近況報告2014.10月 by B

いやはや〜、ご無沙汰しております!!

いつも忙しい忙しいとボヤいておりますが、ここ数か月は、今までの人生で最も忙しかったです・・。

その原因は、新医院建設ですが、ようやく目処がつきました。ていうか、完成致しました!!

また、診療に関しても虎舞竜が続出でして、そのストレスもまぁまぁございました。

まず一つ目は、眼軸長16mm台の真正小眼球眼のオペでございます。

実はBは、今まで20mm以下の眼軸長は経験なかったのですが、16mmという眼軸長には度肝を抜かれました・・。しかも成熟白内障で前房はvery shallow。手術申し込みをしたのは良いですが、手術を待っている間にattackを起こしてしまいまして、更に状況が悪くなりました。この目に関しては結論を言えば、オペは奇跡的(?)にスムーズに行きました。

問題はもう片眼で、眼軸長こそ16mm台ですが、白内障自体は未成熟というか、普通の白内障で、成熟白内障かつattack後の目を問題なくこなしてしまった後だったので、自分的には、やや気楽に手術に臨みました。が・・・、最初はそうでもなかったのですが、術中に徐々に前房が浅くなりはじめ、何とか核をたいらげ、皮質吸引の局面に入るとどんどんエスカレートしてまいりました。粘弾性物質を入れても即座に跳ね返されて全部脱出。IAチップをいれても、後嚢をグリグリせざるを得ないので、吸引をかけるどころの話ではございません。

こういう事は今までも経験がありましたので、灌流液が後房に回り込んでいると判断し、前部硝子体切除を施行しました。今になるとわかりますが、いわゆるuveal effusionに近いような状態になっていたようです。

ここで問題になるのが、「眼軸長16mmの毛様体扁平部って、輪部から何mmくらいのところにあるの??」という点です。

B的には、網膜剥離を起こしてしまうのが一番怖いので、3.5mmよりやや近め、3.0mmをVランスでつきました。

今思い返すと、トロッカーを入れておけば違ったのかも知れませんが、最初は出血もなく、コアビトレクトミー→前房形成し皮質吸引→また前房がなくなってきてコアビトレクトミー

という作業を繰り返しておりましたが、何度か硝子体カッターを出し入れしているウチに、創口から硝子体腔内に出血がおこりまして、みるみるうちに徹照がなくなりました・・。
(ToT)

無水晶体眼とは言え、水晶体は全てなくなり、complete CCCの水晶体嚢が残っている状態なので、ここで無理せず一旦オペを終了しても良かったのですが、白内障術者の本能と言いましょうか、どうしてもIOLを挿入して終わりたい衝動にかられましで、IOLをムリクリ挿入しようとしても、最初のトライ時は激しい硝子体圧に跳ね返されて断念・・・。

やめときゃいいのに、IOLをセッティングし直し、再トライし、今度は渾身の力を込めて、眼内に発射したところ、創付近の虹彩を激しく離断してしまいました・・。前房も出血でございます・・。

懸命な読者の先生方なら、お気づきかと思いますが、眼軸長16mmならば、IOLと言っても、普通のIOLではなく、+34Dの超ぶ厚いIOLです。それを無理に挿入しようとすれば、こうなりますね・・・。

いやはや、いま手術の光景を思い浮かべただけでも背筋が寒くなってしまいます。

で、気になる結果ですが、IOLは嚢内に勿論入らず、ワンピースアクリルレンズが毛様溝に入っている状態。虹彩離断自体は、術翌日は思ったほど気にはならなかったです。むしろLIしなくても自動的に作成できたと、前向きに考える(かなりのプラス思考ですが・・・)ことも出来ます。硝子体内は激しい出血で眼底透見不可能でございました。眼圧は40弱。

ダイアモックス内服を処方し、眼圧を下げつつ、炎症が静まるのを待って、2週間後に硝子体手術施行。その時に、IOLも嚢内に挿入する予定でしたが、出血や炎症の影響で前嚢と後嚢が板のようにビタッとくっついてしまっており断念。ワンピースアクリルを切断して、PMMAループの3ピースIOLとの交換も考えましたが、前回手術時の泥沼状態のトラウマから、とりあえず出血さえ取れれば視力が出るだろうし、眼圧がどうしても下がらなければ交換、もしくはエクスプレスを使用しての濾過手術を考慮ということに致しました。

現在は、点眼で眼圧コントロール可能で、視力も出ております。眼圧に関しては、今後も慎重な観察が必要でございます。

今回の真正小眼球眼手術で得た教訓ですが、

・事前にUBM、前眼部OCT等でパルスプラナーの位置を確認しておく→硝子体手術前に前眼部OCTで確認したところ、輪部から3.5mmで良かったようです。まぁ、その測定も目分量でいい加減なものですが・・・

・状況によっては、IOL挿入を後日とし、一旦は引く勇気も必要

・IOLは嚢内に挿入できない可能性も考慮し、ワンピースアクリルIOLではなく、3ピースIOLで準備しておく方がよい。(具体的には、H社のBBRが+40Dまでありますので、適していると思いました)

てな感じでしょうか。

まだまだ、虎舞竜症例ありますが、今日はこの一件をお話しさせて頂きました。


また、スリットランプ選びの結果ですが、昔のローデンストック社(今はLuneau社となっているようですが)の最新LEDスリットランプに決定いたしました!!

「古い方が良い。安くてもええんじゃ」と散々デモをした結果、選んだものは、発売して1週間もたたない、最新スリットランプでございました。勿論、値段も最高値でした・・。
(><)

LEDは波長が短いので、水晶体の奥の方や前部硝子体まで観察するには、ハロゲン光の方が適しているのはと、Bは決めつけておりましたが、このL社の最新スリットランプは、Bの愛するJ社のハロゲンスリットと遜色ない見え方でございました。操作も、外国製らしく至ってシンプルで、ジョイスティックによる電動上下式も、使ってみるとなかなか良いもんです。(電動式のため上下幅が狭く、患者さんの顔の大きさを即座に判断し、アゴ台をマメに調整しないといけないので、結果的には一緒のような気もしてきた今日この頃ですが)

とは言え、何とか、自分の納得するスリットに出会えたのでやれやれでございます。モニターとの相性も良いようで、画像ファイリングに保存するモニター画像にも不満はございません。

本日は以上でございます!忙しさの極期は過ぎ去ったと思われますので、またブログをちょこちょこ更新していく所存でございます!