世界情勢も日本眼科医療も戦国時代に by B

先日、パリで悲惨なテロが起きてしまいました。

フランスのオランド大統領が「フランスは戦争状態である」と宣言しておりますが、最早疑うことなく、世界全体として戦争状態に入っていると言ってよいと思われます。

Bは今年の5月頃から、塩野七生氏の「ローマ人の物語」をずーっと読み進めております。毎晩寝る前に少しずつ読んでおり、ハードカバー本全15巻のうち、やっとこさ9巻目を読んでおります。今は5賢帝のうち「トライアヌスハドリアヌスアントニヌス・ピウス」の時代です。約2000年前の話を読んでいるわけですが、人間の本質は全く変わっておりませんね。

強大な力が少し隙を見せると、すぐに世界は内乱状態に陥ります。

どんなに素晴らしい統治を行っていても、人間の心の底に不満が消えることはなく、一度巨大な力が隙を見せると、不満を持つ人々を結集した反乱勢力が力をつけ反抗を試みます。人間の気持ちに「満足」と言う言葉はあるようでないですね。

我々日本人も、不満がいっぱいです。ニュースを見ると日本国に対する不満や嘆きで満ち溢れております。庶民は消費税増税で生活必需品の値段が上がってしまう事を嘆きます。かくいうBも、次回の診療報酬改定で水晶体再建術の点数が下がってしまうことを恐れおののき、マイナンバー制度導入で、「いざ鎌倉の軍資金に」と温存しているへそくりに国家が気づき、課税されるのではなかろうか・・・とドキドキしております。冷静に考えると、この現代日本貧困層と言われている人も皆、スマホやパソコンをいじくり、白米や肉を食べ、100年前の庶民にしたら王侯貴族以上の生活を満喫しているにも関わらず・・・であります。

結局、この「不満」や「怒り」が人類発展のエネルギー源にもなっているということで、仕方がないのでしょうねぇ。少なくとも、リベラル派が争い事の解決に最も有効と信じている「話し合い」には何の意味もありません。意味がないこともないでしょうが、それは最後の最後であり、結局は、他方がもう一方を遥かに凌駕する力を見せつけることによって今回の乱も収束するのでしょう。Bには何年かかるか想像もつきませんが。

日本はようやく安定政権を樹立できましたので、欧米諸国がイスラム国との乱に力を向けている間に、粛々と独立した国家として軍事力・経済力の強化に勤しまねばなりません。勿論、現状のままでは、少子高齢化もあり、滅亡への道をひた走っているわけですから、先のコメントでも書きました通り、近い将来の抜本的行財政改革が必要不可欠となります。

さて、本業の近況報告ですが、今年は明らかに先進医療特約を使用した「多焦点眼内レンズ手術」の件数が増えました。おそらく日本中で同様の傾向と思われます。そろそろ多焦点眼内レンズ手術が保険診療に組み込まれるという噂もありますが、実際どうなんでしょうかねぇ。これが保険収載されたらさらに眼科医療費が増加し、結果、我々眼科医自身の首を絞めることになり兼ねないのではないでしょうか。個人的には、混合診療のままで行った方が良いのではと考えております。

何はともあれ、どげんかせんとイカンのが、抗VEGF薬ですね。今度の改定で、水晶体再建術の値段が下がれば、手術医の怒りは製薬業界に向かうでしょう。「なんでお前らのせいで俺らの技術料が下げられなアカンねん!!」という話ですね。その場合は、真剣に「アバスチン」を使うことを検討せざるを得ません。根治療法でもないのに、あれだけ高額なお薬をジャブジャブと使い続けることは国益に反します。必ずそのような運動が出現すると思います。

先のコメントで田舎開業医先生がご指摘されたように、いずれにせよ、超高齢化社会は目前に控えており、このままでは年金制度と同様に、国民皆保険制度の崩壊は火を見るより明らかです。我々開業医は、江戸時代の農民のように「お代官様に情けを請う」だけではなく、逞しく生きて行かねばなりませんので、保険診療以外で生計を立てる術も考えて行かねばならないでしょう。

イタリアでは医師過剰と財政赤字で、医師の待遇が極端に悪化し、手取り15万円/月程度で、一般的な医師よりもタクシー運転手の方が収入が多いそうです(→ 面倒くさいイタリアの医療システム - ミラノはミラノ )が、こうはなりたくないですね・・・。

世界情勢もそうですが、我々を取り巻く日本医療情勢も益々混迷の度を深めております。

開業すれば儲かる昔の良かった時代はとうに過ぎ去りました。戦国時代になりますので、知恵を振り絞って生き抜かねばなりません。戦国時代の地方豪族みたいなものですね。ちょうど来年の大河ドラマ真田幸村の話なのでそういう視点でも楽しんでみたいと思います〜。
(^^;)

本日は以上です。