ペイシェントハラスメント by B

先日、とある会に参加したところ、複数の先生から「先生のブログ楽しみにしてます!」と言われてしまいました・・・。医者の世界は狭いですからねぇ。長年やってると段々絞り込まれてくるのでしょうか・・。

とは言え、この細々更新となってしまったブログでも楽しみにして頂いてるとのことですから、更新意欲が湧いてまいりました!タイガーマスクを気取るわけでは毛頭ございませんが、とことん匿名に拘って行きたいと思います!


まずはこのニュースから、ようやくPC遠隔操作事件が解決したようですね〜。

PC遠隔操作 「私はサイコパス」と片山被告 4人の誤認逮捕に「やったと思った」
産経新聞 5月20日(火)17時8分配信
PC遠隔操作 「私はサイコパス」と片山被告 4人の誤認逮捕に「やったと思った」
弁護士事務所を出る片山祐輔被告=20日午前、東京・赤坂(大里直也撮影)(写真:産経新聞
 「『やっていない』という人を信じるのが職業倫理だが、完全にだまされたということにはなる」。片山祐輔被告の身柄拘束を受けて20日午前、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した主任弁護人の佐藤博史弁護士は、苦渋の表情を浮かべた。


 所在不明だった片山被告から佐藤弁護士の携帯電話に連絡があったのは19日午後10時すぎ。片山被告が荒川河川敷にスマートフォンを埋めたとされる報道を見て、「本当のことだったので死ぬことを考えた」と気が動転した様子で語ったという。

 自殺を試みたと話した片山被告。山中で首をつろうとしたが失敗し、山を下りて駅のホーム下に入り込み電車が来たら飛び出そうとしたが、死にきれずに佐藤弁護士に電話をかけたという。

 佐藤弁護士は20日午前7時半ごろ、事務所で片山被告から直接話を聞いた。佐藤弁護士は「昨夜は動揺していてなだめるのが精いっぱいだった。今朝会ったときは、酒を飲んで酔っており相当衰弱しているようだったが、落ち着いていた」と振り返る。

 自ら“真犯人”を知らせる結果となった公判中に送信された真犯人を名乗るメールについては、「母親から『いつ平穏な生活が戻るのか』と聞かれ、早く裁判を終わらせたいという気持ちになった」と説明。一連の遠隔操作事件で、一時4人が誤認逮捕されたことについて「意外に簡単だった。逮捕されたと聞いて『やった』という気持ちになった」とも話したという。

 片山被告は以前、「真犯人はサイコパス(反社会的人格)だと思う」と話していたといい、20日には「それは自分。嘘を平気でつける」と語ったという。

 記者会見で当初、「否認の被告が途中で罪を認めることはある」と強気の態度を示した佐藤弁護士。しかし、記者からの質問を受け「こういう事態になり、どうしてああいう人が生まれたのかということを考えないといけない」と神妙な面持ちで心境を語った。

「墓穴を掘る」という言葉がありますが、正にそのまんまでございますね。片山被告にはしっかり罪を償って頂かねばなりません。弁護士先生も色々な人を相手にせねばならないので大変ですねぇ・・。

あと、ASKA逮捕はBも衝撃でした!何を隠そう、Bはかつてチャゲアスの大ファンであり、一番最近に行ったカラオケでも締めは「YAHYAHYAH」でした。カラオケに行って、サザンとチャゲアスを歌わないことはありませんね。

まぁ、Bのカラオケ選曲の話はどうでも良いのですが、チャゲアスはそれこそもう伝説のバンドで殿堂入りしているようなものですから、ASKA氏はストレスなど感じずに悠々自適の生活を送ってればよかったのにと思いますね。残念でたまりません!!(><)

さて、本題です。先日、ペイシェントハラスメントを受けてしまったので、報告いたします。

80歳以上の女性の方ですが、かなりナーバスな性質でした。

初診時右視力0.5(1.0),左視力0.2(0.6)。主訴は左視力低下で遠視かつ乱視です。色々説明をした結果、マルチIOLを希望されたため、せっかくやるなら、右目も遠視が強く白内障もあるので、揃えた方が良いと説明し、それぞれ1泊入院でオペ予定となりました。ところが、「左視力低下で来たのに、両眼の手術を勧められた。」というのが、どうも納得がいかないようで、延々責められることになるのです・・・。

その後、手術日までに「先生に聞きたいことがある」とのことで来院され、「なぜ、自分が見えにくいと思っていない右眼も手術せねばならないのか」について説明を求められました。

・まず、多焦点レンズの場合は、眼鏡になるべく依存しないことを目的としているので、右目は眼鏡で矯正しないと遠方も近方も見えづらいわけだから、もし多焦点IOLを使用するならば両眼とも手術しないとあまり意味がないこと

を説明しました。

すると、「では、単焦点IOLで良いです。近くが見えにくくて困っているので、左目は近くが見えたい。裸眼で近くが見えるようにしてください」と言われました。

となると、Bは

・右目が遠視で、左目が近視となると、両眼の度数の差がかなり激しくなるのでお勧めできない。右目の手術をしないつもりならば、左は普通にemme狙いとしたほうが良い。百歩譲って左を近視にするなら、右目も手術をして、左と同じような度数にして遠方視時に眼鏡をかけるか、遠視を減らしてモノビジョンにするかにした方がよい。

と説明しました。

したらば、「いえいえ、右目は良く見えているのですよ。どうしてそっちの目を手術する話になるのですか!?」

と言われます。この時点で、その患者さんの目には、Bは過剰診療金儲け至上主義の悪徳眼科医に見えてしまっていたようです・・・。
(ToT)

でBは、

・じゃあ右目をしないならば、左目は遠方に合わせて、右眼が不自由になるまでは、メガネで調整することにしましょう

と言いました。

したらば、「いやいや、先生、私は近くが見えるようになりたいのです!」と怖い顔でおっしゃられます。

今思い返すと、本人がそんなに言うなら、取りあえず、片眼遠視・もう片眼近視の不同視を作ってしまうことになっても、本人の言うようにした方が良かったのかな・・とも思いますが、Bも自説に固執してしまい、

・いやいや、それは止めておいた方がよいですよ。ただ、左目は遠視が無くなる分、今までの事を思えば裸眼でも多少近くは見えるようになります。まぁ、それも両方やった方がより良いと思いますがねぇ

とまたもや禁忌の右眼手術を勧めてしまいました・・。

その後、どうやっても折り合いがつかず、延々話し合った結果(当然、その間診療はストップし、待合室から幼児の泣き声が聞こえ、受付からは「あと何人目じゃいっ!!」という問い合わせの声が漏れ聞こえ、Bの心中は千々に乱れきっておりました)、

・僕は眼科手術のプロで、これで飯食ってるし、僕に任せておいてください!悪いようにはしませんよ!左目を手術すれば右目も実は見えにくいことがわかります!取りあえず左目を治しましょう!任せておいてください!!取りあえず左目を手術し、右目も一応予定はしておきますが、不必要だと思ったらキャンセルしてください。

と言って終止符を打ちました。幾ら説明しても納得していただけないので、僕の語気が荒くなってしまった局面があったことは否めません。

正直、眼科手術開業医である以上、この手の説明は日常茶飯事でございますが、ここまで御理解頂けなかった例はないです。率直な印象を言いますと、心自体が閉ざされてしまっており、こちらの考えを理解しようとしていないので、幾ら説明しても無意味でした。唯一の選択肢は、不同視を気にせず、言われるがままに左目を近視にすることでしたね。多分、それはそれで「術後遠くが見えなくなった」とクレームを受けるのでしょうが・・。

で、その翌週に右目手術はキャンセルの電話が入り、左目だけ白内障手術することと相成りました。

手術は全く問題なく、短時間で完了し、会心の手術でございました。その日、Bは風呂に入りながら、「先生!良く見えるようになりました!こんなに楽に済むなら右目もやっちゃいます!」と言われ、ガッチリと笑顔で握手をしている姿を妄想しつつ口笛を吹いていたわけであります。

で、翌日、術後視力は裸眼1.2でございます!

ところがです!!患者さんの顔は能面のように冷たく、全く喜びの表情ナッシングです・・。

以下、カルテの問診エリアに書いてる文言です・・・。

・術翌日2日目 全く見えやすくなってない。目の奥が少し重たい感じ。遠くしかみえない。

・術1週間後 左だけ眼瞼がピクピクする。こんなに遠くが見える必要はなく、中間距離が見たかった。早くメガネを作成したい

こういわれると、B的には、「手術は問題なく出来てます。手術前の見え方と比べれば、中間距離も全然見やすくなってると思いますよ。逆に今までの遠近眼鏡がかけれなkなったせいでそう感じるのかもしれませんね。右目もやった方が揃うし、良いと思いますよ。両方揃ったら、多少中間距離もマシになりますよ。」と言ってしまいますよねぇ。でも当然御理解頂けなく、文句百タラ言われました。で、「ほな勝手にしなはれ。わしゃ知らんわ!」となってしまいます。

術1か月後検診は来られませんでした。他院へ転院されたと思い、「まぁ仕方ないわ」とBも思い、やっと平和が訪れました。

が、術2か月後に来院し、

「メガネ屋で眼鏡を作ったけど合わないから処方箋を書いてくれ!!」とかなり怒った調子で来られたわけでございます。

もう、溜息しか出ませぬ。Bはもう匙を投げ、外来中ネチネチ責められ続けつつ、眼鏡処方箋を発行しました。

とにかく、「こんなに遠くが見える必要はなかった。近くが見えるようにしてほしい。ご近所の方は、白内障手術をしたら、近くが良く見えるようになったと言うのに私はならない。どういうことだ!?」と言われます。Bは「右もやれば・・」と言うしかなくどんどんとお互いの心が遠ざかる一方。

こっちはキッチリと仕事をしているのに、毎回毎回診察の度に嫌味百たら言われるので、いつも最後は

「やっぱり医師と患者は信頼関係が大事ですし、そんなに僕の事が信じられなかったら、他にもナンボでも眼科はありますので、そっちに行かれたらどうですか。」

と言って、お互い寒々しい態度で終わります。

で、数日前、術3ヶ月目検診で来院され、ネットリネチネチと責められましたわ〜。

曰く、

「オホホホホ、きょうびのお医者様は皆優しくて、患者さんの言うことを聞いてくれますのに、B先生は全く聞かないのは珍しいタイプですわね。オホホ」

とネットリと攻めにかかって来られます。

Bは、

「いやいや、自分で言うのも何ですが、良く話を聞いてますよ。ここまで聞く医者も少ないと思いますがねぇ・・。こっちはプロですので、より良いと思う提案をしてるだけです。ぼくの言うとおりにしてくれたら満足して頂けるようにする自信はあるのですがねぇ・・。左目、良く見えるようになってますので、良いじゃないですか。右目も見えづらくなったら、また相談しましょう。では!」

と切ろうとしますと、

「確かに左目は良く見えるようになりました。(※このとき初めて認めてもらいました! が、この後、新手の攻撃が始まりました。。)先日、B先生に出して頂いた目薬、さした途端に目が燃えるように熱くなって赤くなり、とてもとてもさせる代物じゃなかったですわよ。2日間ほどしたら充血が治まったので、何とか歯を食いしばってさし続けましたが。私色々アレルギーがあるからツラかったですわよ。オホホホホ」

とのこと。

B「いや、それならその目薬は合ってないのでやめてください。合わないお薬をさし続ける必要はないですから。そういう時は早めに受診してくださいね。」

と言いましたら、

「いえいえ予めそういう説明を受けてなかったので。オホホ。あと、手術した日から左目にズーッと違和感がありますの。どうしてかしら。眼内レンズが動いているような気がするザマスよ。オホホホホ」

とのこと。

B「わかりました。目薬があってないなら早めに言って欲しかったのですが、受診時は特に充血等ないですしね〜。眼内レンズが入ったからそれで違和感を感じることはないですよ。まれにそう訴える方もいないではないですが、正直言って気のせいです。じゃあ、角膜に傷などついてないか、見てみますね。・・・・う〜む。ないですね。気のせいじゃないっすか。大丈夫ですよ!」

すると、

「B先生は真摯に患者に話を聞く姿勢がないザマスね!本当に今時の医者では珍しいタイプザマス!B先生は横暴です!!横暴ザマス!!」

と、暴言(?)を吐かれてしまいましてございまする。
m(_ _)m

Bは、

「人生いろいろ人間もいろいろ、人間である限り相性もあるので、僕が合わないなら、他の先生に診てもらってください。僕は○○さんがハッピーになってくれたらそれで良いですよ。じゃあ、もう3ヶ月経って白内障術後は問題ないので、来なくて良いですよ。何かあったらいつでも相談してくださいね。お大事に。」

と目を合わせる気力もなく電子カルテを見つめながら、退室を促した次第でございます。

まぁ、僕も意固地になってしまった所はあるだろうし、反省すべき点もあるとは思います。完璧な人間じゃないですからね。

ネットのとあるブログで、「患者からのハラスメント、ペイシェントハラスメント」患者からのハラスメント、ペイシェントハラスメント - 直ぐに歯が入る、腫れない痛まない、早く治るインプラント 日本口腔インプラント学会専門医 即時荷重専門書著者から情報提供というお題で、

皆さんはドクターによるハラスメント、ドクハラの報道とか問題の指摘は聞かれるでしょう。
しかし、逆のパターンがある事をご存知ですか?
心無い患者の言動が、医療側を追い詰めて身を竦ませる原因に成っている事。
今、産婦人科医や小児科医が減少している裏側に、実はこの事も一つある、即ち医師が一所懸命に身を粉にして努力をしても、全然理解を示さず、ひたすら自分の要求ばかりを強く求めてくる患者がいるのです。
偏に、失礼だが患者側の正確な知識不足、理解能力の乏しさが大きな原因と成っている事は、医療人なら誰も否定しないだろうと思います。
自らは勉強不足で、一度何かがあれば医師任せにし、所が運悪く治癒が思わしくないと、全てを医師の責任にしてクレームを言い募る方がいるのです。
残念ですが、そこに悪意的なものを感じずにはいられない方もいます。

と書いてあるのを目にし、今回の症例は、ペイシェントハラスメントと言ってもよいのかなと思った次第でございます。比較的お上品な女性の方ですので、怒鳴られたりするという感じではないですが、ネットリネチネチタイプもなかなかツライものでございます。80歳過ぎておられるのですが、お元気な方です。Bとは相性が合わず不愉快な思いをさせてしまって申し訳ないですね。この場で謝っても仕方ないですが、謝罪します。スミマセン。ただ、Bは悪いことをしたとは全く持って思っておりませぬが。

まぁ、色々ありますね!明日も診療頑張ります!

本日は以上でございます〜。