選択療養について by B

本日は、本当は朝から釣りに行っちゃおうと思っていたのですが、強雨&強風ということで中止。

日曜日がぽっかり空いちゃったので、前から気になっていた厄払い(Bは厄年です・・)に、厄落としのブランド神社に午後から行こうかと思っております。

スキマ時間を利用して、ブログを更新というわけでございます〜。

今回の点数改正において、我々眼科業界で焦点となるのが「短期滞在手術基本料3」の取り扱い方でした。Bのクリニックは有床とは言え、診療所ですので関係ないようですが、病院は混乱するでしょうねぇ・・。

結局のところ、

○ 4泊5日の入院中に両眼の白内障手術を行っても基本料3が1回しか算定できない
○ 1回の入院期間中に両眼の水晶体再建術を行う場合:1眼は4泊5日の期間中に行い、
2眼目は6日目以降に行えば、基本料3+6日目以降の出来高で算定できる
○ 1回の入院期間に1眼の水晶体再建術を行う場合:前後の入院期間の間を7日以上空けると
2回入院でそれぞれ基本料3が算定できます。

と言う形でこの2年間は行かねばならないようですね。交通の便が発達している都市部の患者さんは白内障手術で長期入院は必要ないかも知れませんが、医療過疎の地域に住んでいる住人の方々は、やはり通院が不便ですし、一回の入院で両目を治してくれというのは当然のニーズでしょう。4泊5日で両眼白内障手術をするというのは現在の医療レベルでは十分な入院期間ですが、「短期滞在手術基本料3」の設定によって、結果的に、病院側および患者さんに、更に長期の入院を強い、もしくは2回にわけて入院させる不利益を被らせることになりましたね〜。医療費の無駄遣いですね。

(ちなみに交通の便が発達している世界都市、東京の病院などでは、入院の両眼白内障手術って、どのくらいの入院期間でやっておられるのでしょうか??誰かご存じの先生がおられましたら教えてください〜。)

国が全ての地域や診療科の実情を把握しているわけではないのに、全部決めようとするからこのような弊害が出てまいります。医療の実情は地域地域によって異なるので、やはり地方分権にして、それぞれの実情に合った制度を構築するのが理想だと思います。

最近、維新の橋下氏は終わったとの論調が目立ちますが、マスコミはそれこそふわふわした民意に追従するのではなく、事の本質をついた報道をして欲しいと思います。橋下氏の人気の低下と、地方分権の必要性は別の話ですが、もはや地方分権のことや、中央集権主義による行政費の無駄遣いに関して指摘する声は寡聞にして聞きません。そういえば、首都直下型の巨大地震に備えて、首都機能移転の話も昔は話題になりましたが、今や誰も言い出しません。Bはリスクヘッジのために絶対にやった方が良いと思いますけどね〜。何でもかんでも東京に集まり過ぎですよ。


さて、混合診療に関連しt、政府の規制改革会議で「選択療養」と言う制度が提案されました。

現行の保険外併用療養費制度には、選定療養(差額ベッドや歯科の合金など)、評価療養(将来的な保険収載を目的とした、先進医療や治験など)がありますが、それに加えての第3の制度のようです。

ポイントは、下記の如くです。
・評価療養の項目は、厚労大臣が定めることになっていますが、選択療養は何でもOK。
・医師と患者が合意し、書面で契約すれば保険適用外の医療行為と保険診療を組み合わせて実施できる。
・どの医療機関でも適用可能。
保険外診療に有効性が認められれば、評価療養の対象として、保険収載の道も作る。
・ただし、モラルハザード対策として、医師と患者間の「診療契約書」を保険者に届けるというアイディアも。

規制改革会議は、「選択療養」は現行の保険外併用療養費制度の中で実現できるもので、混合診療の全面解禁ではない、と言っているようですが。

これに対して、厚労省は「選択療養」の創設には同意しませんでしたが、現行の保険外併用療養費制度を改革する必要性は認めたそうです。厚労省は、「選択療養案」を一旦引き取り、厚労省内で検討すると応じたそうです。

日本医師会は猛反発するでしょうが、正直、眼科のようなQOLを追求する科においては、非常に良い制度であるとBは思います。

これが実現すれば、LASIKやフェイキックIOLも患者さんと書面をかわして問題なければ術後の観察は保険診療で可能となるのでしょうか?さすがにそれは無理なような気もしますが、それこそ、アバスチンを使用したAMD治療などやっても問題ないなら、リスクは医師及び患者自身が負わねばならないのでしょうが、患者自己負担は激減します。少なくとも選択肢が増えます。欧米から輸入したadd-on IOLなど、クリニック側としては心理的に使いやすくなりますね。

眼科業界だけでも、ここ数年でどんどんの医療技術、医療デバイスの革新が続いております。全ての新技術をどんどん保険収載することは不可能ですし、現状の制度に拘り過ぎると、日本の医療は常に一世代前の治療となり、世界から取り残されてしまう可能性があります。

混合診療が開始されると、民間保険が活性化し結果的に保険大手の外資企業に日本のお金が流出してしまう・・・ということを医師会をはじめ、反対派の方々はよく主張されますが、現状でもル○ンテ○スを例に出すまでもなく、大手製薬会社は外資が多く、十分に流出しております。

外国企業が抗VEGF薬をはじめとする、画期的な新薬を売り出すことが出来、日本企業が先を越されているのも、日本企業の実力がないから仕方のない事ですし、更に言いますと、資金面で圧倒的な差があったり、規制が多すぎるのでシステム上も太刀打ち出来ないからです。

医療者としては、国の保護的、内向き政策に倣って、他に良い薬剤や器機があるにも関わらず、それを使用しないということは倫理に反します。資産流出が嫌だと言って、時代遅れの診療を延々と繰り返していき、高齢化社会に伴って国民皆保険制度も維持できなくなる方が、亡国の道ではないでしょうか。

医療以外でも、日本は規制が多すぎて、日本企業自体が海外に進出して向こうでも税金を納めております。それでも日本でやり続けるよりはメリットがあるとの判断でしょうから、やっぱ現状を変えるには規制緩和が必要ですよ。

保険業界の富の流出がいやなら、日本郵政の株式会社かんぽ生命が、画期的な新商品を確立し、日本人ならその保険を購入したいように仕向ければ良いと思いますし、それこそ米国や中国に進出して、向こうの富をこっちに持ってくるくらいになって欲しいですね〜。

人間、闘争心が大事です。守りに入ればジリ貧です!

かつてのローマ、唐、大英帝国、そして(かつての)アメリカ合衆国も世界から人が集まることによって帝国として存在出来ました。幕末の開国論ではないですが、少々のリスクは承知の上で、開国(=規制緩和)をし、もう一回、国民が歯を食いしばって頑張って、大日本帝国再興といきたいところでございます。

というわけで、Bは選択療養、及び、今後の混合診療解禁に関しては賛成の立場でございます。本日は以上でございます。