超音波乳化吸引術における最近の設定値 by B

いやはや、ご無沙汰しております!早いもので3月も10日ですか・・。ブログ更新はいつも頭にあるのですが、なかなか時間で取れなくて申し訳ないです。

今思い返すと、民主党政権時代は、常に「どげんかせんといかん!」という鬱屈が溜まっており、政治ネタの筆も進んだような気がします。自民党政権、しかもBが最も敬愛する安倍晋三氏が首相になったので、ストレスが一つ減り、現時点では特に物申す必要のない順風満帆さでありますので、なかなかそれについて書く気がしませんね。B的には至極ご機嫌なんですが。(^^)

政治ネタを敢えて書くならば、TPPの参加表明がそろそろ成されそうですね。BはTPP参加に賛成です。前にも書きましたが、対中国や北朝鮮のことを考えると、米国の軍事力に依存せざるを得ない日本は、拒否して日米関係が悪化する方が国益に反します。自立国家を望む気持ちもわからなくはないですが、先に憲法改正し自前の軍隊を持ち、まずは普通の国家になってからです。まぁ正直、農業など一部の職業以外の方は、「どっちでもいいけど・・・、そうなったらそうなったで、ルールの中で頑張るわ」てなもんじゃないでしょうか?

我々の医療に関して言いますと、「TPPに参加したら国民皆保険制度が崩壊する」というのは極論であります。TPPごときでそんな日本国民の根幹ルールまで変えさせられるならば、それこそ「TPPに参加すれば憲法が変わる」とも言えます。んなわけないですよ。かつてBが述べました通り、よしんば海外の病院グループが日本に入ってきたとしても、全額自費診療のクリニックをわざわざ患者さんが受診しますか?一部の大金持ちだけでしょうし、それはそれで自腹で全額払ってくれるんだから、医療費削減に繋がりますよ。

Bが敢えて断言させて頂きますと、「TPPに参加したら国民皆保険制度が崩壊する」というプロパガンダを流しているのは、厚生労働省のお役人だと思います。

厚労省国民皆保険制度で、何やかんや言いながら、2年に一度の保険点数改正のたびに医師を掌で転がし、いい気分を味わっております。保険点数が高いクリニック(大部分は真面目な診療を行っているがゆえに人気クリニックとなり、結果的に保険点数が高くなったのですが)を「個別指導」と称して呼びつけ、上から目線で指導をしてくださいます。そして最前線の医師から見れば、あまり意味のない変なルールを作成し、規制を強めていきます(未だに、医療機関コンタクトレンズ販売所の入り口を公道を面して別々にしなアカンというルールは、どう国民の生活に寄与しているのかわかりません。パチンコ屋の景品交換所と同じ扱いでっせ)。規制強化と役人の天下り先は相関関係になります。要するに、国民皆保険制度というのは厚労省から見れば巨大な利権とも言えましょう。その証拠に医師のやることには、色々口出しをするくせに、カラーコンタクトレンズを含むコンタクトレンズネット販売など、グレーゾーンエリアに関しては規制しようとするやる気が全く感じられません。真面目に対面販売している医療機関には色々難癖をつけるくせに矛盾にしております。これは、「物分かりの良い医師相手に規制を増やす方が効率よく利権を増やすことが出来るため」でしょう。今のところ、海千山千のネット業者を本気で規制する気はないですね。

厚労省は、自分らの肥沃な穀倉地帯とも言える医療保険を絶対に手放したくありません。よく反対派の人が「混合診療が増え、外資系の民間保険がぼろ儲けすることによって、日本の国富が海外に流出する」と言いますが、そういうことこそ政府や官僚が規制をすれば良いだけの話です。日本生命かんぽ生命保険など、日本の民間保険会社も頑張って良い商品を作ったら良いのです。

B自身は国民皆保険制度は本当に良い医療制度だと思いますし、自分自身が恩恵を被っておりますので、今後も続けば良いなと思いますが、年金と同様、老年人口の増加によって、いずれは破綻せざるを得ないので、そろそろ新たな保険制度の論議を始めないといけないと思いますねぇ。白内障手術が例えば6000点とかになって、医師の利益が出ない形にしてまで国民皆保険制度を維持しようとするならば、結果的に医師のやる気をそぎ医療機関が疲弊し、国民医療が荒廃しかねません。TPP云々とは関係なく、やはり混合診療の比率を増やして、民間保険との併用という形に落ち着くと思いますがね。

さて、本題に入ります。

ご存じの通り、Bは白内障手術マシーンはA'社のサイン号を使用しております。Bがサイン号を選択した理由は「ぺリスタルティックポンプとベンチュリーポンプがフットスイッチ一つで変えることが可能で、2つのポンプでオペが出来るから」であります。その後、Bは色々なクリニックのオペ見学に行き、サイン号を使用しているクリニックもございましたが、皆さまぺリスタのみで華麗なオペをされておられ、どうやらBの流派は少数派のようです・・・。まぁ、上手な先生はそれで全く問題ないということでございます。

Bは、当初、核分割及び最初の1/4核片を吸うまでがぺリスタ、その後、ベンチュリーとしておりましたが、最近は、核分割〜3/4核片までがぺリスタ、最後の核片及びエピヌクレアスを吸引する際はベンチュリーにしております。核が沢山ある状態でベンチュリー方式に変更しますと、思いもよらない核がチップに引き寄せられたりして、オペがあまり美しくないのがその理由であります。あと、柔らかい核の時は、2分割してからベンチュリーにすれば、見栄えは余り美しくないかも知れませんが、真ん中にチップを置いてあとはフットスイッチを踏んでいるだけで核片が処理されますので楽です。柔らかい核でぺリスタの場合、変に核片を取りに行ったりして、周辺部で超音波を掛けてしまった際に核を突き抜けてラプチャー・・という事もありますので、核が勝手によってくるベンチュリーポンプの特性を生かしたほうが合理的かなと思っております。

設定は、柔らかい核〜核硬度3までに使用する「通常モード」と、核硬度3.5以上の「硬い核モード」の2つを作っております。

ベンチュリーポンプの方は、通常も硬い核モードも同じ設定値で、吸引圧180mmHg、USパワー35%です。フットスイッチの踏み込み具合でパワーを調整しております。

ぺリスタは、通常モードでは、吸引流量38cc/min、吸引圧350mmHgで、核の硬さ(及び年齢)によってUSパワーはその都度変えております。核白内障は見た目の核硬度で判断しますが、皮質白内障の方は、結構年齢を重視しております。例えば、若いアトピー白内障の方なら15%くらいにしますし、50代の皮質白内障なら20%、60代なら25%、70代以降は見た目ですね。だいたい30%で、そこそこ硬そうなら35%、効率が悪いなら40%にすることもあります。

核分割と核処理で設定を変えることはありません。上でのべたように、後半に差し掛かればベンチュリーモードに変更します。核分割法はず〜っと変わっておりません。フェイコチョップ法で、チョッパーは三好大先生の三好チョッパーを愛用しております。

Bの理論では、その水晶体の硬度に対して、適正なUSパワー、言い換えると核破砕力を選択してあげることが重要と思っております。柔らかい核に、激しい核破砕力で挑みますと、核分割の際に核を削りすぎて、把持できなくなりますし、その状態のまま続行しようとするとお皿状態になってしまって、非常に効率が悪いオペとなってしまいます。

逆に、特に硬い核に対し、ショボすぎるUSパワーで挑みますと、チップを核の奥深くに差し込めないので、核分割も失敗しやすいですし、チン小帯にストレスもかけやすいです。また、乳化吸引中も効率良く核を破砕しきれないと、USチップの振幅が核を突き放すように作用してしまい、「破砕できひんわ、突き放してクルクルと核片が前房内で舞っとるわ・・」で非常に宜しくないオペとなってしまいます。

USの発振方式は色々試した挙句、結局、時代遅れに思える「連続方式」に落ち着いております〜。サイン号の、チップが楕円回転するというエリプスハンドピースを使用しております。エリプスの場合、パルスモード等で核がチップに吸い付く時間を与えなくても、勝手にチップが移動して次の核を吸引しますので、連続モードでええやんという話になってしまいました。Bは、エリプスハンドピースを用いて、A'社自慢の白星モードでやると、非常に効率が悪く感じました。Bだけですかね〜?今、書きながら自分で納得していたのですが、Bは「エリプスハンドピース+連続発振」でやっているがゆえに、核硬度に対するUS設定値が大切になっているような気がしました。白星モードを始めとするパルスモードなら、「核の突き放し」が起こりにくいので、そこまで神経質にUSパワーに気を使わなくても良いような気もします。

硬い核モードは、ぺリスタで、溝掘りモードから始まります。分割・乳化吸引モードは確か、吸引圧が400mmHgでUSパワーが40%からのスタートだったと思います。核が硬ければUSパワーはもっと上げます。

こんな感じであります。サイン号にしてから、前房安定性が非常に良く、本当に特殊な症例以外では破嚢はしなくなりました。後半にベンチュリーポンプに切り替えて、真ん中でチップをあまり動かさずにジッとしているのが良いのだと自分では考えております。

本日は長くなってきたので以上でございます。皆さまそれぞれご自分なりに重視されているパラメータがあり、それによって設定されていると思いますが、もし良ければ皆様のお考えもお聞かせいただければ幸甚です!久々にオペのことを書いたので、次回もメスと粘弾性物質について書くつもりです〜。