白内障手術時に考えていること by B

早いもので、8月も終わりですね〜。月一回の更新を目標にしているのですが、油断していると8月も終わってしまいそうなので、あわてて投稿です!!
(><)

先日、A先生の眼科手術開業医の会に招かれて遠路はるばる参加させて頂きましたが、非常に刺激になりました!その際にも少し話題になりましたが、IOLマスター700は非常に評判が良いですね。

Bのクリニックでも使ってますが、Bの評価も非常に高いです。

眼軸長測定自体は、2代前の機種くらいから、臨床上問題ないくらいに仕上がって来ていたと思いますが、700では眼内レンズ度数計算の最近の流れに沿って、SRK/T式だけではなく、Haigis式やHolladay2式をストレスなく使用できるようになっているところが秀逸だと思います。

今までは、他の式の存在は知識としては知っていても、慣れたSRK/T式でやっていたのですが、700ではSRK/T式の苦手な目、すなわち、やたらSteepな角膜やFlatな角膜には注意喚起をしてくれます。それらの目は、MultiformulaでHaigisやHolladay2式を参照し、そちらのデータで度数選択をすれば、かなり正確性が上がりましたね〜。

ただ、個人的にはIOLマスターのK値自体は、所詮少ないポイントでしか測定してないので、あくまでもIOL度数決定のみに使用するデータと言う扱いです。トーリックIOLの軸決めに使用するにはCASIAのAxial Power(real)のデータを使用しております。これは、前回のJSCRSで聞いて、その後、そうしているのですが、明らかに正確性がupしましたね〜。CASIAでなくても、角膜形状解析装置のデータの方がbetterだと感じてます。

また、A社VERIONの導入を決定いたしました。

カリストとの戦いになったのですが、BがVERIONにした理由は、

・VERION リファレンスユニットで約1000回も測定して加算することによるトラッキングの正確性

が決めてとなりました。あと、カリストを導入する場合、ルメラ700も買わねばならないので、導入コストに大きな差があったこともあります。


ところで、表題の件ですが、前々からぼんやりと考えていたのですが、諸先生方は如何でしょうか??

Bは大体、一日15〜20件程度の手術をしますが、Bクラスのサージャンはまだまだ未熟であり、色々な雑念が胸を去来致します。

Bはプロ野球の先発投手の気持ちが、白内障サージャンに近いのでは?と考えております。結構、先発投手に共感するところがあります。

まずは立ち上がり。

さすがに場数を踏んできているので、「立ち上がりに大量失点!!」ということはありませんが、やはり今でも緊張します。その日の体調にも依りますが、CCCでフラップをつかむときとか、手が少しプルったりしている時もあると思います。

5例くらいこなしてくると、その日の調子がだいたいつかめます。先発投手なら2〜3回(?)

例えば、

「今日はCCCが少し大きくなっちゃうな〜」とか、その逆。

「今日は角膜切開創のトンネルがどうも短くなりがちで、ハイドレーションをしないと創が自己閉鎖してくれないな〜」とか。

「今日はセカンドチョップ時のフェイコの突込みがどうも浅く、キレイに分割できないな〜」

などなど。

また患者さんも、一概には言えませんが、手術を待っている間に緊張感が伝播すると言いましょうか、やたら緊張して力が入っている患者さんが多い日や、逆にリラックスしてくれて非常にやりやすい環境の日もありますね。統計を取っているわけではありませんのでわかりませんが、術前の患者さんのお世話するナースの声掛けや振る舞いで、緊張感が違ってくるのかも知れません。

緊張対策に当院では術前待機エリアでリラックス効果のあるアロマを炊いてますが、ハッキリ言って、あまり関係ないですね〜。(^^;)

6例目以降の中盤戦では、序盤で感じた修正点を徐々に修正し、だんだんエンジンがかかってきて、明らかに手術のテンポが良くなってきます。ただ、気を付けなければならないのが、こういう勢いが乗って来たときに強打者(チン小帯脆弱等)を迎えると、ついつい「まぁ、イケるじゃろ。」「大丈夫じゃろ。」という悪魔の囁きに乗ってしまい、手痛いしっぺ返しをくらうことがあるということです。

やはり、事前に打者の実力(白内障手術の難度)を把握し、強打者っぽい方は時間をかけても良いので慎重に慎重にやることが肝要ですね〜。Bは研修医時代からの習慣が染みついており、いまだに手術前日には全例の患者さんデータを見直し、朝の朝礼で、難症例の可能性がある人の事は話題に出すようにしております。ナースも自覚していないといけないので。

あと数例でオペが終わるという終盤戦で心がけていることは、「粘弾性物質や眼内灌流液をケチって無用な虎舞竜を起こさない」ということですね・・。

サージャンによって色々なタイプがあると思います。

星野仙一氏のように、燃える闘魂で殺気をムンムンさせ、ナースにも闘魂をぶつけまくって、自らの集中力を高め、オペに没頭するタイプ。

はたまた、いつも無表情で、いわゆるポーカーフェイスタイプ。昔、巨人に加藤初という投手がいて、「鉄仮面」と呼ばれてましたね〜。かなり古いですが・・・。

Bは明らかに後者のポーカーフェイスを意識しております。そもそもBは喜怒哀楽の感情起伏の激しい、わかりやすい男ですが、手術は数時間にわたって集中力を研ぎ澄まさねばならないので、怒りなどで無駄に神経をすり減らしたくはないので、意識して感情に起伏を作らないようにしております。ナースに怒ったりすることもほとんどないです。まぁ、手術が終わった後で嫌味を百タラ言いますが・・。

この辺は、長年コンビを組んでる手術開業医ならではの特権かも知れません。今でも、教育のために、新しいナースが介助につくと、やっぱりイライラしたり、リズムが乱れますからね・・。ただ、これも仕事ですねぇ。ベテラン介助ナースが突然休んだりすることもあるでしょうし、複数のナースがレベルの高い介助が出来るようにしておくのも院長の責務なので。

そんなこんなで、予定の手術が全て無事に終わったあとの解放感は格別でございます!!

その後に吸う、タ○コの美味さと言ったら・・・。まだまだ意志の弱いBは○バコが止めれそうにありましぇん!!

逆に、破嚢等の虎舞竜症例があった日は、「あの時、こうしておきゃ良かったのに・・」「明日、大丈夫やろか・・・」などなど、タメ息ばかりついてますねぇ。夜にお風呂に入っている時などに落ち込むんですね〜。そういえば、最近、そういう思いをしてないので、そろそろかも知れませんね。気を抜かぬよう、褌を締め直してかかります!!

Bは手術日に以上のようなことを考え、日々過ごしております。ツラいこともありますが、何やかんや言いつつ、手術が好きなので、たくさん手術が出来る現在の状況に感謝感謝の毎日でございます。

本日は以上でございます。