チン小帯脆弱例はいつまで経っても難症例 by B

いやはや〜、皆さまご無沙汰しております!今年もあと残すところ、10日余り、皆さまは如何お過ごしでしょうか?

先日、ついに新医院での初虎舞竜症例に遭遇いたしました。

緑内障発作+IFISのカチカチスーパーハード症例で、難易度はマックスでございました。

緑内障発作は、術前診察時に解除できましたが、数日後の手術前の散瞳薬点眼で、再びattack発症!!マンニトールを全開で落として、何とかattackを解除した状態で手術を始めました。

IFISに関しては、フェニレフリンミニムス投入で、手術にさほど影響を与えませんでしたが、やっぱり、attackを何度も繰り返している症例でチン小帯が広範囲断裂してしまっており(チン小帯が広範囲障害を受けているからattackを繰り返しているとも言えます・・・)、核を乳化吸引していくにつれ、嚢もハリを失っていき、硝子体脱出を認め、超音波で吸引すると嚢毎吸引してしまう状態になってしまうため、これ以上の超音波吸引を断念。硝子体カッターで残存皮質と嚢を切除する作戦にでました。何とか、形をつけて手術を終了したものの、そこそこ大きいエピヌクレアスが硝子体腔内に落下しておりますので、現時点では、その吸収過程によると思われる炎症で眼圧はまだ高いですね・・。まぁ、年内には落ち着くと思いますが・・・。

実は、この症例のもう片眼も、緑内障発作こそ起こしていなかったものの、カチカチスーパーハード、かつ前房はvery shallowだったので、発作眼手術の3日後にオペを行いました。こっちの目は、石にかじりついてでも、IOLを挿入せねばならないため、ハートを込めて手術をしておりましたが、IOLを挿入した後、IOLの挙動が怪しく、「すわっ!!やっちまったか!!」と観念しておりましたところ、よくよく見ると、IOL挿入時のインジェクターの不調で、後方ループがカートリッジ内で切断されたままで挿入してしまったことが発覚!!半泣きになりながら、IOL摘出&再挿入をした次第でございます。まぁ、破嚢してなくてよかったですわ〜。(^^;)

IOLはH社のnew プリセットIOLです。正直、IOL挿入時は問題なく挿入していると確信しており、ループが切断されるような抵抗は全然感じておりませんでした。最近はプリセットIOLにハマっており、H社newレンズもご機嫌に使用しておりましたが、何の抵抗もなくループが破損されるのはいただけないですね・・・。ただ術者も、ナースからインジェクターを受け取ってリズミカルにいきなり眼内に挿入するのでなく、一度顕微鏡を弱拡大にして、IOLがきちんとセットされているかを確認して挿入せねばならないと痛感いたしました。

H社プリセットIOLは、もう一つ問題があり、何故か、創(2.5mm弧状ブレード)の閉鎖が悪い症例が多いです。カタログ上は角膜2.3mmからOKなので2.5mmからなら楽勝なはずです。なのに、術翌日、よくみるとwoundの隅っこからジワジワっとSeidel(+)なんですね〜。眼圧に左右差があるほどの漏れではなく、2日目には大概閉鎖しておりますが、何か挿入法にコツが必要なのかもしれません。IOLの挿入感や眼内での広がり方には非常に好感を持ってますので、何とか課題をクリアしたいと思っております。

もう一つのプリセットであるN社のIOLはインジェクター完成度は抜群に良いです!が、眼内の挙動がイマイチなんですよねぇ・・。かなりダイナミックです。IOLが広がる際にループが内皮を擦っている症例はたま〜にあると思いますよ。ここが改善されれば良いのですが。

プリセットではないですが、A社のインジェクター+Dカートリッジの組み合わせで挿入したものが一番、創の負担が少なく、翌日も美しいです。ただ、A社IOLはやっぱり数年経ってからのSSNGがイマイチですねぇ。視機能に影響はないかもしれませんが、こっちが見ていて不愉快ですし、あと、少ないですが後発白内障を発症した際に、A社IOL眼は非常にレーザー照射がしにくいです。これも何とかなりませんか・・・。

話が脇に逸れましたが、チン小帯脆弱例だけは、何年経ってもなかなか克服できません・・・。今回のattack症例も、ハナからCTR挿入やカプセルエキスパンダーを使用するなどして、念には念の対策をとってオペをしていれば結果は違っていたかもしれませんねぇ。attack眼で問題なく出来てしまう症例もあるだけに、ついつい省略してしまったBが悪いです・・。まだまだ未熟者でございます。
m(_ _)m

しかしながら、実は年始早々に、PE眼で既に水晶体振盪を認め、gla点眼をフルにしていても眼圧が35mmHgから下がらない症例が控えております・・。核硬度は勿論、スーパーハードです・・・。(><)

当院でずーっとfollowしていた患者さんなら、ここまで放置することはあり得ないのですが、他院でfollowされており、「見えにくいから白内障手術をしてくれと言っているのに、いつまで経っても手術をしてくれない」と訴えられ、先日当院を初診された患者さんです。

前医の先生が医局の後輩だったので問い合わせた所、「視野もだいぶん欠けてるし、手術をしても硝子体手術→縫着までなる可能性が高いので、年齢を考慮するとこのまま経過を見ていた方が良いと判断しました」とのことでした。まぁ、それも一つの考えでしょうが、B的には白内障をとってあげないと眼圧コントロールが出来ないので、失明を待つだけになってしまいます。手術した方が良いですねぇ。

このような症例は、諸先生方は、どのようにopeをplanされますでしょうか?

B的には、CCC後、CTRを挿入(※ここでCTRも挿入できないくらいグラグラならカプセルエキスパンダーでしょうか)→ ハイドロ → カプセルエキスパンダー→フェイコ

てな感じでしょうか。ハイドロが肝ですね。ここでうまく出来たら、フェイコはなるべくローバキュームでゆっくりゆっくりと・・。こんな感じでうまく行ったら良いなぁと妄想しております。

例えば、こういうチン小帯脆弱眼は、レーザーフェイコなら、現在のマニュアルフェイコよりも安全に手術が出来るのでしょうかね〜。それなら、レーザーフェイコの存在意義はあると思います。

本日は以上でございます。年内、もう一回、更新するつもりでおります〜!