医学博士号は開業医に必要か? by B

昨日、北朝鮮がミサイルを発射しましたね。「人工衛星」と言い張っているらしいですが、今まで嘘ばっかりこいてた国ですから、そこだけ信じろというのも無理な話です。麻生総理は毅然とした態度を示してくれているので、僕は評価しております。

イスラエルでさえ、ミサイル実験の際は、中東諸国を刺激しないように地中海に向けてやったそうです。日本上空をまたいで実験するなど言語道断です。

マスコミは、誤報問題を殊更大きく取り上げ、日本の国威を下げようと必死でございます。何でこの国のメディアはこうまでベクトルがずれているのでしょう。そんな枝葉のことよりも、今後の防衛問題について、強いメッセージを出すべきです。

「日本も憲法改正し、核兵器を持つ、もしくは米国からの持ち込みを可能とする」ように議論を開始せねばならないと。

個人的には、日本も核兵器を持つべきであると考えております。多分、アメリカをはじめ世界中の国から妨害を受けるとは思いますが・・。

本日は手術日でした。運気に若干の上昇傾向があり、今週は月5件、木6件で計11件の白内障手術が入っております。

今日は白内障手術のあと最後に7歳の男の子の巨大霰粒腫切除を行いました。1年ほど前から出来て、他院で点眼薬を漫然と処方され、全く治らずに当院受診。僕も、

「子供だし切開するのは、もうちょい大きくなってからで良いでしょう。今しばらく薬で様子を見ましょう」

と言ってたのですが、しこりがかなり巨大でさすがに治りそうもなく、お母さんの希望もあったので、局所麻酔で皮膚側切開から摘出しました。

予想されたことですが、長期間の慢性炎症により、瞼板は薄く変性し、結膜側も乳頭増殖を伴う強い炎症を来しておりました。私の父をはじめとする昭和の眼科医は子供でもお構いなしに、押さえつけてガンガン切開しますが、それも一理あるなぁと実感しました。

さて、表題の「医学博士号」ですが、私は持っておりません。

学生時代より、両親は「大学病院に長いこと居させてもらって、医学博士もとり、大学で外来担当医になって欲しい。」と言っておりました。学生時代は右も左もわかりませんので、「医者の世界ってそういうもんなのかな」と思っていましたし、入局後も最初は何となく「大学院に行って、留学して・・・」みたいなことは考えておりました。

それが、医者になって数年で「大学院には行きたくないな〜」と思い始めました。更に数年経つと、大学院卒業後の先輩Dr達を見ていて、「僕はどうせ将来開業するのだから、大学院には行かないでおこう」と決めました。

他大学は良く知りませんが、私の出身大学において、大学院には2パターンあると思います。

1.基礎を含めバリバリと研究→留学をして、論文を書く
2.研究は臨床研究がメインで、網膜硝子体など特殊な手術の修行をする

1パターンが大半だと思います。医局(教授)の方針に従って研究し、学会発表を行い、論文を書く。

1パターンの問題点は、その間、臨床から離れてしまうということです。もちろん、全く離れてしまうわけではなく、週に何回かは外来や手術のバイトをします。(これが生活費になります)

その後、めでたく卒業し、医学博士号をゲットしたあと、他病院の部長・医長クラスで派遣されます。

しかしながら、4年間もの間、臨床的なブランクがあると、卒業後しばらくは、手術の腕がかなり落ちております。バイトでやっていると言っても、自分の患者さんではなく、非常勤勤務先なので、術後の不満などに真摯に向き合う訳ではありません。また、大学院に行くまでにどういう病院で研修していたかによっても違います。大きな病院等で手術をたくさん経験していれば、それほど苦なく勘も取り戻せるでしょうが、経験する症例数が少ないまま院に入ってしまえば、手術に関しては取り返しがつかないほどの遅れになります。


そうして卒業後、いきなり部長などに祭り上げられると、眼科は「手術」が治療のかなり大きなウェートを占めますので、その先生も患者さんも不幸なことになります。(福島先生の指摘する、「実力以上の手術をする医師」の中に大学院卒後まもなくの医師は少なからず含まれていると思います)


これは、その先生が悪いという訳ではなく、システムが悪いと思います。大きな病院はいまだに「部長は医学博士」という縛りがあります。ネズミやウサギ相手に研究をするのと、人間の体にメスを入れる手術は全く意味が違います。また研究で得たものを臨床に活かせる先生というのは、分野にもよりますが、少数派であると思います。医学博士≠臨床力です。


そもそも臨床と研究は別物ですので、研究者は研究を追求し、臨床者は臨床(臨床研究)を追求するのが筋ではないでしょうか。それがゴッチャになってしまっているのが悲劇を生んでいると考えてます。教授は教室の論文が増えると自分の業績アップにつながりますので、院生を叱咤激励して研究させております。

大学院を出られた諸先輩方を見ていると、「自分のキャリアアップの為の4年間というよりも、教授に捧げる4年間」という印象が強かったです。

まとめますと、

医学博士号は医局制における出世の道具としては意味を持つかもしれないが、臨床一本で勝負する開業医には不要

だと考えております。勿論、院卒の先生を批判するものではありません!!大学院、留学を経て、研究をバリバリした後、臨床もバリバリの先生も多数おられます。臨床も研究も出来る医学博士があった方が良いに決まっております。

ただ現在の、医局が半崩壊している状況では、以前よりも、医学博士号のメリットが低下しているのではないかと考えております。

メジャーと言われる内科や外科の世界では、私の同級生などもほとんど皆、大学院に戻っております。話していると、眼科に比べて、明らかに「医局の権威」というものがまだ強そうです。私とは院や医局に対する感じ方はかなり温度差があります。眼科は少し特殊なのかも知れません。