ルメラ700&カリストアイのデモ by B

毎度のことながら、時が過ぎるのは早く、3月に突入してしまいました。

皆さまは恙なくお過ごしでしょうか?Bは元気でございます!

大騒動となっていたイスラム国系報道も今は沈静化し、国民の関心は川崎中一殺害事件に向いているのでしょうか。世界に目を向ければ、ウクライナ問題は正に泥沼化となっております。停戦合意後も戦闘は続き、親ロシア勢力が圧倒的な武力で前進を続けているとの事。そのロシアではプーチン大統領を批判していた反政権指導者ボリス・ネムツォフ氏が射殺されたとのこと。報道では「クレムリン近くの橋を渡っているときに車から数発の銃撃を受けた」とのことですから、正にゴッドファーザーの世界ですね・・・。(^^;)

左翼リベラル勢力の願いも空しく、世界は再び力と力がぶつかり合う戦国時代に突入しております。現在の日本は自国民や領土を自力で守ることが事実上不可能な歪な国家でございます。イスラム国事件もそうですが、北朝鮮による拉致事件も、ある日突然あらわれた工作員に、何の罪もない人々が連れ去られ(当然暴力も振るわれているでしょう)、おそらく何人かは殺害までされているのに、平和を愛する国民たちの大多数は「自分には関係ない」と、いまある平和を謳歌しております。そもそも、かつてのように外務省を通じて宣戦布告をし、「はっけよ〜い、残った!!」と宣言の元に戦争を開始する時代はとぅに終わりを告げております。日本は大東亜戦争敗戦後も、冷戦に勝利したものの、アメリカに経済戦争を仕掛けられ敗北し、韓国には竹島を事実上強奪され、中国からは尖閣諸島・沖縄を虎視眈々と狙われております。現在もある意味、戦争中と言えるでしょう。そもそも人の営み自体が競争社会で、人間とは競い合い、戦い合わなければ生きていけない業を背負っているのかも知れませんね。

国民が目を覚まし、現在の世界情勢に即応出来るような新たな国体を作り上げて欲しいと強く願っております・・・要するに、早く憲法を改正せよという話でございました。今日の政治ネタはこのくらいにしておきます。

さて、表題の件でございます。

Bの手術顕微鏡はT社のを長年使っておりましたが、とうにリースは支払い終わり、現在は再リース料を毎年支払ってリース会社を喜ばせておりました。T社顕微鏡に特段の不満もなく、手術において何の問題もなかったので、それはそれでよかったのですが、Z社のカリスト・アイというシステムが登場し、catract surgeonとしては避けては通れないのではないかと考え、購入を検討している次第でございます。正直言いまして、B的には数年前から、「こんなんがあったらいいな〜」と夢想していたようなアイテムでした。

カリストについては当ブログを愛読して頂いている諸先生方はご存知の方がほとんどかと思いますが、念のため、

こんなやつです。要するに、強主経線やCCCの大きさ、トーリックIOLの固定位置などが顕微鏡を通して術者の視覚に投影されるというわけです。

以前もJ社が「サージカルガイダンス」という同様のシステムを売っており、Bも強く反応してデモをしました。今はA社が売っておりますね。あの時は購入を見送りました。

理由は色々あり、一つはスペースの問題。移転前で手術場も狭かったので、サージカルガイダンスが入ると、マシンが一つ増える上に外回りの人間も増やさねばならずオペ場がギッチギチになり、さらに外来で結膜血管を撮影する用の検査機器も置き場所がないので、いずれにせよ当院の規模ではしんどかったというのが一つ。もう一つはT社顕微鏡に投影用のレンズを組み込まねばならないのですが、確かそのハマり具合がイマイチで、こっちの姿勢が少ししんどかったというのもあります。あとは、コストですね〜。それを購入したからと言って、高い点数を取れるわけでもないので、総合的に判断して断念しました。

しかし、あれから数年経ち、状況が変わりましたね〜。何といってもマルチIOL、特にトーリックマルチの存在が大きいです。

今年に入ってから、マスコミは依然アベノミクスを批判しておりますが、景気は上昇しているのではないでしょうか?マルチ希望の患者さんが明らかに増えているような感触があります。マルチIOLにとって、乱視は強敵なので、乱視を可能な限りゼロに近づけるように努力せねばなりません。となると、やはり目分量の従来の乱視矯正では物足らなくなり、より再現性の高いハイテク乱視矯正がクローズアップされてきます。

現在、マルチ、特にトーリックマルチを挿入する患者さんには、必ず「レーシックによる術後タッチアップの可能性」を説明するようにしております。トーリックIOLを用いれば、乱視を減らすのは簡単ですが、乱視をゼロに近づけるのは、ある程度運に頼る要素もあり、なかなか難しいと実感しております。

で、デモの感想ですが、

ルメラ700
→予想通り、めちゃくちゃ見えます!!ハッキリ言って、見えすぎです!ここまで見えなくてもええやんとまで思ってしまいます。

欠点を挙げるならば、毛利家の家紋のような3つの光源の丸が鮮やか過ぎて、後嚢のど真ん中にへばりついて残ってしまった混濁をブラッシュする際に邪魔になる点ですかね。あれ、何とかなりませんか?まぁ、今まで使っていた顕微鏡が世に出て10年くらいになるので、技術の進化を考えれば予想通りの見え方とも言えます。アームも長く、顕微鏡が固定位置のままで、上方切開や耳側切開を症例ごとに変える強主経線切開にもストレスなく対応できます。

カリスト・アイ
→結論から言うと、執刀医的には結構素晴らしいです・・・。アイトラッキングに掛かる時間も「ピッ!」という音がして瞬時に終わります。かつてのサージカルガイダンスと違い、IOLマスター内に結膜血管撮影装置を組み込んでいるので、検査機器が増えることもないのも良い点です。

欠点というか、弱点は、ORT等検査員の仕事のところになりますが、結膜血管を撮影するのが結構大変そうです。瞼裂の狭いお年寄りの方や緊張して瞬きの激しい患者さんは苦労してそうですね。この辺りは、ラーニングカーブもあるとは思います。中にはどうしても撮影が出来なくて、カリスト使用を断念せざるを得ない方も出てくると思われます。

もう一つは、所詮、IOLマスターの角膜曲率測定が正しいという前提に立ってのカリストシステムなので、IOLマスターのK値および角度が間違っていれば、全てが狂ってまいります。ココです。ココがポイントでございます。

現在、IOLマスター500でデモをしているのですが、正直言って、角膜曲率測定値に再現性が乏しく、困っております。K値はSRK-T式の場合平均値を取るので、そこまで大きな差はないわけですが、角度は結構変わります。最初に取ったデータで直乱視だったので、上方切開を予定していたところ、手術当日の再検査で倒乱視のデータが出て混乱してしまったこともあります。まぁそこまで変わってくる症例は、逆言うと乱視が少ないからともいえるので大きな問題にはなりませんが、再検査をすると、予定していた乱視軸より15度くらい変わってくることは全然あり得ると思います。学会などでは、「トーリックIOL固定位置が10度ズレたら、乱視矯正効果が何パーセント減・・」とか言われているのに、データ自体が狂っていれば何をかいわんやです。

正確で再現性のある、角膜曲率・角度を測定するのは現在のテクノロジーを使っても難しいですね。今度のIOLマスター700で、そこのところが進化していれば良いのですが・・・。

現状では、複数の角膜測定装置、当院なら、オートレフ(N社)・前眼部OCT(TM社)・波面センサー(TP社)にIOLマスターデータを比較しております。一度、自分のデータで、レトロスペクティブに研究を行い、結局どのマシンが一番正しいのかを調べてみたいと思っているのですが、日常診療に追われて、実際に行動に移す可能性はほぼゼロですね・・・。誰か調べてもらえませんか?マシンの値段で言うと、前眼部OCTのデータが一番正しくなくてはイケないはずですが、オートレフとIOLマスターの角度は一致してるのに、前眼部OCTは違う・・・と言ったことも珍しくはありません・・・。困ったもんですね〜。

以上が、率直な感想です。値段は高いです・・・。来年度の改正で白内障の点数が下がらないことを強く強く願っております!!!

本来は、A社も同様のシステムを出してくる予定なので、そちらの評価もしてから比較したいところでございますね。

本日は以上でございます。長文失礼いたしました。
m(_ _)m