マルチIOLの説明 by A

B先生が書かれたことを自分も考えてみました。医師以外のスタッフがもしIOLの種類について説明し、患者に勧めるとしますと、そのスタッフは医師に匹敵する知識と経験が必要ということになりますが、ちょっと現実的ではないと思います。

ところが、海外や、日本でも自費診療のクリニックではそのようなこともありそうです。これは言い方は悪いですが、経営重視ということではないでしょうか。LASIKなどの屈折矯正クリニックでは、患者さんを「お客様」と扱います。実際、アメリカなどでは、自費のクリニックは保険とは入口から別にして、ラグジュアリーな雰囲気を出すのがよいとされています。

私の考えは違います。屈折矯正手術も、たまたま保険が適用されていないだけで、白内障手術と変わりない普通の医療技術だと思います。ただ、よりよいものを求め続ける結果、試行錯誤が続いており、また、「失明からの回復」というレベルから見れば、付加価値ということですので、保険適用にはなりません。

より多くの売上を上げるために、より高い商品を提供するというのは医療にはなじみません。また、医療にはそれなりのスタイルが必要で、質素で機能的な空間がふさわしいと思っています。

白内障や硝子体手術の横でLASIKやフェイキックをするスタイルが好きです。

多焦点にするかどうかをどこで決めるか?本人さんが多焦点を希望して来院される場合や、他の眼科医からの多焦点IOL移植依頼で来られる場合を除きますと、大体、初診時にあたりをつけることになります。

若い方の片眼白内障(かつ、健眼の屈折異常が少ない)、コンタクトユーザーの核白内障で年齢が50歳以上、の場合、ちらっと角膜乱視が少ないことと、保険種類が0割でないことを確認したのち、多焦点IOLの適応があることを説明いたします。

それ以外では、院内のいたるところに貼ってあるポスターに反応された方に適応があれば説明いたします。

これら以外の普通のご老人にはこちらから勧めることはありません。それで、大体、多焦点IOLの比率は数%くらいになります。

診察で多焦点IOLの目星をつけた方のみ、価格や見え方の癖などを専門のナースが説明いたします。一人当たり30分くらいかけて説明しているようです。ここでナースがブレーキをかけることが無いよう、かねてからよ〜く言い聞かせていますし、乗りの良い明るい性質の人を選んでこの任にあてています。

ところで話は大きく変わりますが、最近、通勤用の車を買い替えたいと思い、いろいろと調べていますと、輸入車の価格について面白いことを発見いたしました。

大体、日本では輸入車が不当に高いと思います。しかも、ここ数年の円高により、円建ての価格が最低3割は下がらなければならないはずなのに、ベンツ、BMW、ポルシェなどなど、一向にその気配がありません。

10年前くらいまでは、為替レートにより多少の上下がありました。「来年モデルは定価が安くなるので、今はおまけします!」とかの話がよくありました。また、いわゆる「並行屋」さんも多く、ドル建ての価格プラスαで販売していましたので、ディーラーとしても為替に連動せざるを得なかったのかもしれません。

ところが、日本市場における外車の販売に、本国メーカーが直接乗り出してくることになって、事情が一変してしまいました。並行屋がなくなり、価格をつけ放題ということになってしまっています。

米国現地の価格はyahoo usで簡単に調べることができます。日本価格と比べると、各モデルに使っている為替レートが出てきます。それによりますと、メルセデス・ベンツBMWアウディなどでは、為替レートがなんと、160円くらいになっています。

面白いのは、たとえば、ポルシェでは911が160円とベンツと同じなのに対し、ケイマン、ボクスターシリーズでは140円くらいとなっており、911を割高に設定していることがわかります。

日本で人気のある車種は当然高く設定されています。逆に、アストン・マーチンやベントレーなど、もともとの価格が高すぎる車種については、120円くらいと比較的リーズナブルな設定です。

日本ではアストン・マーチンが(比較的)安く、お買い得で、ポルシェが高いということになります。アストン・マーチン ラピードとポルシェ パナメーラ ターボが同じ価格というのは、後者が高すぎるからです。アメリカではラピードはパナメーラ ターボの1.5倍です(19万ドルvs13万ドル)。

日本における外車の位置付はステータスの要素が大きいので、価格もそれなりに高くないと困るというのが、政府、メーカー、ディーラー、そして顧客の一致した考えなのでしょう。それでも外車に乗りたくなるというのですから、困ったものですね。

どうやら2011年モデルが現行911の最後ということになるらしく、カレラGTSやスピードスターを加えて、バリエーションがすごいことになっています。百花繚乱咲き乱れる様を見ると、頭がくらくらしてまいります・・・。