スモール アパーチャ by A

アベノミックスの効果で、少し購買欲が上向いてきているのか、最近は医療機関もかなり忙しくなっています。保険があるとはいえ、手術ともなれば自己負担金も高くなりますので、景気の悪い時はやっぱり受診が抑制されがちになります。日銀のトップを入れ替えてこれほどの効果があったとは、びっくりです。

民主党時代には郵貯銀行も民営化から逆行し、官僚の天下り先となっておりましたが、安倍政権はここにも切り込み、早速に民間人の起用を内定したとのことです。この半年間を見ますと、一体民主党とは何だったのか、はなはだ理解に苦しみます。民主党に媚びを売っていたような団体は今や風前の灯で、それを隠すのにやっきになっています。

円安といっても、一時から見ればまだまだ円高で、「過剰な円高の修正」に過ぎませんが、やれ「燃料代が上がる」「イカ漁船が大変」などと、あらさがしにやっきとなっているのがマスコミです。また、国債金利の上昇は住宅ローンとも連動しているので、泣くのは庶民だなどと言いがかりをつけています。しかし、だまされてはいけません。

20年間の日銀製大型不況のあおりを食っているのは、まぎれもなく庶民であり、しかも若い世代です。

これからもしばらく円安方向に動くことにより、株はもっともっと高くなることでしょうし、大企業の法人税が入ってくることにより、国家の財政も健全化の方向に進むと思われます。今のところ、円と株価は全く正反対に動いています。これが、円安、株安と連動するようになるとすれば、それは危険のサインです。しかし、120円くらいまでは全く大丈夫な気がいたしますし、国債の引き受け手が日銀なのですから、自由自在にコントロールできるのではないでしょうか。

さて、今回の話題ですが、白内障手術のCCCの大きさというのがテーマです。

CCCの大きさはIOLの光学部径との比較で語られることが多く、それよりも大きい、6mm以上の大きさを大、同じくらいを中、確実に小さい4〜5mmくらいを小と分類します。みなさんはどれくらいを意識して手術をなさっていますか?

小生のように、硝子体手術術者くずれの白内障手術術者(日本では意外と多い)は、とにかくCCCを大きくし、術後の眼底の見やすさや、万一、硝子体手術が必要となった場合の手術のし易さを重視したものでした。光学部径の大きいIOLをわざと使うということもありました。

しかし、ご存知の通り、術後の屈折予測の正確さが求められる付加価値レンズ(多焦点や調節性IOL)が普及するにつれて、IOLの光学部を少しだけ、全周にわたって覆うのがトレンドとなり、直径4.5mmくらいの小さなCCCを理想とする考えが一般化しております。small apertureです。

日本ではまだ多焦点IOLしかありませんが、米国では調節性IOLもいくつか出ており、欧州だともっともっといろいろな付加価値IOLが使えます。特に調節性の場合、光学部全体が前嚢で覆われていないことには話になりません。Small aperture is a must.ということになります。

多焦点IOLの場合ももちろん、small apertureが推奨されている訳ですが、術後の屈折誤差を指標した場合、光学部の周辺を前嚢が覆っていようがいまいが、有意な差はないそうです。ただし、光学部がoutになると、その部分で後嚢混濁が起こりやすいので、なるべくなら避けた方が望ましいと思います。

5mm径くらいのCCCだと、少しセンタリングがずれることにより、容易に光学部outになってしまいます。全周がしっかりと覆われるには、やっぱり、4.5mm径くらいのsmall apertureということになってしまいます。

small apertureの欠点といいますと、前嚢混濁による炎症の持続、あるいは、チン氏帯の弱い症例における収縮〜閉鎖(phimosis)ということになりますので、症例を選ぶ必要はあります。しかし、そもそも、ややこしい症例では付加価値レンズを使いません。

4.5mmCCCで手術を行いますと、超音波が少しやりにくく、I/Aも手元位置がしにくいことがわかります。核分割はチョッパーで行うとして、前嚢の下かなり赤道部方向へ深く挿入する必要があります。下手をすると、前嚢に亀裂を作りやすいです。

実は、これが簡単かつ安全に行えるのが、注目のfemtosecond laserというわけです。aperture 4mm でもCCC下の核がすでに分割されている訳ですから、比較的簡単に手術が進行いたします。まあ、それだけのために、5千万以上も投資する気には、今のところなれませんが・・・。

最近は光学部の周囲が確実に覆われるsmall aperture surgeryをマニュアルで完璧に決め(フェムトの出費を避ける)ことを旨に、白内障手術のモチベーションを高めています・・・。