レーザー白内障、百人隊長号、その後 by B

いやはや、書こう書こうと思いつつ、3月は結局更新出来ず・・・。2か月開いてしまいました〜。

先日、長い間かかりましたが、塩野七生氏の「ローマ人の物語」全15巻をついに完読!!正直言いまして、ローマが衰退していく終わりの方の巻は、あんまり心躍る展開も無く、読み進めるスピードが激減してしまいました。仕方ないですねぇ・・・滅亡の過程を追っていくのは全然楽しくありませんから。ユリウス・カエサルのあたりは、面白くて凄いスピードで読んだものですが。

滅亡の原因は端的に言うと

・領土が大きくなりすぎて、国境警備にかかる軍事費の増大化で国家破産

ローマ帝国の衰退に伴って、一神教であるキリスト教が爆発的に普及し、求心力を維持するためキリスト教を国教化し、古代ローマ帝国のシステムが上手く作動しなくなった(例;兵役拒否など)

この2つが大きいと個人的には感じました。

とは言え、諸行無常・盛者必衰は避けることのできない真理でありますので、古代にかくも長期に渡って繁栄を持続したことの方が注目に値します。

その理由は

・徹底的なインフラ整備

・異民族に対する同化政策の成功(ローマに対する服従さえ了承すれば信仰や習慣の維持を認める)

・強大な軍事力(重装歩兵が世界一強力だった)

が挙げられると思います。軍事力に関しては、歩兵がメインの時代は良かったのですが、騎兵メインの時代になると、異民族に押され続けるということになりました。大日本帝国が、戦艦が最強軍事力の時代には強かったのに、航空機がメインになるとアメリカにボコボコにやられたのに似てなくはないですね。

インフラ整備の徹底に関しては、凄いっとしか言いようがありません。今から2000年以上前に水道や完全舗装の道路が帝国中に張り巡らされていたというのは驚嘆でございます。現在日本が曲がりなりにも繁栄しているのも、インフラ整備がしっかりと出来ていることも一因ですね。一般ピーポーはどうしても目先の金に目が行ってしまうので、インフラ整備の重要性に気づきませんが、やはり、インフラは大事だと再認識しました。

異民族に対する同化政策の成功ですが、古代ローマの宗教が多神教であったことが大きいですね。ていうか、その時代、一神教と言えばユダヤ人のローカル宗教であるユダヤ教しかなかったわけで、キリスト教に至っては、怪しげな新興宗教としか見られていなかったのですが。

実は、「ローマ人の物語」の続編にあたる、「ローマ亡き後の地中海世界」も読み進めておりますが、古代が終わって、暗黒の中世に突入すると、イスラム教が台頭し、科学技術の面でもイスラム世界がリードし、イスラム教徒が「サラセン」と呼ばれ海賊やりまくりでヨーロッパを荒らしまわります。で、キリスト教側もブチ切れて、十字軍を結成し、イスラムキリスト教の血を血で洗う戦いが延々と続きます・・・。その時代、キリスト教内での教義論争で内輪もめを繰り返していたようですね。

イスラム教的には、イスラム教を信仰していない人間は「イヌ」とさほど変わらず、殺害しても何ら罪悪感を感じることはありません。そして、1000年前から彼らは大規模な軍事行動は苦手で、基本発想は、「少人数で機動力を活かし相手の一番弱い所を襲う」となります。

そう考えると、現在もさほど状況は変わっていないっすね・・・。(-o-;)

イスラム国のテロの報道等を見ていると、

「あのような狂信的なイスラム原理主義者は極一部であり、ほとんどのイスラム教徒は穏健であるから、イスラム教とヨーロッパ世界(キリスト教)の対立をことさら煽ることは現実を見誤ることになる」

との、一見、最もなコメントを良く耳にしますが、B的には、これもまた現実を見誤っていると思います。コーランにはかなり攻撃的な事も書いてあるようですしね。

いずれにせよ、一神教って、本当に人類にとって幸福を運ぶツールになっているのか??という点に大いなる疑問を抱き始めている今日この頃です。やっぱ、日本固有の穏やかな神道や、思いっきり多神教宗教である仏教が良いですよ。


さて、本業の話です。

先月より、A社のLenSxを導入し、Bのクリニックでもレーザー白内障手術を開始いたしました。

現在、まだ数例しか施行していないわけですが、印象としましては、思ったより良いです。

CCCからある程度の核分割まで眼球を固定した状態で事前に済まされているというのは、楽ですね。

通常の白内障手術中に、患者さんが目をキョロキョロ動かして、CCCなどの操作が非常にやりにくい状況というのは一日手術をやっていれば1例や2例はありますが、その時術者には大量のストレスがかかっていたことに改めて気づかされた次第でございます。

熟練した術者の場合、破嚢する際は、勿論手術手技に起因することもありますが、患者さん側の極度の緊張や眼球運動に依ることの方が多いと思います。

患者さん側からすれば、「手術リスクの更なる低減」をお金で買うという形になりますが、金額の多寡を脇に置きますと、双方にとってメリットがあることは間違いないと感じております。特に、チン小帯脆弱症例にはかなり良いと思います。

フェムトセカンドレーザーですが、どうやら糠床のように、各施設の気温や湿度、そしてマシンの癖によって、設定値が微妙に変わって来るようです。現在、既に2例、CCCがコンプリート出来てませんでした。うち、1例はコンプリート出来ていたと確信していたのに、少し切れ目が入っていたようで、IOL(ファインビジョン)を入れた際、ピロリ〜ンっと裂けてしまいました。赤道部まで回り込むほどではなかったので、大勢には影響はありませんが、今までの鑷子でのCCCではあり得ない状況ですね・・。その後、A社の方と相談して設定を変えたので、もう大丈夫だと思います。

角膜切開は、一回やりましたが、スパーテルで切開創を離解させるのにかなり難渋したため、すっかりやる気を失くしてしまいました・・・。通常通り、弧状ブレードで強主経線切開をしております。

核分割は、マンゴーカットなども試してみましたが、B的にはそれほどメリットも感じず。結局はピザのように分割するようになりました。超音波時間は明らかに減少しますが、術翌日の炎症を見ていると、全く炎症がないということはなく、まぁまぁありますね。そういえば、YAGレーザーでも一過性眼圧上昇があるように、レーザーで水晶体を分割すること自体が目にはそこそこストレスを与えているのではないかと思います。あと、前嚢直下に水晶体上皮細胞が、通常の白内障手術に比べて多く残存しやすいような気がしております。熱でこびりついてしまうのでしょうか??

まだ、始めたばかりなので、これから色々試して洗練していきたいと思っております。

あと、フェイコマシーン百人隊長号ですが、まだ自分なりにしっくりとする設定に辿り着けておりません・・。前房安定性は、「Active Fluidics」とかっこええ名前が付けられ、めっちゃ良さそうな雰囲気を醸し出してますが、勿論、悪くはないですが、めちゃくちゃ良いという感じもしません。普通にサージも起こりますので、最後の核片は従来通りフットスイッチをポンピングしながら慎重に吸引しております。

正直、色々いじくれるパラメーターが多すぎて、困ってしまいますねぇ。しかしながら、妥協するのは絶対嫌なので、しつこくA社の方と相談しながらやっている最中です。

A'社のサイン号はすぐに決まったのですが・・。

トーショナルフェイコは、核破砕効率が良いのが最大のメリットですが、核のfollowavilityがイマイチのような気がします。フェイコ中、前房内ではかなり激しい乱流が起こっているようなので、サイドポートが大きくなりすぎて、leakがそこそこあったりすると、非常にイマイチな状況になります。B的には、しっかりとしたハイドロは勿論ですが、細かく核分割をし、トーショナルフェイコ中はチョッパーを抜いて、一手法で核を平らげて行った方がキレイな手術になる印象です。

まだ百人隊長号に対する自分のスタイルが決まってないのはもどかしい気がしますが、ぼちぼち気長にやっていく所存です。

本日は以上です。