電順位1位・2位の時間帯があれば、その時間までに手術を終えれるよう件数制限をする
・もし外来日に停電になった場合は、休診。→今から、突如休診する可能性があることを書いた用紙を患者さんにお渡し(支払い時)し、周知する。

てな感じでございます。他の原発も、ある程度の安全性が確認され次第、粛々と再稼働して欲しいと思っておりますし、政府としては、数十年先のエネルギー需給についての確固たる指針を示してほしいと思います。

さて、続きでございます。

Bは、病院とクリニックはライバル関係ではなく、お互いを補完する関係であるのが理想と考えております。

最近はよく、「病診連携」との文言を聞きます。内科を始めとする他科領域では、さかんにその類の勉強会が開かれてますね。ただ、他科は、「手術場を含め、明らかに病院の方が設備及びマンパワーが充実している」状況ですが、眼科は特殊な科で、特に白内障手術関連に関して言うと、病院よりもクリニックの方が設備も良かったりします。

眼科手術開業医の場合、自分のクリニックで十分対応できる症例を、患者さんの思い込みによって、他院に紹介せざるを得ないのは断腸の思いでございます。痛いほど良くわかります。

とは言え、前回ブログコメントで「500までもうすぐ」先生が書いてくださったように、我々も経てきた「手術教育」という観点から言えば、それはそれで必要なことでございます。

また、手術を機に、家族や家事から解放されて、ゆっくりしたいと願う患者さんもおられます。勿論、クリニックからは立場上「日帰りで問題ないので、日帰りでやりましょう!」とお勧めはしますが、そういう方に無理やり日帰りを強いても、患者さんにとってハッピーかどうかはわかりません。

特に当院は、変にベッドがあるため、「両眼やるから、1週間泊めてくれ」と患者さんが欲されることがたまにありますが、そのような場合は、「当院はそういうクリニックではないので、もしそこまで入院したいなら、大きな病院に紹介しましょうか?」と他院をお勧めします。(あっさり、他院をお勧めすれば、逆に患者さんは見捨てられた心理になるのか、ほとんどの方は、Bの言うとおりにされますが)

地域医療貢献という本来の趣旨に立ち返りますと、その地域の患者さんが、視力を回復され、機嫌よく生活されることが大切ですので、「来るものは拒まず、去る者は追わず」と、「日帰りで出来る!」ということをメリットに感じ、来院された患者さんをターゲットに淡々と手術をこなして行かれれば、必ずや風評も上がってくると思います。

あと、大切なことは、近隣の病院の先生方と良好な関係を保つことだと思います。

Bのクリニックの近くには基幹病院クラスが2件ありますが、1件は、同じ大学系列なので、しょっちゅう顔を合わせてますし、トップの先生が後輩ということもあって、意識的に年に数回は、Bのおごりでええレストランで会食し、懐柔に努めております。もう1件の基幹病院の先生は、他大学ではありますが、非常に腕も良く、信頼できる先生で、網膜剥離など緊急性のある疾患は安心してお任せすることが出来ますし、本当に助かっております。その先生もお忙しいので、度々会食は出来ませんが、年に1〜2回はそのような場をセッティングしてもらっております。医院経営の観点からも、正しい「接待交際費」の使い方と言えるのではないでしょうか。

そろそろマトメます。

・クリニックには、接遇の指導や、院長の思想が全職員に浸透させやすく、小回りが利くなど、独自メリットがたくさんあります。これは、大病院には逆立ちしても出来ないことです。クリニックと病院では、患者さん自身の求めてくる要素が違いますので、その違いをはっきりくっきりと際立たせた方が、良いと思います。当院の場合は、日帰りのメリットを書いたものを院内に掲示し、手術室はオープンにして、患者さんご家族が見れるようにし、手術患者さんには携帯電話番号を渡して、いつでもBと話が出来るようにしております。(その代り、時間外対応加算1を取っております)

・病院がなくても困るわけですから、近隣病院の先生方とは、コミュニケーションをとって、仲良くされた方が良いと思います。

・来るもの拒まず去る者追わず

・あと、広告宣伝は大切だと思います。自院HPの更新頻度を高め、白内障手術などで検索されたときに、常に上位に居続けられるような工夫が必要です。その具体的内容はHP製作会社の方がお詳しいと思います。

まぁ、結局、どれもローマは一日にして成らずと言いましょうか、迂遠な策ではございますが、ここは継承開業の苦しさでございます。粘り強くやっていれば、必ずや、kenkenクリニックの手術件数、来院患者数は増大すると思います!

元来、日本人は「自分をアピールする」ということが苦手であり、むしろそういうことは黙っていた方が美徳との考えが支配的です。とは言え、本当に黙っていれば、患者さんは、気づいてくれませんし、従来からの考えに従って、病院に流れていきます。ちょっと、こっ恥ずかしい感じはあるでしょうが、積極的に、HPや話があればマスコミ関係に登場して、アピールする方が良いと思います。

何だか、言いたいことの半分くらいしか書けていないような気がしますが・・。また思いついたら、書きますね。以上でございます〜。