日本医師会の改革 by B

昨年の今頃、運気が悪いとボヤいておりました(→運気の低下 by B - 眼科手術開業医の戯言)。今年は運気が悪いとまでは言いませんが、現時点での4月のオペの入りは低調でございます。2月、3月は70件/月くらいの白内障手術件数でしたが、4月以降はスカスカです。早く、1カ月待ちなどで、安定してオペをこなせる身になりたいものです。

さて、日本医師会の会長が、民主党支持を鮮明に打ち出していた茨城県医師会長の原中勝征氏に決まりました。正直、民主党があんまり好きくないBといたしましては、面白くありません。

民主党への感情を抜きにいたしましても、また政権交代が起これば今度は敵視されるわけであり、少なくとも建前上は「政治的中立」であるべきと思います。原中氏が日教組のように民主党ベッタリになり、「政治的中立はあり得ない!」などと宣言した日には、私、坂本龍馬のように脱藩しちゃうかも知れません。既に、今夏の参院選自民党から立候補予定だった西島英利参院議員の推薦撤回を考えているようですがね・・・。

日本医師会長選 原中勝征氏が初当選 自民離れ加速も
4月1日12時18分配信 毎日新聞


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原中勝征氏=2010年1月撮影
 任期満了に伴う日本医師会(日医)会長選挙の投開票が1日、東京都の日本医師会館で行われ、親民主党を掲げる茨城県医師会長の原中勝征氏(69)が、自民党と協調してきた現職の唐沢祥人会長(67)、政治的中立を主張した京都府医師会長の森洋一氏(62)、京都府医師会員の金丸昌弘氏(44)を破って初当選した。原中氏の当選で、参院選に向け日医の自民党離れが加速する可能性が高まった。任期は2年。

 選挙戦は事実上、原中、唐沢、森の3氏の三つどもえで、政権との関係が焦点だった。代議員356人(欠員1人)による投票の結果、投票総数356票中、原中氏が131票、森氏は118票、唐沢氏は107票だった。

 原中氏は昨年夏の衆院選でいち早く民主党支持を鮮明にした。政権交代後も、診療報酬を議論する中央社会保険医療協議会の委員人事をめぐって日医執行部が外される一方、茨城県医師会から委員が選ばれるなど、政権与党・民主党との強い関係を印象づけている。

 参院選に向け、原中氏は自民党公認比例代表から立候補予定の西島英利参院議員(日医出身)の推薦撤回を検討する考えを示している。ただ、唐沢、森両氏にも一定票が流れており、日医が民主党一党支持になるのは難しいとみられる。

 原中氏は「民主党の言いなりになることなく、鳩山政権と一緒になって国民の幸福を考えていきたい」と抱負を語った。【鈴木直


いち開業医としてはピンときませんが、マスコミ報道上は「医師会は自民党支援&癒着の最大手団体の一つ」とのことですので、日本医師会長を民主党支持の先生がなることは、小沢一郎は笑いが止まらないことでしょう。

原中先生がどういう主張をお持ちなのかは存じませんが、そろそろ日医も改革を起こしていかねばならないのではないでしょうか。すなわち、国民の目からは「日医=開業医の利益のみを主張する団体」としか思われておりませんし、そう言われても仕方のない側面があります。

ちょうど本日より2010年度版の診療報酬が施行され、開業医の先生方は各地方厚生局への届出の準備などでお忙しいことと思います。私Bは、医療の現場を知らない厚労省の役人が医師の管理をするという点が、どう考えても腑に落ちませんでした。

ベッドのないクリニックの先生方はあまり気になられないかも知れませんが、病院、及び有床診療所への厚労省の管理欲望は凄まじいものがあります。現実にそぐわないルールを沢山こしらえ、それについていちいち届出を必要とし、各勤務者の勤務時間やら、各委員会(感染対策委員会、褥創委員会、医療安全管理委員会・・などなど)の議事録まで提出さそうと致します。厚労省のお役人方は基本的に眼科手術開業医の実情など知ったこっちゃありませんので、こちとらは、「内科外科病院と同じような患者さんを想定した書類を出せと言われても困るんだけど・・」とボヤきながら作成する次第でございます。

そもそも、院内感染や医療事故が起こった時、一番ダメージを負うのは(被害を被られた患者様を除けば)、そのクリニック自身です。厚労省に言われなくても、何とかして感染症を起こさぬように努力し続けております。

一応、医師のはしくれであるBでさえも他科のことなどサッパリわかりません。医療の現場に立ったこともない厚労省のお役人方が全ての医科の実情に通じ、それに照らして管理することなど無理なわけでございまして、やはり我々としては実情を知っている人に管理してもらいたいです。あと、あの意味不明の役人言葉だらけの医科点数解釈本も勘弁してもらいたいっす・・。

そこで、私Bと致しましては、日医がもっと我々に対しても権力を持って欲しいと考えております。医師の管理はやっぱり医師がすべきではないでしょうか?日医は診療報酬の増加を目指して働きかけるだけではなく、医師会自身が自浄能力を発揮して、悪い事をやってる医師に罰を与えるくらいになった方が、正常化に近づくのではないでしょうか?

厚労省、各地方厚生局は、各クリニック・病院に、感染対策委員会の議事録を提出させるという箸の上げ下げのような細かい事ではなく、それこそ「人口あたりの各科別医師数」など日本国の医療全体を俯瞰して、「医療過密地域から過疎地域への医師の誘導」や「適正な医師数を保つための各科別の人数調整」など、国民全てが高度な医療を受けられるようにする事を仕事にすべきです。

ここ数年の医療崩壊の責任は、社会福祉を削った小泉改革、即ち自民党政治家にあるという意見もありますが、自民党厚労省と一体であり、厚労省にも責任があるはずです。医療崩壊のツケは、まず国民が払わされ、大野病院事件やマスコミからの大バッシングなどで医師も矢面にたって払わされました。自民党政治家も落選という形で審判を受けたと言っても良いでしょう。役人の方々は誰が痛い目にあったのでしょうか?

という訳で、医療行政そのものも、今後変わって行くべきではないかと考えております。日本医師会がもっとリーダーシップを取って、現実に即したルールを作り、それに背いた医師を罰し、大きなグランドデザインを描く厚労省と対等に議論し、医療行政を施行してもらいたいものです。

原中氏の手腕に期待しております。