近況報告 2015.4月 by B

ご無沙汰しております!月一回の更新が板についてまいりました。最近の近況報告をさせて頂きます。

まずはA社のマルチIOL自主回収問題ですが、実はBのクリニックでも1例、1月後半にリストアを挿入した方で、異常に炎症が強く出た症例がございました。

81歳女性で、先に左眼を手術して経過良好。数日後の右眼手術の際、微熱(37.6℃)があったのですがご本人と相談の上、手術を希望されたのでやっちゃいました。あとで、インフルエンザに感染していると発覚したのですが・・・。

術翌日は普通に問題なく、1週間後に予約を取ったのですが、1週間後の検診の際、「2日前からボンヤリして見えない・・」と訴えがあり、前眼部を見ると、激しい炎症でfibrinが析出しておった次第でございます。リンデロン点眼を追加投与すると、反応良好で、しばらく経つと前眼部炎症は落ち着きましたが、硝子体混濁が少しあり、しばらく術1ヶ月目くらいまで飛蚊症の訴えは続きましたが、術2か月目には落ち着き、現在は0.6(1.2)の視力で他眼が0.8(1.2)。近見視力もまずまず良好で術後視力には満足しておられます。

今回の告知が行われるまでは、「老人のインフルエンザで免疫力が落ちているところに手術を施行したための内因性(?)眼内炎」と思っており、自分の中では「ご高齢の方の場合、インフルエンザ流行時期は例え微熱でもオペは中止にすべし」という教訓を得たと思っていたわけですが、ひょっとしたら、IOL側の問題があったのかも知れませんね。そう言われてみると、fibrinの出方が、かつてのH社製IOLの眼内炎に似ていたような気もします。また検証の結果を待ちたいと思います。

2月には、人生初の駆出性出血を経験致しました!!

症例は無硝子体眼のPOAG。エクスプレスを使用してスマートにTLEをやるつもりが、フラップ作成の際、早期穿孔をしてしまいまして・・・(無硝子体眼は眼球自体の柔らかさが、通常のものとは違うので注意が必要でしたねぇ)、エクスプレスを使用しない通常のTLEにコンバートしました。無硝子体眼なので、術中は眼球がhypoの状態でしたが、灌流液を注入しつつ眼圧を保って、何とかオペは無事終了しました・・・。で、ここからが問題なのですが、何と開瞼器を外す際に、患者さんが「ギャー!!アイタタタ!!!」とかなりの時間、激痛を訴えられました。すぐに手持ちスリットで確認したところ、脈絡膜が内出血により突出し、瞳孔領から見えている状態。僕も気を失いかけましたね・・・。

その後は、半泣きで経過観察をしておりました。タッピングでの血液排液を予定はしていたのですが、患者さんの普段の行いが良かったのか、僕の行いが良かったのか、出血がどんどん引いていきまして、現在術2か月ですが、眼底は落ち着いております。眼圧はレーザー切糸で調整し今は8mmHgですし、やれやれですわ・・・。視力は術前(0.3)で現在は(0.2)。まずまずと言ったところでございます。

白内障手術に関しては、医院移転後より、オペ場が広くなったので、強主経線切開で手術を施行しております。当初は耳側切開(特に左眼手術時)の体勢になかなか慣れず、更に、顕微鏡やフェイコマシンのフットスイッチを切開位置によって動かすことに多大なるストレスを感じておりましたが、昨年12月にナースを引き連れて、久々にA先生のクリニックに見学に行かせて頂き、器械・フットスイッチの配置やハンドピースを置く台のチョットした工夫を見せて頂き、早速当院に導入させて頂きました!お陰様で、今はストレスを感じることなく強主経線切開でオペが出来るようになりました。

改めて、A先生・スタッフの皆さま方、有難うございました!!
m(_ _)m

当たり前と言えば当たり前ですが、強主経線切開のオペの方が、術後視力も明らかに良くなっている感じがします。

あと、トーリックIOLも、どうやら強主経線切開で挿入した方が成績が良さそうな感じです。弱主経線及び強主経線以外で切開した場合、たま〜にではありますが、小切開であるにもかかわらず、妙に医原性乱視が強く出てしまう症例があります。強主経線切開の方が術後乱視が読みやすいという印象です。

検査器機は、IOLマスター700を購入しましたが、今まで測定できなかった濁りの強い白内障でも、かなり測定できるようになりました!これは明らかに有意差ありでございます。個人的には購入して良かったと考えております。

Z社カリスト及びルメラ700購入に関しては、超高額システムなので、完全に自分が納得した上で決めたいと思い、A社のVERIONシステムを実際の手術に使用している施設を見てから決めることに致しました。検査での使い勝手、オペ場での使い勝手、必要スペース、値段、Bとの相性など、総合的に勘案して決定したいと思っております。

本日は以上でございます!