水晶体乱視とトーリックIOL by B

まだまだ日中は暑いですが、夜になると漸く秋っぽさを感じる今日この頃でございますね。

民主党党首選で権力闘争に明け暮れているさ中、円高がまたもや進んできております。日本政治の混迷が、日本をどんどん亡国への道へ突き進めているのを、我々はじっと指をくわえて傍観せざるを得ませぬ。自民党政権時代には少しは話題になった、憲法改正や、反日教育問題などのネタは、左翼政党の中では全く話題にもならず、バラマクか否かの枝葉の論議ばかりが聞こえてきます。そもそも「既得権益にまみれた自民党を倒し、民主党が政権をとればお金はジャンジャン出てくるから、バラマキ放題だよ!!」と大声でわめき散らして、政権をとったわけですから、やっぱり言いだしっぺの小沢氏が一回やってみるべきじゃないでしょうか?

どっちが総理になっても、B的には目くそ鼻くそでしかありません。さっさと、民主党を解党して保守政党に政権をとってもらいたいところです。

本日は8件のオペでしたが、1例で乱視用IOL(トーリックIOL)を使用しました。最近、週に1〜2例のペースでトーリックを入れております。A社の方に聞くと、どうやらBはかなりトーリック好きで、開業医では結構使っている方のようでございます。

A社の宣伝の片棒をかつぐつもりはございませんが、もはやB的には、トーリックIOLはオプションとして欠かすことの出来ぬIOLとなっております。

Bはトプコンの波面センサーを術前ルーティンでとっておりますが、「角膜乱視」「全眼球乱視」「水晶体乱視」が全てマッピングつきで出てまいります。これを眺めていると、色々面白いですね。

皆様方もよく、ケラト値で1D以上の角膜乱視があるのに、レフではC面がほとんどゼロの方に遭遇すると思いますが、そういう方の眼球を波面センサーで測定すると、角膜乱視と水晶体乱視が見事に直交し、全眼球乱視になると、相殺されて、マッピング面ではきれいなグリーンになっております。これもいわゆる「適応」のうちに入るのではと考えます。人間ってすごいです。

こういう目に、通常のIOLを挿入すると、相殺されて見かけ上なくなっていた乱視が再び表出してきます。

例を挙げますと、

術前、「0.7(n.c)・・・レフ上ではS+2.00、Cはゼロ。白内障のせいで矯正不能」という、そこそこの濁りの白内障手術を施行し、

術後、「0.7×IOL(1.0×S+0.75=C-1.50)」となったとします。

手術はバッチリできていて、医者はご機嫌ですが、患者さんは「なんか、ボヤける・・」とやや不満顔・・。

てな感じの症例は、白内障術者なら、だれでも経験はあるのではないでしょうか?

何を隠そう、Bも数か月前に経験し、それまであまり注意をはらっていなかった術前の乱視成分分解図を改めて見直してみると、その症例では角膜乱視が直交する水晶体乱視に見事に相殺されていた!!という事に気づいた次第でございます。その後、冷めかけていたトーリックIOL熱が再燃し、現在に至っております。

最近は、そのような患者さんがおられれば、状況を説明の上、トーリックIOLを1stチョイスにしております。


きちんと調べたわけではないので、あくまでも印象ですが、水晶体(白内障進行)による乱視は倒乱視方向が多いようです。依って、「相殺型」は角膜直乱視の方に多いです。

逆に言いますと、もともと角膜倒乱視の方は水晶体乱視によって、さらに乱視が増強されておられている方もおられます。本日トーリックを入れた方は正にそんな症例で、角膜が2D、水晶体が1Dで見事に同方向の倒乱視であったため、全眼球では3Dの倒乱視となっており、「目が疲れて疲れてたまらない!!」というのが主訴でした。矯正視力は1.0あったため、近医では「手術は必要ない」と言われ、当院に流れ着かれたわけです。水晶体増強型の乱視ならば、やはり取ってあげるのが一番良いと思いますし、通常のIOLで3Dの乱視を2Dにするだけならば自覚的にはそれほど変わらない可能性もあります。せっかくなのでトーリックIOLで全眼球乱視をゼロに近づけてあげれば、乱視の眼精疲労からは解放されます。また結果を報告しますが、多分、喜ばれると思います。

もちろん、全眼球乱視が3D、角膜乱視1D、水晶体乱視2Dならば、通常のIOLで目的は達せられるので、コストの高いトーリックIOLを挿入する必要はございません。

昔から「若いころは直乱視、年を取ると倒乱視」と言いますが、角膜も水晶体も倒乱視方向に進行していくのは、神様のどのような意図が隠されているのでしょうか?これも何らかの「適応」のような気もしますが・・。

しかし、A社のトーリックIOLの売り方の拙さは洒落になっておりません。多分、近い将来「トーリック・マルチIOL」が出てきますでしょうし、遠い将来かもしれませんが、「調節機能付きIOL」が登場したとしても、乱視矯正機能は必要でしょう。方向性としては絶対に間違ってはいないIOLなので、もう少し売り方を考えれば普及率も高まると思いますがね〜。

山っ気をだして、万人受けをめざし、「角膜形状解析がなくても、オートレフケラさえあればトーリックIOLが使えますよ!」と迎合した売り方をしたのが最初の間違いですね。びっせん先生などの著名な先生を使って印象操作を試みましたが、完全に裏目に出ております。

そもそも、オートレフケラしかない施設では、そこまで「裸眼遠方視力向上」に価値を見出しておりませぬ。逆にオートケラのみのデータで、トーリックIOLを使うのは勇気がいりまっせ〜。

むしろ、角膜形状解析装置や波面センサーなどのメーカーとタイアップをして、抱き込みで販売していった方が良いです。N社がトーリック出すなら、そうすれば良いと思います。すなわち、トーリックIOLをまとめ買いすれば実質タダで角膜形状解析装置や波面センサーが手に入る・・など。

あと、営業マン的には、米国からの指令なので、いかんともし難い事情もわかるのですが、通常のIOLよりかなり高くなるコストも、どぎゃんかせんといかんです。日本の保険制度を変えるのには膨大な時間がかかりそうですので、取りあえずは、他の物品と抱き合わせたりして、実質の値段を下げる、弛まぬ努力が必要ですね。